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2023年7月の記事一覧

運命のプランシングホース(8)

運命のプランシングホース(8)

■最強の遺伝子
ポルシェ917のエンジンは4.5リッターフラット12。V12をそのまま水平まで開いた状態のエンジン。でかい。これが空冷というから、空冷フィンがついていてさらにデカイ。これを冷やすために上部にデカイファンがついていて、それがぐるんぐるん回るのである。ファンの位置は90度違うものの、エンジンとしては911に非常に似ている。
ポルシェというのは外観でなく、エンジンフードを開けたとたんポル

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運命のプランシングホース(6)

運命のプランシングホース(6)

■王者の雌伏~前編
50年代~60年代、フェラーリの6連覇、フォードとの死闘で、これでもかと盛り上がるスポーツカーシーン、一方のプランシングホース、ポルシェは何をやっていたのか。

以下、ポルシェ略史である。
 (面倒ならざくっと飛ばしてください。)
創業者フェルディナント・ポルシェは、1875年、当時のオーストリア=ハンガリー帝国に属する北ボヘミア(現在のチェコ西北部)で、ブリキ細工職人の生まれ

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運命のプランシングホース(5)

運命のプランシングホース(5)

■フォードvsフェラーリ
60年代前半ル・マン6連覇を続けるフェラーリに、新大陸から魔の手が忍び寄っていた。
「イタリアのフェラーリ、買収できるのか?」
「エンツォ・フェラーリはなかなかの曲者です。相当な値段を言ってます。」
1960年代、世界最大の自動車メーカー、フォードを率いるヘンリー・フォード2世はフェラーリを買収しようと画策した。しかし、エンツォは交渉のテーブルに座ったものの、裏でイタリア

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運命のプランシングホース(4)

運命のプランシングホース(4)

【戦い続ける跳ね馬】
日本人はどこでイタリア人を学ぶか?サーキットに群居するフェラーリの大応援団、巨大なカナリア・イエローのフラッグを振り回し、声の限りごひいきの赤い車を応援し、ライバルを早口で口汚く罵る。
F1を見たことのある人なら“ティフォシ”と呼ばれる彼らから、イタリア人というのはこんなにも熱い人々だと教わったことはないだろうか?

そのうちフェラーリはさらに特別な存在だと気づく。
アルファ

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運命のプランシングホース(3)

運命のプランシングホース(3)

【暴走する真面目~ポルシェ】
対してポルシェというメーカーは、ポルシェ博士が戦犯でしばらく動けなかったこともあって、慎ましいところから始まっている。
「スポーツカー本来の楽しみを既存のコンポーネンツの組み合わせで味わおう」これが、ビートルのエンジンから進化したポルシェ356。しかし、彼らの技術的アドバンテージはそんなレベルのものではなかった。まんまるカエル顔の愛らしいポルシェ911はルックもエンジ

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