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大学の授業がウエイクアップ・アワード(2022-23)を受賞しました!

こんにちは。パーソナルコーチ兼、大学でコーチングを使った授業を教えているまゆなです。今回、私含め3名のコーチとともに創り上げた授業が、「ウェイクアップ・アワード(2022-23)」という賞を受賞しました!
こちらのnoteでも授業については何度も記事にしてきましたが、こうして受賞できた喜びと、この活動をもっとたくさんの方に知っていただきたく、記事にしてご紹介します。

どんな賞を受賞したか。


今回受賞した「ウェイクアップ・アワード」は株式会社ウェイクアップが主催しています。この会社はコーチングを主としての人材開発や組織変容®を行っており、私が取得したCTIのコーアクティブ・コーチング®のライセンサーでもあります。アワードの概要は以下の通りです。

ウエイクアップのミッションを具現化する活動に取り組まれた個人、若しくは組織に敬意を表し、それを広く周知するための賞です。
ウエイクアップのミッション 
「意識の進化を呼び覚まし、人やシステムが本来持っている可能性が拓かれた幸せな今と未来を創ります」
授賞式では、「幸福学」の第一人者である、慶應義塾大学大学院教授・前野隆司先生、および奥様でEVOL(株)代表取締役CEO・前野マドカ様に、発表いただいたそれぞれの活動についてのコメントをいただきます。

https://award.wakeup-group.com/

どんな活動を提出したのか?

私を含め3名のCPCC(プロフェッショナルコーチ)である植田・福田・三神と共に、山野美容芸術短期大学で1年生全員に実施している「美道プロジェクト1A」という必修科目を活動として提出しました。山野美容芸術短期大学は、「美道5原則」を基に、主に美容師や美容業界のスペシャリスト、業界をリードするリーダーを育成する大学です。実際に授業をしてみると、どの学生もとても素直で一生懸命。先生方も学生に対して本当に熱心に指導されている学校だと感じました。学校の人材育成テーマに「美しく生きるために必要な能力を有し、美容を通じ広く国際社会に貢献しうる人」を育成するということがベースにあります。

そんな中で私たちのミッションは、学生の皆さんが2年間という長いようで短い期間、自分らしさを受け止め見つけ、そして自信をもって社会に羽ばたくための土台となる授業を提供することです。おおよそ成人したばかりの方々がどんな世界を生きてきたのか?そしてどんな世界に生きていこうとするのか?を私たちなりに分析して捉え、授業目標を設定しました。
そして考えた授業目標は「very good から good enoughへのめばえ」です。これは偏差値やテストの点数など、他者比較によって得られる優越性(very good)だけではなく、「自分をかけがえのない存在だと思う気持ち(good enough)」を育むことに重点を置いた前期15回のカリキュラムを作成しました。

成果は何か

授業は2020年にプレ実施を行い、2021年から本採用されたのでアワードに提出した時点で2期目を終えたところです。また、2021年からは学校の学科改組があり、他の授業とのシナジーもあるため一概にこの授業だけの成果とは言えませんが、以下のようなコメントを学生からいただいています。

・自分の強みや弱みを知れました。
・意見を発言することは得意ではないけれど、あたたかい先生の雰囲気で緊張がほぐれました。
・授業終わりには新しい自分の部分やこうなりたい!という思考ができているので、その思考を活かして生活していきたい。
・他の人の意見を聞く場面が多くあるため、色々な考えがあるんだと実感できてとても良い機会だと思っている。  
・生徒の声をしっかり真剣に聞いてくれる先生なのでとっても話しやすいし授業に参加しやすい。
・自分の内面を語る授業のため段々と自分がオープンになっていって不安がなくなる。
・自分の夢が段々と明確になっていく授業なので受けていて楽しい。
 ・たくさん考える授業が多くて、考える力が身に付いたと思います。
・グループワークをする度に色々な意見が出て、面白さを感じます。

面白い、興味深い、よい機会・・・学ぶだけではなく、それを活かしたい。という声が語られました。この感覚を10代のうちにもって社会に出たら、どうなるでしょうか。きっと、これを読んでくださっている大人の皆さんには、これらの感覚をもって社会生活を送ることの大切さを感じ取っていただけているのではないかなと思います。

授業内容について

授業は自分が18歳の時に受けたかった、知っておきたかったことをコンテンツにしています。公開されているシラバスにもありますが、まずは「自分を知る」ということに重点を置いています。よく似たものとしてキャリアデザインの授業がありますが、就職することや仕事をゴールにした自己分析ではなく、
「私はどんな人なんだろうか」
「これまでどんな風に生きてきたのか」
「どんな出会いや別れがあり、喜びや悲しみをどんなふうに感じてきたのか」
というように人生全体を様々なワークを通じてプロセスをじっとりと見つめていきます。この内容はコーチングを学んだワークからインスピレーションを得て、独自に作り上げました。1授業ごとに学びの目的をきめ、それを体験するために最適なワークを考える。インプットとアウトプットを15分サイクルで作るなど設計し、90分で2〜3回は演習できるようにしました。

