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チャペック戯曲全集「母」/カレル・チャペック、田才益夫(訳)






図書館からお借りしたチャペック戯曲全集の中から
「母」を読了しました📖´-
(2022,10,29 読了)





こちらは”読書会すみれ”の中で開催されたオンライン読書会の課題作品です。
カレル・チャペックはこれで3作目。
「母」は全集でしかお目にかかることができないのがとても惜しいくらい素晴らしい作品だと読書会で話題になりました。
ぜひ、単独で文庫化していただきたいものです。



母親として妻としての想いvs大義によって命を落とした息子や夫の想い
これが作品の大きな流れになります。
信念、名誉、栄光のために命を落とした息子や夫が、戦争のさなか残された母と末息子の元に幽霊となって現れます。
幽霊たちは母にしか見えず、自分たちの死に様を母に納得させようと必死に訴え、末息子にも大義を持って生きて欲しいことも訴えるのですが、それに対して母は愛するものたちをそれぞれの大義によって奪われる苦しみを訴えます。





親子離れや母の依存、反戦、女性性と男性性の違いなど色んなキーワードが散りばめられている作品だと感じました。
戯曲はこれで三作目で、これまでは小説よりさらに頭で映像化しやすい読み物という感覚でしたが、今回の「母」は演者のような気持ちで拝読したため頭の中で音読していました。
だからか、より母の切実な想いが伝わってきたように思います。



どうせ、あなたにはわかりゃしないんだから。女がこんなふうになりふりかまわず、女の一念で愛し続けるってことが、何を意味しているのか!





こちらは母が亡くなって幽霊となり現れた夫に対して気持ちをぶつけた時のセリフです。
私は母親になったことがないため、ある程度は母親の気持ちを想像することはできたとしてもその真髄にあるものはわからないと思います。
でも、愛する者がいる女の気持ちはわかる。
このセリフのような想いはやっぱり私の中にもあります。



男性は大義を大切にし、女性は愛を大切にする。
男性は大義のために命をかけれて、女性は愛のために命をかけれる。
今の時代男だからとか女だからなんて言葉は言ってはいけないのかもしれないけれど。
男性と女性とでは根本的な違いがあります。
どちらが正しいというわけではなく、きっとどちらも正しいので、そこをどう折り合いをつけていくかなのかなとも思います。



どんだけ譲歩したとしても、無様でもいいから愛する人には生きてて欲しい。
命より大切なものなんてありません。
ただ、自分らしく生きるために死ぬかもしれないと分かっていても進む道があるんだと強く言われたら、やっぱり送りだしてしまうかもしれない。




いや〜難しい😫
「母」という作品を読了した後もずっと自問自答している私です。
結局、愛する人には大義のために命をかけたりせず生きてて欲しいというのは、こちらの自己中心的な考えでしかないのかもしれません。


今回は課題作品の「母」しか拝読できませんでしたが、カレル・チャペックの他の戯曲もいずれ拝読したいと思います。







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