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映画「チャーリーとチョコレート工場」の指輪 〈映画の指輪のつくり方〉第3回

チョコレートはビターが好きですので
2005年公開「チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)」
文・みねこ美根(2018年4月1日連載公開)

 私はチョコレートが好き。中学生の時、定期テストに命を懸けていた私は、集中力の高まりを期待して、カカオ濃度の高い、土のようなチョコを食べまくりながら勉強していた。太ったが、当時の並々ならぬ集中力はチョコレートのおかげだ。
 バレンタインデーやホワイトデーに良い思い出はない。小学生の時、同級生にチョコをこっそり渡したが、あっさりクラスメイトに見つかって、数週間からかわれた。高校生の時、友チョコの交換会の最中おなかを壊した(チョコは関係ない。数日前からお腹が変だった。)。バレンタインチョコのつもりで渡したチョコを時期がずれ過ぎていてわかってもらえなかったこともある。でもチョコレートをはじめ、お菓子は小さいころから大好きだ。そんな自分が小学生の時に夢中になった映画が、2005年公開のティム・バートン監督作品「チャーリーとチョコレート工場」である。

 夢中になったのは、美味しそうなお菓子だけでなく、いけ好かない子どもたちを懲らしめるストーリーだ。ウィリー・ウォンカのやり口に憧れた私は、クラスのいじめっ子や悪口を言う輩に配るためのゴールデン・チケットを一人量産した。ウィリー・ウォンカになりたかった。しかし、内気でしがない小学生だった私は、チケットをつくる能はあっても、懲らしめる方法は考えつかず、金色の色鉛筆が減っただけに終わった。

 この映画は、全部が魅力的で、お菓子の詰め合わせのようだ。想像を掻き立てるお菓子の色合いや質感、工場と街の色合い・温もり感の対比。冒頭から「これはなんだ!」と見入ってしまうし、何よりダニー・エルフマンの音楽が最高だ。変声機による子どものような声、なんと不気味なのだろう。それぞれ子供に向けて歌われる曲も非常に面白く癖になってしまう。ウンパルンパの歌うシーンは、ミュージカルのそれとはまた違った異色の演出に思える。滑稽だが、グロテスクさを増幅させ、映画の重要な場面であることは間違いないし、間延びすることもない。

 また、今回これを書くにあたって本作を見直した際に、時間が有効に配分されていると感じた。チケットを見つけるまで30分、ウィリー・ウォンカの顔がはっきりと映されるまで40分とかけている。ここまで「引っ張っている」ように感じさせず、期待感を持続させるのはすごい!

 そしてウィリー・ウォンカの白い顔。ジョニー・デップの表情に加えて、照明によってさまざまにニュアンスが変化する。ピエロや能面のようだ。ウィリー・ウォンカの不気味さ、人間離れした存在感はこれに由来するのではないかと考える。

さて、ウィリー・ウォンカは歯医者の息子だが、来る「良い歯の日」4月18日は、渋谷eggmanにてライブがある(連載当時2018年原文ママ)。ぜひ来てほしい。お客さんを集めることは、チョコレートのように甘くはない…。お待ちしております。

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モチーフ:工場の中にあるお菓子の庭
音楽:ダニー・エルフマン作曲 メドレー(編曲・演奏 みねこ美根)

オルタナティブ・シンガーソングライターの〝美根〟です。
作詞作曲をして、ギターとピアノの二刀流で唄い、自分の世界を届けています。
「みねこ美根」名義で活動していた2018年から、OKMusicさんにてweb連載を続けてきた「映画の指輪のつくり方」。
たくさんお世話になったOKMusicさんのサイト運営終了に伴い、noteに移行して連載を続けています。
毎月、大好きな映画から一つ選んで、それをテーマに指輪を制作。
勝手に皆様へお薦めするレビュー文章、制作作業動画を公開中。動画では劇中歌のカバーも。ぜひ、楽しんでいってください。
私の本業である音楽活動など、さまざまな情報は下記リンクからがとても良きです。

私を知るためのキーワードは・・・
オルタナティブ、ライブ活動、ランプ、弾き語りスタイル、バンドスタイル、耳と脳にこびりつく作品たち、心火、焔心の砦、美術館でも展示された指輪たち、自作ストップモーションアニメ、MV、毎週水曜生配信番組、2024年5月24日と6月9日のワンマンライブ、人生初の弾き語りツアー・・・
知りたくなってきた?→ https://lit.link/minelink

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