自分のことを再発見できることにワクワクした気持ちを感じる人もいれば、過去の自分を思い出すことが少し辛いと感じる人もいます。なので私たちはその時間を安全な場で実施するように細心の注意を払います。こうして言葉で書くとサラリと流してしまいそうですが、実はここがとても肝となります。授業の冒頭にグラウンドルールを共有するだけではなく、何かあった時に周りにわからないように対処する方法を作っています。これは頼もしい講師メンバーの皆さんのコーチとして培った、素晴らしいBeingと経験値が場をつくり上げてくれています。
授業の前半で自分を知ることについてワークした後は、授業の後半でその学びをアウトプットするためのプレゼンテーションを行います。
テーマは「卒業するときの自分」または「自分の好きなもの」についてです。前者は卒業するときにどんな自分になっていたいか。をクラスメイトの前で宣言することで、気持ちが引き締まります。後者は自分の好きなものを語ることで「自分だけが持っている視点」を深堀することができます。学生に好きな方を選んでもらい、プレゼンテーションをつくり上げることで自分のまとめとしています。

大切にしているのは「知識を教えること」ではなく「自分で気づき、学ぶことの楽しさを奪わないこと」

この授業で大切にしているのは「発言や提出の内容に一切の優劣をつけない」ということです。なぜなら感じていることをそのまま発言できる場は、学校生活含め、社会の中で大変に少ないからです。私は忖度や講師の顔色をうかがった発言をし、「はい、それは正解です」と言われることが優秀なのではなく、自分の心の機微に都度気づき、そこから行動を起こし自ら学んでいく。どんな心の動きがどんな世界をつくるのか?そのプロセスを自ら体験して活かすことがとても大事だと考えています。なので私たちは、授業をその練習の場とし、感じたことをそのまま発言し、クラスメイトや講師からフィードバックを元に、自分で学ぶことを促すようにしています。先述しましたが、これには本当に・・・講師側のありかたの力が試されます。上手く表現できないのですが、コントロールしようとするのではなく、自我を超えてもっと大きく、柔らかく軽やかな状態で授業を「信じて見守っている」という感じです。なので、初回なんか終わった後は軽やかなはずなのに汗だくです。精神力が試されるなぁとおもいます。私は今5歳と0歳の子育てをしていますがそれととても似ていて、全速力で走っている子を心の中で応援しながら見守っているような感覚でしょうか。転ぶかもしれない、大泣きするかもしれない、泣かずに立ち上がってもう一度走り始めるかもしれない・・・。ただ、大事故にはならないように、その匙加減を見極めながら手を出さず、経験から学ぶ力があることを信じて見守る。という感じです。

授業という性質上、評価をしなければいけませんが、発言や提出物の内容について評価することは一切ありません。授業に出席し、宿題を提出したかどうか。というごくシンプルな方法で評価を行っています。

学校の特性を吟味する

ここまで汎用的な観点から授業の構成について書いてきましたが、ここからは学校や学生の特性に合わせて行ったカスタマイズについて記します。
まず、美容の学校という特性上どの学生も美に興味があって入学しています。興味の根っこは、好きだから学びたいというものだけでなく、自分のコンプレックスを乗り越えるためにメイクを学びたい、学ぶことに関心がもてるのが美容だったから…など十人十色です。そこには様々な感情があり、感性があります。

働いていると何かと言語化や明文化を求められる世の中ですが、私はそれだけが正しいとは思いません。言葉にすることでそのイメージに引っ張られてしまったり、陳腐化するものもあると考えます。ですから授業内では「言葉にならない感情や想い」を言語以外で表現する手法も取り入れています。大学名にある通り、学生の皆さんは「美容芸術家」なので、その表現を芸術という方法で表現することを歓迎しています。

ウェイクアップアワードとの関連性

この賞の審査インタビューの時に「CTIで学んだこととの関連性はなんですか」というようなことを質問されました。コーチングの技法からインスピレーションを得て作成していること、コーチとしてのあり方を使っていること…スキル的にはそう言えるかもしれませんが、その時咄嗟に私の口から出たのは「どう生きるか、を学ぶということです。」でした。私がコーチングを学んで一番得たことはこの「私はどう生きるのか」という問いだと思っています。このとてつもなく大きな問いは、私の人生に間違いなく大きなインパクトを与え続けています。
授業を行っている山野美容芸術短期大学でも「美しく生きる」ことを学びの軸にしており、この一人一人に生き方を問う、という点において関連性があると考えました。

図書館に貼ってあった「美しく生きる」についてのメッセージ。授業のメッセージと一致している部分が多くあります。

おわりに

今後についてですが、まだまだこの授業もブラッシュアップの余地があると思います。そう遠くない未来で、この授業を履修してくれた学生のみなさんが、「自分について知り、考え、活かそうとする時間が学生のうちにあってよかった。私は私を生きている」と、(たとえそう思わずとも自然と)美しく生きることの役立つことを祈っています。

そしてともに授業を創り上げてくれている講師メンバーのみんなには心から感謝しています。学生の学びを第一に考え、心と知恵を尽くしてくれているおかげで、一人ではなしえなかったことが出来ています。また、このような前例なき取り組みを快く受け入れ、そして必修授業として展開させてくださる大学の皆様にも心から感謝しております。ありがとうございます。

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ぜひこちらの記事も併せて読んでいただけると嬉しいです。


「学生の皆さんに授業で一番伝えたかったこと」
https://note.com/mayunamagara/n/n447b0e61ccee



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