非ヲタクの一般人が、エヴァンゲリオン沼に落ちてメチャクチャになった一年間

2022年2月26日 21:00

これは非ヲタクの一般人が１年前に突然、エヴァンゲリオンで人生がメチャクチャになった話です。単なる長文の奇行日記でしかありませんが、現在進行系のお話です。

はじめまして、はな丸です。みなさん「エヴァンゲリオン」という単語を聞いてどのようなイメージを浮かべるでしょう？「アニヲタ」「濃いファンがいる」「難解」「マニアック」「こわい」などではないでしょうか。はな丸もそんな程度の理解でした。

一方、「東京に生まれるだけで才能」と言われるヲタク界において、田舎者のはな丸は、まるでヲタク文化に接してきませんでした。コミケに行ったことはない。同人誌も持ってない。見たことすらありませんでした。まして同人誌を作るヲタクなんて、想像もできませんでした。

そんなはな丸がシン・エヴァンゲリオン劇場版を観て、俗に言う『沼』に落ちました。「難解」で筋金入りのヲタクがウヨウヨいる（そう思っていました）、エヴァファンのど真ん中に自分がダイブすることになったのです。

これはリアルヲタ友なし、同人誌経験ゼロでエヴァ沼に落ちたガチの一般人が、９ヶ月間の格闘の末に４冊の同人誌を作り上げるまでの魂の記録です。

（これが、はな丸主催の最新合同誌「君のそばで眠らせて」です。２０２２年３月８日販売予定。詳細、リンクは記事の最後に）

シン・エヴァンゲリオン劇場版、公開

シン・エヴァンゲリオン劇場版（以下シンエヴァ）が2021年3月8日に劇場公開されました。エヴァシリーズの完結です。自分はTwitterに流れてくる情報で「へー、エヴァ終わるんだ」ぐらいの知識しかありませんでした。

シンエヴァ公開初日のTwitterは、なんだか奇妙な雰囲気でした。観終わったファンの異常な興奮状態が伝わってくるのですが、シンエヴァの映画の内容は一切漏れず、内容に触れる場合はかならず何重にも警告文が書かれています。

「シンエヴァで、なにかとんでもないことが起きている」

そんな雰囲気だけがありました。はな丸は、シンエヴァをSNSで受動喫煙する前に、早めに映画館に行こうとだけ思っていました。

完結という名の地獄

シンエヴァは2021年3月8日に劇場公開されました。はな丸が映画館に初めて観に行ったのは3月12日でした。

結果を言うと、初見でボロ泣き。

べしょべしょにマスクを濡らして観ました。シンエヴァは本当に素晴らしい映画でした。映像も音楽も、何もかもが素晴らしい。一つとして無駄な部分がありませんでした。

というのは、建前。

正直、初回の映画のあとは何も覚えていませんでした。脳の記憶野がガバすぎる。あまりのショックを脳が受け止めきれていませんでした。

「アスカとシンジは、こんな告白をして、こんな別れ方をするんだ……」

映画を観終わった後、脳みそをぶっ叩かれた感覚で、しばらく座席から立ち上がれませんでした。情報量が多すぎて、いったい何を観せられていたのか分からず、脳がパニックを起こしていました。

自分に自信を持てなくなったはな丸は、ネットを漁りました。多くの方はシンエヴァ完結に賛成してました（そう見えた）。ネットでは、エヴァの呪縛から抜け出して、ありがとうエヴァ、さようならエヴァ、ありがとう庵野総監督、という方が大量にいました。

えええ？　みんな、卒業？
はな丸には、絶対に無理！！

エヴァのすべてが終わったのに、自分だけがはじまってしまいました。はな丸は幸福感と喪失感をエヴァシリーズの最後の作品で、初めて味わってしまったのです。

ふとした瞬間、シンエヴァを思い出して涙が止まらなくなります。この症状は、いつ襲ってくるのか分かりません。ちょっとした事で、感情に点火してしまいます。仕事中でも、食事中でも、入浴中でも、とにかく説明のつかないどデカイ感情が、あふれてきます。

まさに完結という地獄でした。作品は完結し、すべてが出尽くしています。自分の感情だけが未整理のまま、荒れ狂っています。強烈な尊さと、情緒が狂うような感覚がありますが、解釈の一致はなく、まさに底なし沼にはまり込んでしまったのでした。　

診断病名、LAS

シン・エヴァンゲリオン劇場版はエヴァシリーズの最終作です。みんな「エヴァからの卒業」とか「ありがとう、全てのエヴァンゲリオン」とか言っているのに、はな丸はTV版から26年遅れでエヴァに「入学」してしまいました。

