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「ミルク喜多の知らない世界」04 ビビッと来た話 (雑誌連載コラムアーカイブ)

はじめに、こちらのコラムは2019年に雑誌の連載枠で寄稿していたものです。せっかくなので、noteの手始めとしてバックナンバーを掲載させていただこうと思います。ちなみにこちらの連載コラム、タイトルは「ミルク喜多の知らない世界」でした。笑 持続可能な開発”目標”であるSDGsが、マーケティングやブランディングの“手段”となっていることに”違和感”を持っている人には、少しは役立つnoteになるかもしれません。不定期でアップしていきますので、フォローいただけると嬉しいです。

————————————————「カジカジ」連載コラム 2019.12 No.279 掲載

 4回目を迎えた本コラム。引き続き、誌面上との温度差は無視して、続けさせてもらう。今回は文字通り「ビビッ」と来た話だ。寒くなって来たこの時期に、皆さんの身も心も暖めてくれる話題かもしれない。

 突然ではあるが、皆さんは「電気」を選んで買ったことはあるだろうか。料金プランなどの話ではなく、食材や洋服を買うのと同じように「どういう電気を買うか」という意味だ。2016年4月の法律改正によって、電力小売が全面自由化された事、つまりは「電力自由化」になった事は知っている人も多いはずだ。しかしながら、リテラシーの高い一部の層を除いては、電気の購買について自らリサーチやアクションを起こしている人は少ないのではないだろうか。確かに電気という目に見えない商品は、品質や生産(発電)にまで目を向ける事はなかなか難しい。正直、私もその程度であった。

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写真 : フィンランド、アールト建築にて

 数ヶ月前、私の電気購買の選択肢を大きく拡げてくれる出会いがあった。皆さんは『みんな電力』という電力会社をご存知だろうか。私は彼らの考え方や話を聞いていて、とてもワクワクした。なぜなら、農家の顔がわかる野菜と同じく、生産者の顔が見える電気を買うことができるからだ。こちらのHP上では、電気の生産者の方々を可視化しており、生産を応援することができる。耕作放棄地、畑の上層、屋上など全国のあらゆる場所で、個人・法人問わず多様な生産者が存在しており、その生産(発電)方法を知ることができる。

現代の我々は、スマホやPCをはじめとするデバイスを介して、生活のあらゆるシーンで電気を消費している。彼らと話してみて、私にも「どうせなら安心できる気持ち良い電気を消費したい」という考えが芽生えた。ライトな言葉でいうと「イケてる電気」だと感じた。この「イケてる電気」なら、身だしなみのケアや仕事もより一層快適にこなせるかもしれない。既に、アパレル業界でも店舗やオフィスでの導入もじわじわと増えてきている。

今年もいよいよ冬が到来する。暖房器具を介する電気もまた、身も心も暖まるものがおすすめかもしれない。

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このコラムを執筆した当時に比べると(わずか数年ですが)、エネルギーについて多くの方が考えるようになりましたね。コラム内の写真は、昔仕事で訪れたフィンランドで撮影したアルヴァ・アールト作の照明です。照明のデザインというと、美しさや灯りの見せ方という表層的デザイン面が先立ちますが、“誰が、どこで、どのように生産した電力“であるのだろうか、と考えるのもまた大切かもしれないですね。専門の方から言わせると「その電気が直接届いているのではない!」とか言われそうですが、あくまで”お金をどこの誰に落としているのか”という意味だとご理解ください。つい最近依頼がきた新しい仕事で”光”を表現に取り入れる案件がありそうなので、表層に留まらず深みとも向き合っていきたいなと、そう思っておるわけです。ではまた次回。

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喜多 泰之 – Yasuyuki Kita

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1987年、大阪府豊中市生まれ。アパレル業界の両親の下、幼い頃よりインポートの洋服や文化に囲まれて育つ。祖父 : 高田誠三(風景写真家)
2007年 大学在学中に大手セレクトショップにショップスタッフとしてアルバイト入社。ファッションの現場で学びながら、大学にてブランド論を学ぶ。
2010年 大手セレクトショップ新卒入社
店長職を経て、ブランドPR・バイヤー・イベント企画・家具企画・CSRなど兼務し、ブランディング、野外キャンプイベントの企画運営を実践。
2018年 「MILKBOTTLE SHAKERS」の屋号でフリーランスブランディングディレクターとして活動開始
一般社団法人 Green Down Project のソーシャルデザインディレクター就任
2019年 「株式会社MILKBOTTLE SHAKERS」を設立(代表取締役)
2020年 新規事業「Loopach」を発表。
現在は、大手アパレルや異業種、ソーシャル領域までのコンサルやプロジェクトディレクションの中で、アパレル業界の社会・環境へのサステナブルなビジネスモデルの可能性を探り続けている。大学やイベントでの登壇、メディア掲載多数。

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