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【読書感想文】育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ

こんばんは。
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

今日は久しぶりに読書感想文を書いていきたいと思います。

今回ご紹介するのは、小川糸さんの『育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ ー日々の習慣と愛用品-』という本です。

以前図書館で借りた、小川糸さんの『これだけで、幸せ-小川糸の少なく暮らす29カ条』と基本的には似ています。
こちらの読書感想文を書かずに返却してしまったのですが、内容は似ていたので2冊分の読書感想文だと思ってください(笑)

小説家の小川糸さんが、ご自身の心地よい暮らしについて考え、それをシェアしてくれています。

まず、小川糸さんについて。
小川糸(おがわ いと)さんは、1973年生まれ。
わたしの3つ上、同世代です。
山形県山形市に生まれ育ち、大学への進学を機に上京。
大学卒業後に就職するも、本の世界にいたいと退職。
ライターとして仕事を始め、苦労をしながらも小説家を目指します。
そしてミュージシャンや作詞家、翻訳家など様々な経歴をお持ちです。

そんな小川糸さん、海外をあちこち旅をして、観光客としてではなく、そこに暮らす住人として生活をしてみたいとドイツと東京の二拠点生活を送っていました。
またモンゴルで遊牧民と一緒に生活をしてみた経験から、出来るだけモノを少なく、身軽に暮らしたいと思うようになり、自分のお気に入りのもの、ずっと長く使えるもの、使いたいと思うものを選んで暮らしています。

今回この本を選んだ理由は、小川糸さんの文章が好きということ、同年代で、少しお姉さんということで、自分の目標としたい人の本であるということ、整理収納アドバイザーとして、心地よい暮らしについて日々追い求めているということなどからこの本を手に取りました。

この本の中には心地よく暮らすヒントがいくつも書かれているのですが、冒頭の「はじめに」の文章がすごく好きなので、そちらをご紹介したいと思います。

はじめに
種をまき、育て、収穫し、物語を紡ぐ。
書くことが暮らしの中心になってから、そのことをイメージして一年のサイクルを考えるようになりました。
自然であること、無理をしないこと。
それが、今の私の暮らしのテーマになっています。
(中略)
自分にとって必要な行いを習慣化することで無駄を省き、慣れ親しんだ愛用品を持つことで、自分自身がラクに、自由になれる。
そのような暮らしの根っこがあれば、ちょっとのことでは自分を見失いませんし、困ったこと、大変なことに直面しても、それに左右されず、いつもの自分のまま朗らかにいられるようになりました。
その人なりの心地いい暮らしは、それぞれ違います。
だからまずは、自分にとって快適な環境とはどういう状況なのか、見極めることから始めてみてはいかがでしょうか。
自分がそれを好きか、嫌いか。心地いいと感じるか、否か。
何かを決める基準は、とてもシンプルであっていいと思います。
生きていると、どうしても有形無形の荷物が増えていきます。
けれど、重たいな、しんどいなと感じたら、荷物に押しつぶされて動けなくなる前に、一度、自ら足を止めて、本当にその荷物が自分にとって必要かどうかを考えてみるのもひとつの方法です。そして、いらないものは潔く手放し、必要なものだけを身近に置く。そのことで、無駄な動きや余計な感情から解き放たれ、心身が軽やかになれます。
心に余裕ができたら、ふと空を見上げて、深呼吸をしてみてください。
もしかしたら、今まで目に入らなかった新しい景色が、ふと見えるようになるかもしれません。

小川糸 育てて、紡ぐ。暮らしの根っこ

本を読む時、まず「はじめに」をさらさらと読むと思いますが、わたしはこの「はじめに」を読んで、ノックアウトされました。

この清らかな文章でありながら、真理をついている。
まさしくわたしが求めていた本だと確信しました。

大袈裟かもしれませんが、人生って意外とシンプルかもしれません。
最近、そう思うんです。

若い頃は人との関わり方、恋愛・仕事・・悩みは尽きず、なんて人生は複雑なんだと思うこともありました。

でも複雑と思っているのは自分自身で、本当の答えはシンプルで、この正解に辿り着いた人(人生はシンプルだ。と気付いた人)は、自分の人生を軽やかに生きています。

* * *

この本では、小川糸さんの生活を垣間見れたり、お気に入りのモノについてどうしてこれらと出逢ったか、どうしてこれらが好きなのかといったことが紹介されていますが、モノがどうこうではなく、そのモノを選ぶに至った考え方が生き方のヒントになるように思いました。

自分が「好き」と思ったものを近くに置く。
壊れたら時間とお金を掛けてでも修理して使う。
それでもいらなくなったら、捨てるのではなく、大切に使ってくれる人へあげる。

お料理も好きで、調味料や鍋にこだわっていたりしながらも、仕事が大変な時には近所のお弁当屋さんのお惣菜に頼ったり、毎日の銭湯は欠かさないなど、よくある「丁寧な暮らし」とは少し違った、糸さん流の楽しみ方があって、窮屈過ぎない心地よい暮らしというのが素敵だと思いました。

最初に糸さんが「その人なりの心地いい暮らしは、それぞれ違います。」と言われているように、わたしにはわたしの、あなたにはあなたの「心地いい暮らし」というものがあります。

傍から見て「あぁ~あんな風に出来ていいなぁ~」と憧れてみても、いざ自分も同じように始めてみたら、もしかすると窮屈に感じるかもしれません。

全て誰かの真似をするのではなく、この人にとって心地いいコレは、わたしにとってのアレだなと言った具合に変換して、自分の大切なもの、心地いい時間を見つけることができる一冊だと思いました。

すごく読みやすい本なので、オススメです。

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