はな丸はシンジ×アスカを推してます。通称、LASです（由来は各自検索して下さい）。ネットで初めてLASを知ったとき、

「自分はLASだったんだ……」

と、診断がついた患者のように、少しほっとしたことを覚えています。なんら現状は変わってはいませんが、自分のポジションが分かった、同じように脳内が荒ぶる症状の方がいるんだ、そう思えただけで少し落ち着きが出てきました。

そして、はな丸は二次小説を書き始めました。

なぜ？

それは、
はな丸には、書くしかなかったから。

シンエヴァを観て、はな丸にはシンジ×アスカの恋とは言えない淡い感情に叩きのめされました。好きだったのに、なぜ……。脳内には、自分の理想とした映画の完結がありありと浮かんでいました（妄想）。

しかし、悲しいかな。はな丸は絵心が全くありません。この感情を、この妄想を、脳内から吐き出して叩きつけるには、日本語しかないのでした。

3月12日に映画を観に行き、pixivでエヴァ二次創作を初めてアップしたのは3月13日でした。ほとんど寝ていなかったと思います。異常な興奮状態のまま、はな丸は書き続けていました。

その後は、時間を作ってはシンエヴァを映画館に観に行って、泣いて、二次創作をする、という異常行動のループで私生活の全てが進みました。pixivでは泣きながら自分の魂のかけらのようなシンジとアスカの作品をポロポロ生み出しては、また次の話を書きました。

沼の底へ

行き場のない感情のはけ口として、二次創作を狂ったように書き続け、その作品はpixivにたまっていきました。5月ごろ、5万字を超える辺りから、何かがおかしい、と思い始めました（いや、シンエヴァ後の自分は、全ておかしいんですが）。

エヴァには、時間薬が効かない！？

『時間薬』とは、時間が薬となって解決してくれる、というドラえもん的なアレです。いままで推しに出会ったことがなかったはな丸は、シンエヴァの異常な興奮状態も「時間がたったら落ち着くだろう」ぐらいに考えていました。でも、全然興奮が冷めない。

そりゃそうです。エヴァは26年間もの長きに渡り、鍛え抜かれたコンテンツ。初心者のはな丸の熱狂が数ヶ月で冷めるわけがありません。

はな丸はすっかりシンジ×アスカのこと思うだけで、何ヶ月たっても涙が出そうになる体質になりました（現在進行形）。これはまずい。情緒不安定にもほどがある。『沼』だ、これが本当の『沼落ち』なんだ。初めて体感する底しれない『沼』にビビるはな丸でした。

心の中の"YAZAWA"との戦い

はじめは書いている二次創作を本にするなんて、一切思わずに書いておりました。自分はひっそり大人しく、pixivの二次創作に埋もれよう。そう思った時期もありました。

しかし、シンエヴァ公開から3ヶ月ほどたった６月のある日のことです。

「俺はいいけど、自分の"YAZAWA"がなんていうかな？」

と、心の中のマイYAZAWAが突然、覚醒してしまいました。イメージとしてはジョジョのスタンド状態。

”マイYAZAWA”、分かってくれる人にだけ分かってくれればいい、という投げやりな表現ですが、今のはな丸には、これ以上の表現方法が見つかりません。

二次創作は自己満足。だからこそ自分にだけは絶対にウソをつかない。二次創作でも疲れたり、適当でいいか、と思った時、マイYAZAWAがちょっとハスキーな声で「はな丸、それはちょっと違うんじゃないか？」とささやけば、どんなに睡眠不足でも、どんなにイバラの道でも、そちらを選びます。それがマイYAZAWA。

マイYAZAWAの突然覚醒が、はな丸を戸惑わせました。でも何かをしたい強烈な衝動はありますが、ボッチヲタクのはな丸には一体何をしたらいいのか分かりません。

狂人のようにエヴァエヴァ言ってるはな丸に、エヴァ歴二ケタ年のパイセンが、ソーシャルディスタンスの外からTwitterで甘くささやいてくれました。

「薄い本は薄くていい」

まさに天啓。哲学的な一言でした。はな丸は雷が落ちたような衝撃を今でも覚えています。「薄い本は薄くていい」と自分がつぶやくと、マイYAZAWAがほほえみながら、うなずきました。

薄い本は薄くていい！　
自分が求めていたのは、これだ！！

このフレーズ、教科書にのせたい。全ての情熱を持っている人に言いたい。薄い本（同人誌）を作れ、と。はな丸はこの瞬間から、同人誌づくりにのめり込みました。

今だから言えますが、当時は、はな丸のTwitterのフォロワーが激減してました。ライフハックや、気に入った本とか、丁寧な生活の話をしていた人が、ある日を境に狂人のようにアスカとシンジの話しかしなくなったら１００人ほどフォロワーが減りました。

