星降る男

転職してからというもの、毎日が全力疾走。

分からない事だらけなのですが、社内で質問もできにくい雰囲気です。

そこで、登場するのが、何故か父。

私とは同業者でないにも関わらず、ほぼ全ての質問に答えてくれます。

数字に大変強い父。

私があれやこれやと口走っただけで、もう、答えを出してしまいます。

（どうして、こんなに頭の構造が違うのか？）

幼い頃から、父を見ていると劣等感に陥る私。

｢お父さんは、頭が良いのに…｣と嘆く母。

｢お父さんは、どんな職業に就いても食べて行けると！｣と、父。

（何なんだ、この変な自信は？）

確かに、そんなフシは、ある…。

私は、人一倍努力しなければならないタイプですが、父はそれ程努力しなくても、何でも標準以上のことはやってのけます。

（さぞかし、人生、楽しかろう…？）

不思議な微笑みを浮かべながら、淡々と生きる父。

悩みを持たないという才能にも恵まれ、望みもしないのに、人が欲しがる様なものを勝手に手に入れている父。

｢星降る男｣は、何処か浮世離れしているのでした…。