まほうの穴-6「独房」
独房
浴室の冷たく固い壁に
猫背の背中をくっつけて
私は見えない独房の中にいる
もたれた壁の向こうには
外の世界が広がっていることを
背骨を通して知っている
捕らわれの身は窮屈で
不自由だけれど
本当は自由が一番こわいものだと
知っているから
私はこの独房から出られない
そんな勇気のない弱虫の体を
今日もここできれいにする
心は汚くても
せめて体だけはきれいでいたいから
自由になりたい!と思いながら、自由になるのが怖い。
何か新しいことを始めようとするとき、楽しみでワクワクする気持ちと、うまく行くかな~というドキドキの気持ちが同時に押し寄せる。
そんなコインの裏表のような期待と不安が入り混じる気持ち、きっと誰しも経験があるのではないでしょうか。
10年前の私は、今回の詩にあるような毎日をたしかに送っていました。
けれど、今は散々毎日独房できれいにした体を、もうそろそろ外の世界に出してもいいのでは、という想いに駆られています。
他の詩でも書いたように、外の世界に出てみると、実は意外と普通だった、楽しい世界が広がっていたという、小さな体験を積み重ねてきたからかもしれません。
当時の自分と今の自分、どちらの気持ちもわかるし、どちらの自分にもたしかに自分だという確信があります。
人は面白いことに変化する生き物なのだな、と最近つくづく感じています。
そのときそのときの感情の衝動を詩や日記に残していると、自分の成長や変化の軌跡を辿ることができます。
さて、これからの自分はどんな詩を残していくのか。
それもまた、楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今後も不定期ですが、書き溜めた詩を発信していきます。
今日もあなたにとって素敵な一日になりますように。
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