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しろがねの葉/千早茜




千早茜さんの長編小説、
「しろがねの葉」を拝読しました📖´-
(2023,11,19 読了)




本作は168回直木賞受賞作品です。
千早茜さん、実は今回が初読。
母が千早茜さんの作品が好きで素敵な作品を書かれている作家さんだという認識はあり、勝手に自分の中で信頼のおける作家のお1人だったのですが、なかなか拝読する機会に恵まれず今頃になって´Д`)ヤット‥



時代背景は戦国末期から江戸初期。
シルバーラッシュに沸く石見鉱山(島根)で生きる男たちと主人公「ウメ」の一生を描いた物語です。
私は石見鉱山のことをこの物語で初めて知りました。
銀を掘るという選択しかない人生、銀を掘る男たちは若くして亡くなってしまうことを分かっていながら支える女たち。
薄暗く太陽の光を浴びず、鉱物を吸いながら働く銀山の鉱夫の平均寿命は30歳なのだそうです。
拝読しながら暗い暗い間歩に私もズンズン誘われていくようでした。



孤独から逃れたと思ったらまた孤独を突きつけられて、その繰り返しに疲弊しながらもまた誰かと出逢うことを望んでしまう。
無為に思えても足掻いてしまう。だから苦しくなる。
主人公ウメはその苦しみを受け入れ孤独と向き合いながら生きていきます。
そんなウメに自分が重なり読了後は涙が溢れてしまいました。
ただ、ウメは足掻き苦しみながらもどこか凛としていて決して手放しで幸せな人生だとは言えないけれど、その中にある幸せをしっかり受け取れているようにも感じます。


「銀がなくなっても、光るなにかを人は探すと思います。それで毒を蓄えても、輝きがなくては人は生きてはいけない。無為なことなどないんです。ウメさんの歩んできた道に光るものはありませんでしたか」
「足掻きましょう、無為に思えても。どこにも逃げられはしないんです」




ウメの最後の男となった龍の言葉が胸にズサッと刺さります。
そう……自分の人生からは逃げられない。
そして自分の人生をどのようにしていくかも自分次第。
正直言うとこのところの私は、自分の人生から逃げだしたいという思いが心を占めていきそうでした。
ずっと同じところをぐるぐるぐるぐる堂々巡りしているようで疲れていました。
けれど本作を拝読してもう少し足掻いてもいいのではと思えました。



千早茜さんの作品を好む読友さんが、千早茜さんの作品は
「脳を支配してくる香りの記憶が心地良くて好きです」
と語られていたのですが、今回初めて拝読してその言葉に納得しました。
千早茜さんの言葉には温度や湿度、そしてそこから漂ってくる香りがあるので読み始めたらあっという間にその作品の世界に引き込まれていきます。



私の中にある千早茜さんへの信頼感は、核心へと変わったのでした。





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