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バイリンガル教育ーーー漢字に「ふりがな」を付けるべきか、付けないべきか。

私は教育関係のパートをしているのだが、私一人でやっているのではなく、同僚も勿論いる。

私達は色々と意見を交換しながら、子供達の為にワークシートを作ったりするのだが、ある同僚はワークシートの全ての漢字に必ず「ふりがな」をつける。

何故つけるのか、と言う私の問いに「日本語力が弱い子も読めるように。」とその人は言った。その人にはお子さんがいないし、自らのバイリンガル育児の経験はない。とても丁寧な人だし、時間もいっぱいあるようだから手間暇かけてワークシートを作っている。まぁ、人それぞれ考え方はあるし、私が全ての100%の答えを知っている訳ではないからその答えに対して、私は何も言わなかったし、それでいいとその人が思うのであればいい話であるが、私は自分の子供にバイリンガル育児を行っている時は「絶対に漢字の横にふりがなは付けなかった。」

同じ様にご家庭でバイリンガル育児を今、必死でされている方は同じ様な感じを持っている方もいるかも、と思うが、人間(大人も子供も)って絶対脳は意識的&無意識的に楽な方に動く。なので、漢字の横にふりがなを付けると、子供は絶対に漢字自体を見ていないでそのふりがなだけを読んでいるはずだ。気になるのなら音読させてみて、子供の目線をじっと見つめるとわかる場合がある。上から下に読んでいく上で、明らかに読めない漢字があり、ふりがながあれば、眼球は右横にずれ、ふりがなを見ている。

話は少し変わるが、車の自動運転システムが向上すればするほど、人間の運転する際の注意力は落ちるそうだ。つまり端的に言うと、そのシステムに意識的もしくは無意識に安心し、脳が動かない、らしい。

私は漢字の横にふりがなを付ける、と言う行為はそれに似ている、とも思う。ふりがながあるなら絶対に漢字を、特に日本語が苦手で音読があまり出来ない子供が、漢字を読むわけがない。そのままふりがなを読むだけだ。聞いている親はそれで安心する人もいるが、それでは本当は身についていない場合が殆ど。

残念なことに、ふりがなを読めてもその言葉自体の意味は分かっていないことが多いから、その状態でいると早晩教科書の内容についていけなくなる。当たり前の話だけど、平仮名だけ読めても、そのレベルだけの日本語にはすぐに限界が来る。(例:「くるま」の意味はわかっても「じどうしゃ」の意味はわからない。もし「自動車」と漢字も読めて、漢字の意味も把握していたら『動く車』とか『自動で動く車』とか漢字から予測できるけど、平仮名だけでは無理だよね。)

子供が3才位から6才位までは親も「バイリンガル教育をやるぞ!」って熱意も高まってて、親も若いし、元気もやる気もある。また「せめて平仮名が読めないと。。。」と思ってるから平仮名(同時に片仮名も)は結構必死で教える親御さんが多い。しかし小学生1年生に上がって、漢字が出て来ると、たまに頑張るだけではまぁ、ついていくのに精一杯、でも小2くらいまでは子供もまだ親の言う事を素直に聞くし、勉強もそんなに大変でないので何とか頑張れるんだけど、小3位になると言葉も難しくなってくるし、音読み訓読みとかも始まるから、その時点で、もし、まだ漢字にふりがなをつけているのならば先行きは辛いだろうな、って思う。件の同僚は自分でバイリンガル教育をしてきてないから、優しい「親切心」からふりがなをつけているんだろうけど、長い目でみたらそれは親切ではない、って私は心の中では思ってる。だから自分の子供にはその様にはしなかった。

そんでもって、ここから具体的にどうするのか、って方法です。

まず子供に教科書を音読させる。読めない漢字が出て来ると思う。そこで勿論ふりがなは付けない。(つけて、読ませても言葉の意味も分かっていないケースがほとんどなので無意味でもある。)まず、読み方を教える。そして子供がその言葉が分からないようであれば、言葉の説明をする。

例:「自動車」と書いてあったら「じどうしゃ、って読むんだよ、ここに車って書いてあるけど、これは「くるま」って読むのではなく、ここでは「しゃ」って読むんだよ、そして「自動」っていう意味は機械とかで動く、っていう意味。動く、っていう漢字は「動」なんだよ、そして「どう」って読むんだよ。「自」と言う感じは「自分」の自、つまり自分で勝手に動くことを「自動」っていうんだよ、自分で動く車、つまり車の事を自動車ともいうんだよ。」という様に説明をしてあげるのだ。(はい、めっちゃ親は大変です。しかし、これをやらないと子供達の日本語がすぐにボロボロになる!)

教科書の良い所は新しい言葉が何度も出てくる点にある。また「自動車」が文章中に出て来るから、その時に読めるかどうかチェックする。もし読めていたらそれでOK、もし読めていなかったら、紙に5回位平仮名で「じどうしゃ」「じどうしゃ」と書かせて体で覚えさせる。

うちの娘の場合、1,2回繰り返すと読めていた。息子だと5,6回かかる時もある。もう子供の能力に依ることが大きいと思う。そして相手をする親も大変だ。なので、自分の子供でなかったら、件の同僚の様にとにかくふりがなをつけてやって、出来てる様な感じ&気分にさせてやるのも一種のその場限りの優しさだし、教える方もそっちの方が楽である。

でも私は自分の子供には完璧に日本語を使えるような子供になって欲しかったので、安直にふりがなは絶対つけなかったのだ。

勿論全く覚えられない子供もいる。その場合、最初に出て来る漢字にだけふりがなをつけてもいいのでは、とアドバイスはしている。(例:一回目に出て来る「自動車」にだけふりがなをつけて、後で出て来る自動車にはふりがなは付けない)

長くなったのでまた!!