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面談でも面接でも雑談でもない、1 on 1ミーティングという第3の話す場~医学書院「看護管理」のウェビナーに参加して~

今日は朝の10時から17時までがっつりこちらに参加しました。

どっぷり1 on 1に浸る、感じる、さらされる。

ウェビナー講師はYahoo!で1 on 1を根付かせたパイオニア、本間浩輔先生

モデレーターは私も日頃からご指導いただいて大変お世話になっている、保田江美先生

主催は私が毎月連載を執筆させていただいている医学書院『看護管理

今日のウェビナーはがっつり管理者向け、ということで私は確実に浮いていたんだけども、それでも参加したいです!という思いを汲み取っていただいて参加させていただきました。せっかくなので、習いたてほやほや、1 on 1について書いてみます!

1 on 1ミーティングとは

1 on 1といえばまっすぐに思う浮かぶのがバスケ。1対1で追い抜いて真っ向勝負をするアレです。

ですが、人材育成の世界でいわれる1 on 1ミーティングは全く別もの。

「上司と部下が定期的に話す時間をオフィシャルに取るための仕組み」

と定義されています。

なーんだ、半年に1回やる面談ね!やってるやってる・・・

と言いたくなるところですが、実はこの1 on 1はビールでも発泡酒でもない「第3のビール」と同じように、面談でも、面接でも、雑談でも、査定評価でもない、そんな「第3の上司と話す場」なんです。(これは勝手に私が名付けました)

え?面談でもなくて面接でもなくて雑談でもないってどういうこと!?上司と二人きりで出かけて話すってこと?まじ無理なんすけどw

って草がわらわらわらと生えそうなかんじですが、それがもうこの今日の6時間近いセミナーを受けて考え方ががらっと変わりました。

有料のセミナーなので事細かには書きませんが、ざっくり1 on 1を要約すると、

①上司と部下が二人きりで、

②上司が部下に「今日はどんな話をしたい?」と聞いて、

③部下が話して、

④上司はふむふむなるほどほーへーあーそうなんだーほうほうそっかそっかああそうだったんだねそっかそっかなるほどと聞いて

⑤次回の1 on 1に向けての小さな宿題を一緒に考えて

おわり。

えっ、たったそれだけ?

かなり要約はしましたが欠かせないポイントは抑えられていると思います。

そして、この1 on 1の最大の目的は「経験学習を促進すること」です。

経験学習のコルブさんは何度もこのnoteでもでてきているので自分の専門分野の知識が繋がって嬉しく感じました。

部下に自由に話をしてもらうこと、それを傾聴することで、コルブさんの経験学習サイクルをぐるぐるとまわすことができる、というのが1 on 1の第3の話す場、としての価値だと思います。

(詳しく知りたい方は本間先生の著書や看護管理10月号をお読みください)

1 on 1の魅力

今日は実際に3人組にグループ分けをされて、何度もディスカッションをしたり、1 on 1を実際に「感じる」というロールプレイもたっぷりやりました。

私と同じグループにいらっしゃった方々はもちろん現役の管理職だったので、本当に現場で抱えている悩みを知ることができたのはとても貴重でした。

本間先生のデモの時点から、もう1 on 1の魅力にすっかり虜になってしまい、客観的にみているだけで「流れが美しい」というのが一番近い表現かもしれない。本間先生が話すのはほんのひとことふたこと、それでも「部下役」の方の話すキーワードをがっちり掴む、というのがすごかった。

とにかく「問いかけ」が卓越しているんです。

以前、ORIDという問いかけのフレームワークについて記事を書きましたが、きっとこれにも通じることがあって、この順番に質問をされているようにも感じました。

私自身も、上司役・部下役をどちらも体験しましたが、部下役では特に悩んでいることがするするとクリアになっていくような感覚をたったの7分で体感することができました。もう本当にもやもやがとれて視界がはっきりしていくかんじ。

本間先生がおっしゃられていた言葉ですごく印象に残っているのは

「スーパー偉い上司が自分のために時間を使ってくれているという感覚」

が1 on 1の一番の魅力ということ。

たしかに、私のような一般的なメンバーにあたるポジションにとって、忙しい師長さんや部長さんが自分のために時間を使って、自分の好きな話を聞いてくれるっていうのはものすごい嬉しいし、信頼できるなって思います。

「たったそれだけ」なのになぜできない&難しいのか

じゃあ、①~⑤のステップをみてみてもすごくシンプルで単純で「たったそれだけ」なのに、なぜ看護を含めて多くの組織が導入に躊躇をしていたりこれを難しいと感じるのか。今日のウェビナーに参加してみて学んだのは、下記の2点です。

・たった①~⑤を15分(最短で5分でもいい)やるだけなのに、「全員とやるという時間が捻出できない」から

・「ふむふむなるほどほーへーあーそうなんだーほうほうそっかそっかああそうだったんだねそっかそっかなるほど」の部分がもうとにかくエキスパートであればあるほど、教育指導熱心であればあるほど難しいから