自分がシンエヴァにはまってから5か月で100以上フォロワ減って、それから300増えてという、ダイエットのリバウンドみたいな現象が起きてます。気に入った映画や丁寧な暮らしの話してた人が、突然狂人のようにアスカとシンジの話しかしなくなったら、そりゃあビビるだろうけど、止められない…。#LAS pic.twitter.com/SwETWJRt3G
— はな丸:||同人誌「ねえ、シンジ。キスしよっか」発売中！ (@a2mLYDBijKMj0Eg) August 26, 2021

はな丸とマイYAZAWAは、減りゆくフォロワーをものともせず、生まれて初の同人誌制作へ突き進んでいったのでした。

第一作「ねえ、アスカ笑って」　爆誕

同人誌の作り方なんて、はな丸は全く知りません。ボッチヲタクなので聞く人もいません。「まあ、自分が満足したらそれでいいよね」そう思って、弱気になるはな丸。でもマイYAZAWAが許しません。「はな丸、お前の作りたい同人誌はこんなもんじゃないだろ」、マイYAZAWAにそう言われて、はな丸は社会人の強みを最大限に使いました。

できないことは、外注。

前から、大好きな絵！と思っていた猫飼いたい先生（https://twitter.com/nekokaitai0）にアプローチして、表紙絵をお願いしました。ドキドキしながら最初に猫飼いたい先生の絵を見せて頂いたときは、震えました。リアルに涙が出ました。この絵は、最高！

一人ヲタクなので、周りで同人誌作ってる人はいません。いろいろな方に聞きまくって、不安だらけだったので印刷会社にも直接電話したりしました。紆余曲折の末、はな丸の生まれて初めての同人誌「ねえ、アスカ笑って」が２０２１年７月に爆誕しました。はな丸の長女です。

初版発行　２０２１年７月３１日
表紙絵　猫飼いたい先生（@nekokaitai0）
表紙デザイン　FLOSHIKI Design
印刷所　ねこのしっぽ
利用パック　表紙フルカラー本文オンデマンド1色刷の本
A5サイズ、68ページ、表紙ホワイトポスト [PPマット]、本文上質紙70kg

７月にBOOTHで販売開始したところ、なんと２４時間で売り切れました。ただ単に販売部数が少なかっただけなんです。でも、はな丸は「ねえ、アスカ笑って」がみるみるうちに売れて、ついに最後の一冊まで売り切れた時、脳内物質がドバっと出るのを感じました。同人誌という狂気に取り憑かれてしまった瞬間でした。

第二作「永遠のエデン」　ド素人２ヶ月連続刊行

７月に「ねえ、アスカ笑って」を発刊し、翌８月には第二作目（次女）の「永遠のエデン」を出しました。まったくの初心者が同人誌、二ヶ月連続刊行。今考えてみても”””ガンギマリ”””。かなり狂っていたと思います。ただ純粋な熱量だけで作りました。この次女には自分の作品のpixivランキングトップを入れ、書き下ろしを２作品いれました。

初版発行　２０２１年８月３１日
表紙絵　猫飼いたい先生（@nekokaitai0）
表紙デザイン　FLOSHIKI Design
印刷所　ねこのしっぽ
利用パック　表紙フルカラー本文オンデマンド1色刷の本
A5サイズ、72ページ、表紙エスプリコートVエンボス [アラレ]、本文上質紙70kg

問い合わせがすごかった長女「ねえ、アスカ笑って」の再販を同時に進めました。

結局、次女「永遠のエデン」初版発行と、長女「ねえ、アスカ笑って」の再販を同時にしました。タイミングを合わせるのが大変で、正直、ゲロ出そうでした。でもマイYAZAWAが「2冊同時刊行がクールだろ！」って言い張るもので、仕方ありませんでした。

第三作「ねえ、シンジ。キスしよっか」　初R-18＆初合同誌

はな丸はpixivでR-18をちょっぴり書いていました。でも数作品しかなかったので、R-18作品は同人誌にはせず、お蔵入りかな、と思っていました。しかし、マイYAZAWAが許してくれません。

「お前が書けないなら、他の人に書いてもらえ」

な、なんですと〜？？？　マイYAZAWAが、スパルタすぎる。
　７月３１日に第一作　長女
　８月３１日に第二作　次女（& 長女第二版発行）
１０月１６日に第三作　三女（初合同誌& R18指定）

三作すべて、書き下ろしあり。いま振り返って自分自身に対して「スケジュール、極悪すぎる」って思います。

優狗さん、つぶあんさん、ダニーさんという素晴らしい（同じ性癖で殴り合う）著者に参加していただき、4人の合同誌としてこの企画は実現しました。

初版発行　２０２１年１０月１６日
表紙絵　猫飼いたい先生（@nekokaitai0）
表紙デザイン　FLOSHIKI Design
印刷所　ねこのしっぽ
利用パック　表紙フルカラー本文オンデマンド1色刷の本
A5サイズ、116ページ、表紙エスプリコートVエンボス [アラレ]、本文上質紙70kg

