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YouTubeでウケるコンテンツの条件。流行るコンテンツは、ソリューションが決める。

YouTubeで爆発した江頭2:50

YouTubeで人気のチャンネルのひとつといえば、江頭2:50のエガちゃんねるです。登録者数は400万人を超え、人気の動画は数百万再生されています。

YouTubeではめちゃくちゃ人気のエガちゃんですが、テレビ時代にこれほど人気だったかというと、それほどでもありませんでした。
テレビでは、ほぼレギュラー番組を持っていかなかったからです。数少ないレギュラー番組といえばバラエティ番組「めちゃ×2イケてるッ!」ですが、めちゃイケでも登場回数は多くありませんでした。

テレビではそこまで目立った露出がなかったのに、なぜエガちゃんはYouTubeでは爆発したのでしょうか。

テレビというソリューションと、相性が悪かったエガちゃん

まず、エガちゃんがテレビでハネなかった理由は、テレビと相性が悪かったからです。

この相性が悪い理由は主に2つに分かれます。

1つめは、テレビというハードウェアのソリューションそのものと相性が悪いというものです。テレビは登場以降、大画面化の一途をたどります。
大画面化して何が起こるかというと、画面内に配置される人の数が多くなるのです。その結果、テレビ番組のコンテンツは1人のMCとその他大勢のひな壇芸人という構図になりました。

しかし、エガちゃんはこのひな壇に座って、時折気の利いたボケをかましたりコメントができるパーソナリティーではありません。
テレビ全盛期においては、大勢を仕切れるMC能力を持った人か、空気を読んでひな壇で立ち回りが出来る人が相性の良いコンテンツだったのです。

このように、何が良いコンテンツかを決めるのは、ソリューションの設計に依存します。

相性が悪いもう1つの理由は、エガちゃんはテレビにおける顧客との相性が悪かったというものです。

テレビにおける顧客は、視聴者ではありません。CMを出稿する広告主です。テレビ局は広告主の需要を満たすために、視聴数を最大化する番組を制作します。
テレビはYouTubeに比べてはるかにチャンネル数が少なく、寡占状態にあるメディアです。つまり、老若男女が閲覧するメディアなので、テレビ局はバランスの取れた最大公約数の番組を制作しようとします。

バラエティ番組「めちゃ×2イケてるッ!」でのエガちゃんのキャッチコピーは「1クールのレギュラーより1回の伝説を」でした。登場する回では、エガちゃんが暴走し、司会のナインティナインもそれを傍観するという構図でした。

インパクトがすごいので一部のファンの心には残りますが「視聴数を最大化する」というテーマにおいてはエガちゃんは広告主にとって良いコンテンツとはいえないのです。
「視聴数を最大化する」というテーマにおいては、番組を仕切れるMCなど、バランスの取れた芸人が良いコンテンツとなります。

YouTubeがエガちゃんをヒットさせた

このように、テレビというソリューションそのものと相性が悪い、テレビにおける顧客である広告主とも相性が悪いという2点の理由で、テレビではいまいち活躍の機会がありませんでした。

しかし、登場回数が少なくても登場シーンでは「伝説」を残してきたので、一部のファンの心には残っているわけです。

時を経てYouTube時代になり、テレビとの相性の悪さは、YouTubeでは全て好条件になりました。

まず、YouTubeはパソコンやスマホでの視聴がメインになります。テレビに比べて画面も小さくなるので、登場人物がテレビよりも少なくなり、1人にフォーカスされるようになります。
実際YouTuberの多くは画面内に1人、多くても数人程度で出演しトークをする形が主流になりました。ということで、1人で登場してもコンテンツが成立するとがったキャラクターが有利になります。
その結果、コンテンツとして爆発力を持っているエガちゃんにとって、YouTubeは圧倒的に有利なソリューションになったのです。

さらに、テレビにおける顧客は広告主でしたが、これはテレビのチャンネルが圧倒的に寡占状態にあるため、常に広告主の顔色をうかがいながら老若男女にウケるコンテンツを作る必要があるためでした。
しかし、YouTubeでは無数のチャンネルが存在するため、顧客は視聴者そのものになります。
つまり、視聴者に好かれる=YouTubeが伸びるということになります。

テレビ時代から登場回数は少なかったものの、圧倒的なインパクトを残してきたエガちゃんというコンテンツは、この点においてもとても有利でした。

YouTubeヒットの条件は、視聴者に圧倒的に好かれること


ということで、YouTubeでヒットするには、以下の2条件が必要ということになり、エガちゃんはその2つを満たしていたのです。

  • 画面が小さくなったので、1人でコンテンツとして成立すること

  • チャンネルが無数に増えたので、圧倒的に視聴者に好かれること

この視聴者に好かれるというのは「好感度が高い」というだけではダメで、わざわざ選択してその人のチャンネルを見るくらい、主観的に好かれている状態が必要になります。

テレビとは相性の悪かったエガちゃんですが、芸風を変えずに圧倒的な存在感を誇ってきたからこそ、気づいたらメディアの方のルールが変わり、エガちゃんにマッチしていたのでした。

これとは反対に、テレビでは好条件だった

  • 大人数を仕切れる好感度の高いMC

  • 空気を読んでコメントできるひな壇芸人

はYouTubeでは相性が悪いので、いずれもこのカテゴリに属する人たちのチャンネルは伸び悩んでいます。
逆に、テレビでは見かけることが少なくなった「とんねるず」の石橋貴明さんも、ファンからは圧倒的に好かれているので、YouTubeのチャンネル登録者数は160万人を超えてとても好調です。

止まっている時計は24時間に1度合う


ということで、流行るコンテンツの条件は、ソリューションの形によって決定されるのですが、エガちゃんに学ぶことができるのは「同じことをやり続ける大切さ」なんですよね。

以前に「止まっている時計は24時間に1度合う」という投稿を書いたことがあるのですが、一見止まっている時計でも24時間に1度は時間が合うように、同じことを続けていると、時代の方がそれにマッチすることもあるのです。

YouTubeに限らず、視聴者の圧倒的に好かれることが、今の時代のメディアにおいて重要なポイントになっています。

このあたりについては、以下の投稿も参考になさってください。

アイドルが最強のコンテンツである理由
https://note.com/media_labo/n/n2b0c9106dc66

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