手すりの「材質」えらび方のキホン(ブラケット・支柱編)
以前に、手すり棒の材質についてお話ししました。
▽こちらの記事です
今回はそれぞれのシーンに適した手すりの「材質」第2段として、ブラケットや支柱など支持金物の材質についてのお話をしたいと思います。
しかし樹脂にまで手をだすと沼るので、金属に絞りました。
亜鉛合金
亜鉛合金の特長
亜鉛は貝類などに多く含まれる栄養素!ミネラル!
…というイメージが強いのは私だけでしょうか。
冷静に考えれば、そもそも亜鉛は金属です。
亜鉛を主体金属とする合金の総称が亜鉛合金。
自動車や航空機の部品、建築材料などに多く利用されています。
軽量ながら強度が高い、いい子なんです。
流動性が高く鋳造(ちゅうぞう)に適していることから、複雑な形状の手すり部材でも成形しやすいのが長所。
大量生産に向いているので比較的お手頃な価格でご提供できるんですよ。
※鋳造とは…
金属を熱で溶かして鋳型(いがた)に流し込み、冷やして固める製造法のことです。
ちょっと違いますがプリンとかゼリーとか、そんなイメージでしょうか。
どうしても例えが食べ物に。
亜鉛合金が使われている手すり
マツ六の手すりシリーズでは、
BAUHAUS 35・32セレクトシリーズ
BAUHAUS 35・32ハイブリッドレール
ECLE 35・32木製システム手すりシリーズ
など、室内用手すりシリーズのブラケットの多くに亜鉛合金を使用しています。
亜鉛合金の注意点
水分の影響を受けやすい浴室用の手すりや、室内よりも汚染物質の影響を受けやすい屋外用の手すりに、亜鉛合金はNG。
もちろん、水がかかったり太陽の光を浴びたりした瞬間に朽ち果てるなんてことはありませんが、はやい段階で劣化してしまいます。
手すりが急に壊れてしまう恐れがあり、重大な事故のもとに!
十分ご注意ください。
ステンレス
ステンレスの特長
鉄をベースとして、その中にクロム(あるいはクロムとニッケル)を含有させた合金がステンレスです。
お前、もともと鉄だったのか…
強度や硬度の高さもさることながら、特に錆びに強いことが特長。
水まわり・屋外での使用に適した素材として、幅広い分野で活用されています。
ステンレスが使われている手すり
マツ六の手すりシリーズでは、水まわり・屋外用として販売している
BAUHAUS 32ステンアクアレール
BAUHAUS 32ステンロストワックス手すりシリーズ
ECLE ステン32システム手すりシリーズ
などのブラケット素材として主に使用しています。
ステンレスの注意点
さてここで重要なのが、ステンレスは「錆びに強い」だけで「錆びない」とは言っていない点です。わぁぁ、引っ掛け問題のよう。
Stainless=「錆びない」という名称から誤解をされることがありますが、全く錆びないということはありません。
そのあたりは手すり棒の材質編でもお話したので、詳細は割愛します。
という感じです。過信は禁物。
錆び「にくい」ステンレスの手すりでも、定期的なお手入れをお願いします。
アルミ・アルミ合金
アルミ・アルミ合金の特長
軽さくて加工しやすい金属、アルミ。
しかしアルミ缶やキッチン用のホイルなど、なんかフニャフニャして頼りないイメージがないでしょうか。
確かに純アルミニウムそのままでは柔らかすぎるため、建築金物としては強度不足になる場合があります。
そんなアルミニウムの弱点を克服して製品や使用シーンに適した素材にするために、マンガンや銅・ケイ素・亜鉛・マグネシウム・ニッケル…などを、あの手この手で混ぜ合わせたのがアルミ合金(アルミニウム合金)です。
アルミ合金は鉄よりも軽く、加工もしやすいことが最大の特長。
また酸素と結びつくことで表面にバリアのような酸化被膜を作るので、耐食性に優れて錆びにくいとされています。
かしこい!えらい!
アルミ合金が使われている手すり
マツ六の手すりシリーズでは、主に屋外用の
BAUHAUS フリーRレール
ストレートEZレール
わたレールEK
などのブラケット・支柱素材として使用しています。
また、アルミ合金はリサイクル性が高く、全てが再生可能な素材であるため、SDGsの観点からも注目されています。
マツ六では一部商品に再生アルミ合金を使用し、地球環境への配慮を行っています。
アルミ合金の注意点
アルミ合金はイオン化しやすいのが残された弱点。
湿度の高い状態で鉄やステンレス・銅といった他の金属に触れ、且つ水分が滞留すると腐食しやすくなります。
ブラケットのどこかに水が溜まりやすい環境であれば、拭き取りのお手入れをお願いします。
最後に、これを言ってしまうと元も子もないのですが
屋外の手すりなら「屋外用」と、水まわりの手すりなら「浴室用」や「水まわり用」などと明記されているシリーズをご使用ください。
材質もソレ用になっているので安心です。
詳しい人が、そのシーンに最適な材料を選んでいますのでね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?