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論理ではなくゲシュタルトを構築する

認知科学者の苫米地英人さんが書いた「”頭のゴミ”を捨てれば,脳は一瞬で目覚める!」という本を読んだ。

頭の中のゴチャゴチャ感やイマイチ集中できない原因は全て頭の中のゴミにあるとして,ゴミの捨て方を7つのステップで紹介している。

読んでいて納得することは多かったが,「正直それはわかってるんだけどなぁ」という内容が多く,いざ実践するのは難しく感じる印象の本だった。

しかし,最後の8章に書かれた「”論理へのとらわれ”というゴミを捨て”ひらめき脳”を手に入れる」は腑に落ちるもので,個人的にヒットした内容だった。

抽象度とゲシュタルト

頭の良い人は,断片的な情報から全体像を把握できる以下のような能力が高い,と感じたことはないだろうか。

「会話の冒頭だけで全体の内容を理解できる」
「一瞬で答えが閃く」
「斬新な角度から面白い意見を出せる」

今まで自分は,これらの能力の高さは論理的に物事を類推する能力(AだからB,BだからCのように論理的な思考ができ,尚且つそれが素早くできる能力)の高さに起因すると思っていた。

しかし,著者はこれをゲシュタルト能力の高さにあると指摘している。

ゲシュタルトはドイツ語で形(Gestalt)の意味で,一つのまとまった有機的・具体的な全体性のある構造を指す。

ゲシュタルト崩壊で有名な言葉だと思うが,概念と読み替えても良いと思う。

自らの概念を拡張させていくには物事を抽象化していくことが必要になる。

本書ではワインのゲシュタルトを例にしているが,
「ブドウで作られたワイン」→「リンゴやサクランボ,ブドウで作られたワイン」→「果実で作られたワイン」という風にゲシュタルトを拡張していくことで抽象度が上がり,知識が増えていく。

これを進めれば,いずれゲシュタルトとゲシュタルトを合わせて新たなゲシュタルトを構築することも可能になる(ワインと果実酒の関係とか)。

部分から全体へ

IQが高い人は総じて,大きなゲシュタルトを持っている。

ゲシュタルトが大きいと,新しい情報が入ってきた時にゲシュタルトの中の様々な情報と共鳴できるため,多様なアウトプットが生まれる

大事なのは,これらは論理的な思考の外側にあるという事実であり,一瞬のひらめきは論理思考ではなくゲシュタルトから生まれている。

なので,ひらめきの能力を高めたければ,自らのゲシュタルトを大きくする努力をすべきだ。

様々なジャンルの事柄について抽象度を高め,頭の中に大きなゲシュタルトを構築しておくことと,新しい情報に対して上手く反応できる可能性がそれだけ高くなるのだろう。

まとめ

これまで自分の中になかった概念を学ぶことができた本だった。

「頭のゴミの捨て方」は難しいが,このような難しい内容に対してもゲシュタルトを構築できるように意識することが大事だろう。

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