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プライドを維持してやるコストを払った方が、仕事はうまくいく

ある時、私はUさんに尋ねた。
「なぜUさんは、無能な人に優しいのですか?厳しく接して成長を促す、ということもあるのでは?」

Uさんは私を蔑んだ目で見た。
「まだそんなことを言ってるのか。お前。」
私は何も言えなかった。
「いいか、まず大前提として、30歳近くになっても無能、ということは、そいつはほとんどの場合、一生無能だ。改善することもあるが、まあ、稀だ。」
「……。」
「だが、無能なやつはどこにでもいる。というか、世の中は無能がデフォルトなんだ。」

Uさんは言葉を継いだ。
「だが、無能を責めても、敵を増やすだけで何一ついいことはない。仕事なんてものは、多少我慢しても、無能たちのプライドを維持してやるコストを払った方が、うまくいくんだよ。」

私はUさんの実績を知っていたので、言い返すことは出来なかった。
「あとな、成長を促すなんて無駄だからやめとけ。ほとんどの育成は、費用対効果が合わない。育つやつは、勝手に育つ。」
「……そうですかね。」
「そもそも、全員が有能でなくとも、回る仕組みを作るのがリーダーだろうが。それをやっているだけだ。」

私が仕事をしてきた中で「最も合理的」と感じたリーダーの話。

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