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映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第31回

食べ物も音楽も楽しんでこう
2014「シェフ 三ツ星フードトラック始めました(Chef)」
文・みねこ美根(2019年11月18日連載公開)

ワンマンライブを終えました、余韻の中、指輪をつくりましょ!最近どっしり系の映画を立て続けに見たので、楽しいものを見てみた。

 つい最近、5、6年ほど連絡を取り合ってなかった友達とLINEをした。ターミネーターの予告を見たときにふと思い出し、連絡を入れてみたのだ。返事が返ってきて嬉しかったのだけれど、序盤から、話を切り上げたいオーラを出されている、そんな気がしてならない。こちらばかりが質問をしてなんとか会話が続いているこの感じ。確かに、会話の目的が“会話”では、相手も何をどう展開していったらよいか分からないだろう。申し訳ないことをした。こうして友達が減っていくんですね。わかります。ちょっと落ち込んでしまったので、爆音でラテン音楽を流して家で一人、踊ってみた。楽しい。

そうだ、そうだ、私が疑心暗鬼なだけで、その瞬間の会話は楽しんだんだからいいじゃないか!ひー、ひー、ふー。ところで、なぜラテン音楽かって?それは「Chef」という映画を見たからです。
監督・脚本・製作・主演をジョン・ファヴロー(アイアンマンの監督そして運転手ハッピーの人ね)が務めるこの作品、とても楽しい気持ちになれる。

 一流レストランで料理長を務めるシェフ、カール。有名な料理評論家の来店に合わせ、新メニューを出そうとするが、オーナーに反対され、不本意ながら出した従来のメニューを評論家にこき下ろされてしまう。カールが慣れないTwitterで反論したところ、大炎上。再び来店した評論家に罵声を浴びせてしまい、その映像もまた拡散され、店をクビになってしまう。元妻イネズの提案により、フードトラックを始めたカールと、レストラン時代の同僚マーティン、息子パーシーとの旅が始まる、という話。

旅で大切なものに気が付く、という触れ込みだったけど、ちょっと違うかな。フードトラックで旅に出るまで、映画の半分以上を使っているし、旅がメインではなく、カールの人生の転機を一緒に楽しんでいく感じ。料理を楽しみ、味わい、息子と会話をし、同じ時間と食を多くの人と共有する。“今を感じる瞬間”は楽しくちょっぴり切ない。それが美味しそうに詰め込まれた作品。(邦題は酷い。)

パーシーのパパ大好きな気持ち、遊びに行くとか特別なことばかりじゃなく、もっと会話をしたい、パパを知りたいという気持ちがとても可愛らしい。時々素っぽくなる表情も愛おしい(キューバサンド試食シーンが好き)。駆けつけてくれるマーティンや、元奥さん、スカーレット・ヨハンソンが演じるソムリエとの関係性も素敵だ。

 カールが評論家にぶちぎれるシーンは、制作サイドにも携わる彼が叫ぶからこその作り手の叫びにも聞こえて秀逸。そしてなにより美味しそうな料理!調理シーンも嫌味な雰囲気(スローとかやりがちなやつ)が無くって見てて楽しい!今回の指輪ミニチュアフード作りの魅力にはまってしまい、いつもより若干長めの動画です。どうしてもカットできなかったぜ。BGMでカバーしたラテン調のピアノももうちょっと勉強してみようかな、面白い。気持ちが楽しくなってきた、よし。

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モチーフ:出来立てのキューバサンド、焼いてる時のキューバサンドとバターを塗るはけ、パーシーの朝ご飯のチーズサンド、パーシーの朝ご飯の目玉焼きとポテトとベーコン、モリーに作ったパスタ、フードトラック
音楽:Pete Rodriguez「I Like It Like That」オルゴールver. Cover

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