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映画のはなし:女性だからこそ、の復讐劇『プロミシング・ヤング・ウーマン』

タイトルを直訳すると、「将来有望な若い女性」。2021年のアカデミー賞で5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した作品。公開時に観に行こうと思ってたんだけど、タイミングを逃してしまって劇場にいけなかった作品のひとつ。

優秀な医大生だったがある出来事をきっかけに大学を中退し、コーヒーショップで働くカサンドラ。覇気のない毎日を過ごし30歳を目前にしても結婚する予兆もなし。一緒に住む両親も気をもんでいた。しかしカサンドラは、夜ごとクラブに繰り出して泥酔したフリをし、それを良いことに性のはけ口にしようと彼女を「お持ち帰り」する男性に制裁を与えていた。
ある日カサンドラが働くコーヒーショップで、医学生時代の同級生ライアンと再会する。学生時代にカサンドラに恋をしていた、と告白するライアンとの距離が縮まってゆく。
それと同時に、カサンドラが大学を辞めた理由、夜ごと男たちに復讐する理由が明らかになってくる。

監督&脚本は、これが初長編映画作品となる、エメラルド・フェネル。まだ37歳。しかも小説も書けるし、ドラマのショーランナーとしてもエミー賞にノミネートされてるし、さらには女優として数々の映画にも出演している。天才。タイカ・ワイティティみたい。

そして本作ですが、衣装も色使いもカメラワークもめちゃくちゃオシャレ!
裏路地にある、夜カフェのBGVとして流されてそうなくらいオシャレ!!
カサンドラ役のキャリー・マリガンが着る衣装もめっちゃかわいいし!
正直「キャリー・マリガン、年取ったなぁ……」と感じてしまうシーンもちょっとはあったけど(『ドライブ』のショートカットのキャリー・マリガンはめっちゃきれいだった!横顔が美しいの!)、それでもそんなの一瞬で消え去ります。ホント、全然気にならなくなるくらい、作品に引き込まれた。

この作品のすごいところは、「オシャ映画」にそぐわない(とあえて言いたい)くらい、しっかり練られたサスペンス+スリラーな脚本!!
いや、別にすべてのオシャ映画に内容がない、って言ってるわけじゃないんですけど……。私があんまり得意じゃないってだけなんですけどね……。

とにかく!!

カサンドラとライアンの関係性が深まるにつれて、ストーリーの核心となる「カサンドラが夜ごとクラブで男たちに復讐する理由」の輪郭がどんどん明確になってくる。そら脚本賞ノミネートされるわ!ってくらい、無駄がなく完璧な構成。
いやもうエメラルド・フェネル、マジで天才。しかもかわいい。最高。

そして本作のラスト。

「おぉう!そういう感じね!」という結末でしたが、個人的には大好きだし、完璧な終わり方だと思う。
カサンドラの復讐って?に関わるラストだと想像はつくかな、と思いますが、まぁこのご時世にこんなこと言っていいかどうか分かりませんが、「こういう手法は女にしかできない!こんなにも女性主人公である必要があった作品だったとは!!」というのが素直な感想。

ちなみにこのラストを見て思い出したのは、ジェシカ・チャステイン主役の『女神の見えざる手』。これも本当に面白かった!ぜひ機会があれば観てみてください。マジで面白いです。

女の私が言うのもなんだけど……女って怖いね。

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