ひとひら小説 「花子の今日あったこと」
私の電車はいつも23時以降を走る。
電車のなかでフェイスブックを見る。今日あったこと、昨日あったこと、みんなの23時以前。
「最近どうですか?」
今日、ランチしてるとき、後輩が遠慮がちに聞いた。
「どうってなにが」
「プライベートのほうは……」
「んー。また電話しちゃったんだよね、あのひとに」
「あー」
後輩(新婚)が心底、気の毒な顔をしたから、私は慌てて補足情報を付け足す。たとえば、気の毒さより、私の一途さ、それだけの大恋愛だったこと、そういうのが伝わるように。
「