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愛犬との14年6ヵ月

 昨日、母から愛犬が緊急入院をした、との連絡があり、今日は夫と一緒にお見舞いに向かった。ゴールデンウィーク中も診察している動物病院に愛犬は入院していることを知り、ホッとしたような気持ちがざわつくような妙な感じがした。

 お見舞いとは言え、母は昨日の緊急入院以降の愛犬の状態などを獣医から説明を受ける、という目的があり、私たちも同席した。獣医の説明はどれも険しく、愛犬はICUに移されて寝ている、との話だった。

 獣医の説明が一旦終了し、愛犬の寝ているICUまで連れて行ってもらい、許可を得て、少しだけ愛犬に触れさせてもらった。私が愛犬に触れた時、意識朦朧としているだろうに、少し反応があって顔を上げて、こちらを向いてくれた。

 しばしの触れ合いの後、獣医から昨日今日の検査内容の詳細を改めて聞き、獣医からの薦めもあり、もう一度、愛犬と触れ合わせてもらった。

 それから、母と夫と共に、実家に向かい、昼食を食べ、数時間を過ごした。帰りの電車に乗り、電車の乗り換えを済ませた頃、母から愛犬が亡くなった、との連絡があった。

 数時間前に動物病院で愛犬を見舞った時の様子、獣医からの説明を踏まえると、とても厳しい状況であることをわかっているつもりだった。愛犬と暮らし始めた頃も、いつかその時が来ることを漠然と考えることもあった。
けれども、いざその時が来た時、必ずしも自分が愛犬の目の前にいるわけではなくて、ただただ涙が止まらなくなった。電車の中、改札、コンビニに立ち寄っても、自転車を漕いでいても、ふと涙が流れてくる。見知らぬ誰かから見たら、泣きながら歩く中年女性である私。他人からの目線なんて、どうでも良い。
ただ、今は悲しく、寂しいし、14年6ヵ月の間、私たち家族と共に生きた愛犬に感謝もしている。

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