詩『beef and chicken』

空席の舌先したさき

息を吹き返す

味の記憶。

空腹を

きっかけに

野生を取り戻す

犬歯。

途中まで

命とつながっていた

香ばしい食材。

親と子として

取り沙汰ざたされるのは

どの鳴き声までだろう。

団欒だんらんから

離れたところで

煙へと着替える

炎。

花を着飾って

迎えてくれる植物も

道のもう一方で待つ

立派な生命。

命のうつわ

口へと運び

心臓で

空気をくすぐる

私たち。

食欲と

魂との

あいだを取り持つ

前後の

あいさつ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?