ひとつずつみていきます。

1)時間が取れない

1 on 1は「会話」が主というか、「会話」以上でも以下でもないのでお金は一切かかりません。だけど、最大の問題が「費やす時間が取れない」ということ。

実際の看護管理者さんたちとウェビナーのなかでブレイクアウトルームを通して話す機会がたくさんあったのですが、どの方も頭を悩ませていたのがここでした。

たった①~⑤、部下を呼び出して話しを聞くだけのことなのに、それが10人、50人、100人と対象が増えるほど、また1 on 1は「繰り返す」ことが何よりも大切なのでその時間を全員に定期的に設けていたらパンクしてしまう。今日のウェビナーでもその議論はたくさんされていて、どうしたら勤務内に組み込めるか・みんなが効果をわかってくれるか?という点にアイデアを出し合いました。

私が臨床で働いていたときも、師長さんはいつも全員との10分程度の人事考課の時間をつくるのに頭を悩ませていました。今日は面談だーと思っていたのに緊急入院がきて「ごめん!また今度ね!」となってずるずると引き延ばされていき、そして他のスタッフもたまっていき、時間外になってしまったりというのももちろんありました。

いかにスタッフ全員が1 on 1の魅力を体感して、それのためなら誰かが1 on 1やっている間はカバーしあおう!みたいな組織風土になるのが理想ですよね。私はすでに1 on 1の虜になっているので、「1 on 1いってきてください!ここ私やっとくんで!」と喜んで送り出しちゃいそうです。

2)エキスパートで教育指導熱心であればあるほど「ふむふむなるほどほーへーあーそうなんだーほうほうそっかそっかああそうだったんだねそっかそっかなるほど」の部分ができない

これはもうウェビナー中、なんどもぐさぐさ心に突き刺さりました、、笑

1 on 1の要となる部分は「とにかく真剣に相手の話を聞くこと」

看護でいえば、患者さんに寄り添って話しをきく「傾聴」というとても大切なコンピテンシーがあるのですが、1 on 1でもそれが大切になってきます。

ところが、こちらがエキスパートであればあるほど、また教育熱心であればあるほど、こちらが答えを提示したくなってしまったり、導きたくなってしまう衝動にかられる

つい先日、前職の後輩くんと久しぶりにご飯にいったのですが、彼がいろいろ悩んでいて話してくれました。でも私は彼が一言いうたびに「これやってみたら?きっと○○はこうだから、ああした方がいいんじゃない?」「○○なら絶対大丈夫だって、今度はこうしてみなよ」と言いまくっていた

わあああああああああああああああああああああ

猛省しました。

「1ストローク会話を待つことができるか」

と本間先生がおっしゃっていたのがぐさりとわたしのもろいハートを貫通しました笑 1ストロークどころか、1フレーズでさえぎってしまうこともあったよな、私。

「ふむふむなるほどほーへーあーそうなんだーほうほうそっかそっかああそうだったんだねそっかそっかなるほど」という一連がとてもとても難しいというのを、今日の上司役をやっていても痛感しました。

相手の話をただ聞くこと、それがもうこのうえなく難しい。こちらに情熱があったり助けたいという思いが強いほど反比例するのが悲しいですね、、

developmentの訳

今日のウェビナーだけで私のメモはとんでもない数になったのですが、たくさん書き留めておきたい言葉のなかでひとつだけ紹介します。

本間先生が「developmentというのをどう訳しますか?」と問いかけました。

たとえば、organizational development。

ビジネス的な視点のひとは「組織開発」と訳します。

でも、みなさんのような看護の背景をもたれた方は、「発達」と訳したほうがしっくりくると思うんです。僕は「看護発達学」というのがあると知ったとき、震えるほど感動しました。

組織は開発という形で外部から手を加えるのではなく、一緒にみんなで探り合いながら発達していくもの、成長していくものだと思います。1 on 1はそういった成長を促すのを助けてくれるものだと思います。

というようなことをおっしゃっていました。

大学院でも、adult developmentについて日々学んでいますが、たしかに成人開発ではなく「成人発達」だし、なにも意識していなかったけど、こうして看護の背景をふまえて尊重して説明してくださったのが本当に本当に嬉しかったです。

1 on 1という、上司と話す第3の場。信頼関係、成長、発達、いろんな未来への希望がつまっている場だと思います。

すぐに導入、というのはなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも今日参加されていた70名近い看護管理者の先輩方は1 on 1の魅力にとりつかれて明日から少しずつ日本の看護の何かが少しずつ変わるのではないかとわくわくしています。私はまだまだ遠い未来になるかもしれませんが、必ず1 on 1を看護に広める一助となりたい!と思いました!!











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