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喫茶店と祖父

喫茶店のこととか、コーヒータイムにまつわることを書くのが好きなので、今日も書いてみようと思います。今回は祖父との思い出を。

3年前に亡くなった祖父とは、私が子供の頃からツーカーの仲で、相思相愛でした。感受性が強めなところも、生真面目なところも、神経症的なところも互いに似ていて、同じ気性を受け継いだ孫の私の心をよく理解してくれて、可愛がってくれました。

そんな祖父には子供の頃ちょっとした所作やマナーをよく躾けてもらっていたんですが、
そのうちの一つが、コーヒーをいただく時の所作。

「ミルクをかき混ぜるときは、スプーンをグルグルするんじゃなくて、こんなふうに(と見せながら)前後にそーっと動かしなさい。スプーンについた水滴は振って落とすんじゃなくて、こんなふうに淵に当てて伝わせる。それからカップの向こう側にそっと置くんやで。」

今でも喫茶店内の光景ごとおぼえている。
祖父の言うことは何故かすんなり吸収できました。きっと信頼し切っていたからなんだろうなと思います。

やって見せて丁寧に教える。ゆっくり順を追ってひとつひとつ言えば理解できるという、孫のテンポを体感的に理解してくれている祖父ならではのレクチャーでした。

以後その一連の動作は完全に私に定着し、コーヒーを飲むときはこの一つ覚えでやっています。ごく当たり前の、コーヒーを飲む時のやってもやらんでもいい所作だけど、祖父を想えるからこの所作が好き。

祖父は喫茶店で休憩するのが好きだったので、私にとって喫茶店は、祖父といた頃の童心と繋がれる場所になっています。
それがいわゆる普通の街の喫茶店であればあるほど、ホッとする。

今でも休日になると散歩がてらお気に入りの喫茶店に入って、全面的に自分のことを受け止めてくれた祖父といたときの安心感をほんのり思い出して、内心子どもに返ったりしています。

読んでいただきありがとうございます。

写真は下鴨神社に参ってからのコーヒーハウスマキ。

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