乙女の密告/赤染晶子
購入本📚の中から、赤染晶子さんの小説
「乙女の密告」を拝読しました📖´-
(2023,7,30 読了)
7月の締めくくりはお初の赤染晶子さん。
Instagramでフォローしている方々の中で赤染晶子さんの「じゃむパンの日」というエッセイが話題になっていて気になっていたのですが、先に本書の方が手元に届いたので拝読してみました。
本書は芥川賞受賞作品。
芥川賞審査員の小川洋子さんが
「審査員になってから今まで、最も心に残っている出会い(文藝春秋より)」
とおっしゃっていた作品です。
親愛なる小川洋子さんをそこまで言わせてしまう作品だなんて期待しかないじゃないですか。
「アンネの日記」をドイツ語で学ぶ女子学生たちのお話です。
血のにじむような努力をしながら「アンネの日記」を暗記し、真意に触れ、我が身に置き換えて現代社会を見つめていく。
赤染晶子さんの文章は独特のリズムがあって、そのリズムに乗せられてグングン物語の中へと誘われます。
今までにない新しい感覚でクセになってしまいそう。
そして読了後も静かに余波が及び、まるで自分が乙女たちの仲間入りしているような気さえしました。
「アンネの日記」は多分かなり昔に拝読しているとは思いますが、今また読み直すべき作品なのだと感じました。
「アンネの日記」には、今を生きるヒントがあるのではないかとも思います。
世間が正義とするものが本当に正義なのか考え直さないといけないのかもしれません。
「アンネの日記」と乙女たちの残酷さがシンクロする物語は、とても短いものですが底が深いので何度も読み返してやっとその奥底にあるものに辿り着けるのでしょう。
一度サラっと拝読して終わりにするのはもったいないと思える作品でした。
とにかくね、赤染晶子さんの筆力にずっと引っ張られているような感じ。
確かなものはまだ掴めていないけれど、これは凄い作品に出会ってしまったという感が否めません。
先に書いた小川洋子さんのおっしゃる言葉にも納得です。
こうして7月の読書を締めくくり、8月に入ってすぐずっと気になっていた「じゃむパンの日」を「乙女の密告」の余波に及ばされたまま読み始めるのでした。
こちらの感想はまた改めて。
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