詩『旅行か 旅行じゃないか』
帰ってからの
倦怠を
秘めながら
屈託のない笑顔にやられ
また
旅行記の中。
楽しみにしていた本の
新しいページを
空気にさらすような、
私をも追い抜く
高揚感。
旅先での
常識は
絶対。
暗闇を引き裂くはずの朝日が
地を這うように
私の前を
歩いても
静寂を
献上して
服従。
目の前の旅路へと
背中を
押したのは
大声。
追いかけてくる銃声から
ひとつきりの一生を
逃がすため。
行った先の
常識が
絶対。
着込んだ
無防備。
鋼鉄が
思いのままなのは
体温が
高いうちだけ。
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