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夏から仔猫を育てていた話

うちには今、約1年半前に譲渡していただいた保護猫(オス・4歳)がいる。成猫ということもあり、彼は非常に落ち着きがあるうえ頭がよく、人間の環境に合わせて上手く暮らしてくれていた。人懐っこいタイプではない大人しい性格だけれど、人間とほどよい距離で一緒にいてくれる、素敵な猫だ。

そんな中、実は縁あって昨夏に仔猫(オス)を譲り受けていた。
生後2~3ヶ月と聞いていたものの、それにしては大変に体が小さい。生後3ヶ月頃で体重は大体1~1.5kgらしいのだが、その仔猫はわずか500g。おまけに風邪も引いていたし、体はノミだらけ。(このとき、わたしは初めて生で”ノミ”を見た)非常に弱々しい印象の仔猫がやってきたのだ。

それから、ネットで情報をかき集めながらの仔猫育てがはじまった。まずはこの大量のノミをやっつけなければいけないから、日々沐浴をする。(猫をお風呂に入れると、お湯に触れたノミが苦しがって、体から取れるのだ)あまりに体が小さすぎて、動物病院でノミの薬を付けることすらできないから、沐浴と、目視でノミを見つけて爪で潰す…といった手法で駆除するしかない。
やっとノミの薬が付けられるまでに大きくなったら、今度は耳垂れを発症。耳を痒がるうえ、耳の内外が膿んでしまったのだ。しかも検査をしたら、どうやらよくあるダニが原因の耳垂れではないらしい。アレルギーかも?なんて先生と頭をひねりながら、毎週病院に通ってしばらく治療を続けた。そうして気温が下がる秋冬に移ると、なぜかぱったり症状がなくなってしまった。

その頃、仔猫がやっと採血できるほどの大きさになった。(といっても、一般的な仔猫のサイズに比べるとまだまだ体は小さい)これでやっとエイズ・白血病検査ができる!この検査を終えないと、先住猫と同じ空間で過ごすことはできない。
採血結果はエイズ、白血病共に陰性。こうして、これまでわたしの仕事部屋・ケージで過ごしていたこの仔猫は、やっと家中を動き回れるようになった。

穏やかに過ごしたい先住猫と、とにかく遊びたいヤンチャな仔猫の仲はなかなか縮まらなかった。ただ、加減を知らない仔猫のじゃれつきがあまりにひどいときには、先住猫のファイアパンチが飛んだし、ストレス発散のためのオモチャをいろいろ与えることで、チビ猫も一人遊びのコツを掴んでいった。(おかげでAmazonのオモチャ注文履歴がすごいことに…)

そんな仔猫が、ついに去勢手術をすることになった。先を見越した仔猫の健康を考えたうえでも去勢は必要と考え、わたしは彼を病院に送り出した。
病院に前泊、翌日手術、翌々日にお迎え…というのが、手術のスケジュールで、丸一日、仔猫のいない日ができることになる。これまでヤカマシイ存在だとばかり思っていた仔猫がいないのは、思った以上に寂しいものであった。仔猫が家を空けた1日は時間の流れが遅く、無事に手術が終わったかな、早く迎えに行きたいなと思う自分がいた。

思えば、仔猫を育てるすべてがわたしにとって初めてのことばかりである。実家で仔猫を育てたこともあるけれど、当時のわたしは高校・大学生。こういった仔猫に関するケアは全て母が担っていて、気づけば去勢・避妊手術が終わり、気づけば猫は大人になっていたのだ。
また、わたしは今回この仔猫の存在を周りに明かしてこなかった。この仔猫があまりにも弱々しいので、体つきがしっかりとした状態に成長するまで、誰かに報告する気持ちになれなかったのだ。

しかし、手術を終えて無事に帰ってきた仔猫を引き取り、これでようやくひと段落かもしれないと思った。仔猫は相変わらず小柄だけれど、今では毎日元気に楽しくやっている。去勢手術後は少し穏やかな性格になると聞くので、願わくば、先住猫ともう少し仲良くなれれば…などと期待もしてしまうけれど、それは本人たちに任せよう。
仔猫の人生(猫生)を支えてみて、改めて、保護猫活動等に従事している方たちの、たゆまぬ努力と愛情は素晴らしいと思った。自分は仔猫1匹だけでもヒイヒイと必死である。

そんなうちの仔猫は来月末頃にようやく1歳になるらしい。もう仔猫は卒業だね。

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