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赤ひげ診療譚/山本周五郎




積読本📚の中から、山本周五郎さんの小説「赤ひげ診療譚」を拝読しました📖´-
(2024,4,29 読了)






元々は妹から譲り受け、積読していた本。
そうしたら、LINEオープンチャット「読書会すみれ」内で本作がオンライン輪読会の課題本となったのでこれを機に拝読することにしました。


舞台は江戸時代。貧困で苦しむ人々を無料で治療する小石川養生所へやってきた医院見習いの登。
本来ならば幕府の御番医というエリート道を進むはずだったのに恋人からは裏切られ、挙句に不本意な医院見習いを命ぜられ、小石川養生所を取り仕切る新出去定こと赤ひげ先生にはこき使われ。
登にしたら散々な環境で始めは反抗するのですが、貧困に苦しめられている人々や赤ひげ先生の信念に触れていくことで少しずつ成長していく様子が描かれています。



小石川養生所の患者たちにまつわる8つの物語は、心温まるものもあれば哀しく胸がキュッとなるものもありました。
会のお仲間さんたちと輪読しながら涙がこぼれそうになることも。
登の成長を見守りつつ、赤ひげ先生の素晴らしい精神に学びを得れる素敵な作品でした。

「人間ほど尊く美しく、清らかでたのもしいものはない」と去定は云った、「だがまた人間ほど卑らしく汚らわしく、愚鈍で邪悪で貪欲でいやらしいものもない」

「徒労に賭ける」より


この世から背徳や罪悪を無くすことはできないかもしれない。しかし、それらの大部分が貧困と無知からきているとすれば、少なくとも貧困と無知を克服するような努力がはらわれなければならない筈だ。

「徒労に賭ける」より




病気、人々を苦しめる根源は「貧困と無知」と赤ひげ先生はしきりに言います。
始めは昔の話だからと思いながら拝読していましたが、読み進めるうちにこれは現代にも言えることではないかと思うようになりました。
現代では貧困で悩まされることは少ないとは思いますが、「無知」は未だに人々を苦しめる根源になっているのではないでしょうか。
言い方は悪いかもしれないけれど、心が貧しくなってしまっているように感じます。


山本周五郎さんの作品は初読ですが、市井の人々を優しい目で温かく見守ってくださるような方なのかなとイメージしました。
昔のお話から現代に活かせることがあると教えてくださっているよう。
読了後も心にポッと優しい火が灯るような作品でした。



黒澤明監督が原作とオリジナルを上手くまとめた映画も併せてご覧になることをおすすめします。
「赤ひげ診療譚」という素晴らしい作品をより深く楽しめることと思います。




輪読会という機会に導かれこの作品を拝読しましたが、やはり今私に必要な作品をタイミング良く拝読できました。
この輪読会の主催者さんが選書される作品は前回の「深い河/遠藤周作」もでしたが、不思議と今の私に必要なものを与えてくれます。
残念ながら最後は参加できず1人で読了しましたし(毎回輪読会は最後に参加できない呪いにかかってる)、次からの輪読会は開催日が私の参加できない日になったのでもう輪読会に参加することはないでしょうが、課題作はずっと追いかけていきたいと思います。



次は「夜と霧の隅で/北杜夫」の輪読会が始まっています。
もちろん私も購入しました。
ご興味ある方はLINEオープンチャット「読書会すみれ」を覗いてみてくださいね🍀
ちなみに6/2㈰ 20:00〜 私が主催する「作家(翻訳家)縛り紹介型読書会」も開催します。
今回は翻訳家の田内志文さんの翻訳本をご紹介し合う会です。
こちらもよろしければぜひ遊びにいらしてくださいね(* ᴗ͈ˬᴗ͈)”


読書会すみれ





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