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映画のはなし:帝釈天で産湯を浸かってないけど『男はつらいよ』シリーズ

先日ふと思い立って、帝釈天に行ってみました。子どもの頃は何度も行っていたらしいんだけど、大人になってから行ったことないし、帝釈天の記憶も全くないな、と思って。
めっちゃ楽しかったです。帝釈天の彫刻ってすごいのね!びっくり。

「法華経説話彫刻」は立体的で想像以上に素敵でした。
ちょっと首傾げててかわいい。

そしてもちろん、葛飾・柴又、帝釈天といえば『男はつらいよ』の寅さんシリーズの聖地。
母親は寅さんシリーズが大好きなのですが、父親的にはそこまでではない印象。ただ、小さい頃は家族でよく観ていた。たぶん、「映画借りに行ってくる」と家を出ようとすると、母が「寅さんの映画も借りてきて」とよく言っていたからかも。

なので、私が映画館で寅さんを観たのは、50周年記念作品の『男はつらいよ お帰り 寅さん』のみ。観に行こう!と思って行ったのではなく、諸事情あって映画館で観ることになっただけなのですが……。

毎回、「まぁ寅さんってやっぱり両親世代の映画よね」なんて斜に構えて観始めるんだけど、結局最後は「寅さん、いいこと言うなぁ」なんて思っちゃうのよね。
なんで?日本人の琴線に触れる何かがあんの?

ちなみに私は、御前様(笠智衆)が大好きな渋い子どもでした。
まず、笠智衆が大好きなんですけど(『東京物語』とかマジでティッシュ1箱使うんじゃないかってくらい泣ける)、帝釈天を竹ぼうきでお掃除している姿に絶対的な安心感を感じてたんですよね。ホントに近所にこういうおじいちゃんがいてほしい!って思ってた。

ふらりと出ていき、各地でマドンナに惚れて、お金がなくなったら柴又の「とらや」に帰ってきたり、また旅に出る時には柴又の駅まで妹さくらがお見送りしてくれたり、たまには「お兄ちゃん……」とお金を渡してくれたり。たまに帰ってきても、おいちゃんやおばちゃん、裏の印刷工場のタコ社長と、くだらないことで大げんかをしたり。
「映画だからこうやって笑ってられるけど、家族だったら大変よ~」なんてよく母が言ってるけど、ホントにそうだと思う(ちなみに寅さんとおいちゃん&おばちゃんは実の親子じゃなかったりするんだけど、wikiさんとかに詳しく書いてあると思うのでそちらをぜひ)。

というわけで、帝釈天や参道で寅さんの写真やポスターを観て盛り上がり、公開ぶりに観返してみた、『男はつらいよ お帰り 寅さん』。

現在の満男の生活をベースに、過去の回想がインサートする構成。なので、過去作の名場面があったり、逆に「え!満男っていまこんな状況だったっけ??」と、すっかり忘れていた設定に驚いたり。

寅さんがもらったメロンを、外出していた寅さんの分を忘れて食べ始めてしまったことを発端とした「メロン事件」をはじめ、懐かしいシーンがたくさんあるのですが、満男の回想が主なため、満男と寅さんの過去シーンが少し多め。

本編を観ていると、「マジで満男良いヤツすぎない?」と思うことが多々あるのですが、寅さんと甥っ子・満男との回想シーンを観ると「寅さんみたいに全力で味方になってくれる家族がいたから、満男みたいな超いいヤツに育ったのかも……」と感じることもしばしば。

ド直球な寅さんの愛情って、なんかこっちが気恥ずかしくなっちゃって真っすぐに受け止められないけど、そうやって恰好つけずに愛情を注いでくれる家族がいるって幸せよね。

今の映画と比べて「セリフ臭い」シーンもチラホラあるけど、それでもやっぱり、洗練されていない下町の良さってこういうことなんだろうな、と改めて感じました。
私がずっと持っている「大家族への憧れ補正」も入ってるかもしれないけど。

ちなみに、最初の歌が聞こえてきて「あれ?渥美清ってこんな声だったっけ??まだ耳おかしいかな」と思って画面を見たら、桑田佳祐でびっくりしました。そういえば主題歌、桑田佳祐だったわ。すっかり忘れてた。
そして後藤久美子(満男の初恋の人)も過去の回想シーンと現在パートの主要人物として出演していて、そりゃぁキレイなんですけど。なんですけど!

過去作のさくら(倍賞千恵子)がかわいいから観て!!
ウソみたいにかわいいから!!
ホント観て!!!!

柴又駅前の寅さんが有名だけど、さくらもいるよ。


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