合同誌は、個人誌とは全く違う面白さがありました。みんなでワイワイやっているのは、合同誌の醍醐味でした。無名のはな丸に賛同して原稿を提供していただいた３人の著者の方には、本当に感謝しています。

第四作　「君のそばで眠らせて」合同誌
１５人のイカれる同人誌作家たち

はな丸には、ずっと気になっていたことがありました。

２０２２年３月８日のシン・エヴァンゲリオン劇場版・公開１周年記念です。

逆算すると、１１月から活動を開始しなくてはいけません。１０月に合同誌である３作目「ねえ、シンジ。キスしよっか」を刊行して、ちょっと一息つこうかな、と思いました。でも１１月に動かないとシンジ×アスカの一周年をお祝いできない。

マイYAZAWAがつぶやきました。

「はな丸、このまま何もしないと後悔しないか？」

うちのYAZAWAの圧が強い。強すぎる！　散々悩んだ末に、合同誌「君のそばで眠らせて」を企画しました。今回は全年齢対象です。

初版発行　２０２２年３月８日
表紙絵　紙尉ユビ先生（@yubi_kamii ）
表紙デザイン　FLOSHIKI Design
印刷所　ねこのしっぽ
利用パック　表紙フルカラー本文オンデマンド1色刷の本
A5サイズ、332ページ、表紙エスプリコートVエンボス [アラレ]、本文上質紙70kg

この最高の表紙を見てくれ……。

表紙絵はLASの至宝、紙尉ユビ先生 （https://twitter.com/yubi_kamii）。見た瞬間、ハートにぶっ刺さりました。これ本屋に置いてあったら、はな丸は絶対に買う。すぐに買う。値段見ないでレジ持って行っちゃう。

自分で作ったからかもしれませんが、この四作目（四女）もめちゃくちゃにいい娘になりました（親バカ）。

本作は、賛同していただいたLAS字書き１５名のイカれる同人誌作家さんに参加してもらいました。総字数２０万字。総ページ数は、な・な・なんと、３３２ページ！　印刷所「ねこのしっぽ」でもオンラインでは３００ページまでしか申し込めない規格外の本でした。いろいろやり取りしながら分厚い”鈍器本”を作りました。

↑今ここ

実はこのお話、リアルタイム進行中なのです。これからこの”鈍器本”をみなさまにお届けしようと思っています。

２０２２年３月８日、シン・エヴァンゲリオン劇場版公開１周年記念日に、全年齢合同誌「君のそばで眠らせて」を頒布します。

まとめ

はな丸は、桜の季節にシンエヴァに出会いました。シンエヴァを観て映画館を出ると、桜の花びらがいつまでも風に舞ってました。

シンエヴァに出会って１年。
エヴァファンになって１年。
生まれて初めての推しに出会って１年。

はな丸の人生は、大きく変わりました。

もし、シンジとアスカは幸せになったか、と聞かれると、はな丸は途方に暮れてしまいます。二人の事を思うと、今でも胸の中に説明のつかない感情が湧き上がります。それは切なく、行き場のない感情です。

はな丸の人生がメチャクチャになって、同人誌を作りまくって、それでもまだ足りません。エヴァに出会ってから、つらくて、切なくて、実らない恋のことばかり考えてます。

それでも、はな丸はエヴァに出会えてよかった。

桜が咲き、散るのを見て、これから何年も何年も思い出すに違いありません。この桜の季節に、はな丸はエヴァに出会ったんだと。

きっと、いまは夢のような日々です。
はな丸は、エヴァに出会えて幸せです。
エヴァを愛する作者たちと一緒に作品を残せて幸せです。
そして、エヴァを愛する読者に見つけてもらい、読んでもらって、本当に幸せです。

どんなにつらくても悲しくても、はな丸のエヴァに対する想いは、熱量は、愛情は、限りなく幸せなものです。

１年間のエヴァに対するこの気持ちを、再び花開くひとひらの桜とともに、あなたに届けたい。

ぜひ、新刊でまたお会しましょう。
よろしくお願いします。

合同誌主催　はな丸
作者一同

【表紙イラスト】
紙尉ユビ https://twitter.com/yubi_kamii

BOOTHで新刊頒布、行います。こちら↓
（追記: 3月19日でBOOTHでの頒布を終了いたしました。10日間、ありがとうございました！）

合同誌、サンプルはこちら↓

はな丸、初めてのエヴァ二次創作です。

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