詩『口数の多い無言』

距離に似合わない

声量を振る舞った

祖母。

太陽を

味方に

つけてるかのような

エナジー。

よく笑う声

音量

ぷらす過多。

お盆に

顔を見せに行けば

歓声と

金属音の

甲子園。

体験した人への

戦争の話の

リクエスト。

教室が似合う先生の声を

思い出した

ある夏の

リスナー。

なにかを

たずねようとする

子供に

聞く態勢たいせいに入る

祖母。

顔から

静かに

抜かれていった

笑う神経。

目が合わないまま

ゆっくりと

顔をそむ

耳へと

行進したであろう言葉に

無言むごん

返信リプライ

立入厳禁。

無音むおん

ノイズが走った

小さな心。

開けてしまった

封じていた

記憶。

結局

一度も

会うことのなかった、

想像さえ

拒絶きょぜつしていた

経験。


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