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白い病/カレル・チャペック、阿部賢一(訳)





読書系オープンチャットのオンライン読書会課題本、
カレル・チャペックの戯曲
『白い病』を拝読しました📖´-
(2022,5,24 読了)








初めての戯曲。
セリフだけで構成されている戯曲はなんとなく苦手意識があったのですが、良い機会なので挑戦してみることにしました。
ところが拝読してみると頭で映像化しやすくスラスラと読み進めれるのです。
これが戯曲のなせる技なのでしょう。



カレル・チャペック自体も初読です。
劇作家・ジャーナリストという肩書きを持つ作家。
社会に問題提起を投げかける作品が多いのかなと思いましたが、小難しい文章という風ではなくとても分かりやすかったです。
これは、阿部賢一さんの新訳が素晴らしかったのもあるのだろうなと。



戦争目前の世界で、突如「雪崩のように」流行り始めた未知の疫病。
死に至る病を前に、人々は何を選ぶのか。
本書冒頭より




群衆心理の恐ろしさが描かれていました。
そして、群衆心理を煽る社会。
社会によって都合よく思い込まされていることって、きっとたくさんあるのだと思います。
そのことに気づき始めた人たちが少しずつ増えてきているとは思いますが、多くの人たちは気づかないフリをしているようにも思えます。



それはなぜか。
群衆心理でいることが楽だからです。
群衆心理は自分たちを支配し、コントロールしてくれる者を求めます。
人任せにできるから、他責できるから。
個々の思考を放り投げてしまっている状態です。



『白い病』という物語は、救いがないまま終わります。
読了後は頭がズーンとしました。
特にここ数年の世の中を見ているような気分にもなりました。
群衆心理というものはいつの時代にも根強くあるものなのでしょうが、時が経つにつれ群衆心理を煽られていることが見えにくくなっているように思います。



社会の秩序、価値観、色んなことを見直す時期なのかもしれません。
それぞれが、ここまで自分の中に構築されたものに疑問を持ち、自分自身を見直すことが必要とされているのだと本書を拝読して感じました。










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