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琥珀から、人と有限資源の関係を更新していく | ten-sen Inc.

はじめまして。
お久しぶりの方は、お久しぶりです。
菅野舞雪(かんのまゆき)と申します。

2021年の7月に地元である岩手県久慈市で、「人と有限資源のより良い関係価値」を模索する株式会社ten-sen(ten-sen Inc.)を登記しました。

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会社名「ten-sen」は、「天然」と同じイントネーションで「テンセン」と読みます。
そして本日、ten-senとして初めてのプレスリリースを出しました。


ten-senを起業するまでは、ウェディングプロデューサーとして「人生が変わるほどの結婚式」をコンセプトに、CRAZY WEDDINGでオーダーメイドウェディングをつくってきました。

夫婦関係、親子関係、友人関係、自分との関係。

あらゆる人間関係が結婚式をきっかけに更新され、人生が変わっていく様を間近で見てきました。自分自身も人間関係の更新によって人生が変わる程の経験をしたからこそ、プロデューサーという仕事は私にとって大きな意味がありました。

結婚式を通して「人と人の関係の更新」を模索してきた私ですが、ここからは「人と有限資源の関係の更新」を模索していきます。

その方法として「起業」という形を決意した理由や背景を、特にこれまでの私を知っている人に、丁寧にお伝えしていきたいと思い、このnoteを書くことにしました。
少し長くなってしまいましたが、読んでいただけると嬉しいです。

生まれ育った岩手県久慈市で

ten-senの本拠地、岩手県久慈市は私が生まれ育った地元です。

どこかって?

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ここです。

東京駅から新幹線に乗って片道約6時間の田舎。
2013年に放送された朝の連続テレビ小説「あまちゃん」のロケ地、といえば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。

そしてここ久慈市は、日本で唯一ともいえる琥珀の最大産出地なのです。

地元では、結婚する娘に母親が琥珀のハンコを贈ったり、結婚10年目にパートナーへの贈り物にしたりする慣習があります。私の実家にも、祖母から母へ、母から私へと琥珀のアクセサリーが受け継がれてきました。

そもそも「琥珀」という名前は聞いたことがあるけれど、詳しくは知らない・・・という方のために簡単に説明します。


▼久慈琥珀博物館に展示されているさまざまな琥珀

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久慈市は日本最大の琥珀の産地

琥珀は数千万年~数億年前、地上に繁茂していた樹木の樹脂が化石化したものです。その中でも久慈産琥珀は、商業価値のある琥珀としては世界で最も古いと言われている約9,000万年前を起源としています。

よく間違われるのですが「9,000年」ではありません。「9,000万年前」です。すごい。

気が遠くなるような長い時間をかけて、植物がゆっくりとその形を変えた琥珀。琥珀は真珠やべっ甲のように動物由来でもなく、ダイヤモンドやルビーのように鉱物由来でもありません。世界で唯一植物を由来とする宝石なのです。

それほど貴重な宝石であるにもかかわらず、あまりにも琥珀が身近な存在だったため、「日本では久慈市でしか琥珀が採れない」ということすら知らずに、18年間地元で暮らしていました。琥珀の希少性を知ったのは、地元を出てずいぶん経ってからです。

地元を離れたからこそ気づいたこと

CRAZYのウェディングプロデューサーとして、地方を舞台に結婚式をつくっていた当時、よく聞くセリフがありました。

「この土地には誇れるような特別なものがないんです。」

新郎新婦さんにそう言われる土地には、代々受け継がれてきた地元の味がありました。森林の適切な成長を促すために間伐した木材だけを使って、生活する工夫がありました。ごみの出ない製造方法を、江戸時代から続けている工場がありました。

そこにあることが当たり前だからこそ、離れてみないとわからない価値が、地方にはある。

そんなことを、地方の結婚式を通して強く感じました。そして「地元を離れたからこそ再発見できた琥珀の価値を、もっと世の中に広めていきたい」という想いが、強くなっていきました。

有限な資源だから、人の手を入れる

9000万年という膨大な年月をかけて、植物が宝石へと変わった琥珀。
琥珀がつくられるまでのプロセスを再現する技術を、私たち人間はまだ持っていません。
また、年々影響の大きくなる気候変動は、今を生きる私たちの大きな課題であり、枯渇性資源を使用することは全てネガティブな印象にもなりつつあります。

琥珀も、採掘を続ければいつか枯渇してしまう有限な資源です。その一方で、人が掘り出し、磨き、身に着けなければ、琥珀は輝くことがありません。

▼琥珀の原石(撮影:久慈琥珀株式会社)

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人が使うことで、その価値を高めていくことが出来る琥珀だからこそ、久慈産の琥珀はSDGsやサステナブルが謳われる前から、琥珀の持続可能性を模索してきました。

採掘時に原石の7割が崩れてしまうほどに繊細な琥珀は、商品化できず破棄されていた過去があります。そのため、令和になった現在でも、久慈産琥珀は人の手を使って採掘をしています。
また、小さな琥珀のかけらを余すところなく精製して不純物を取り除いた純度100%の琥珀をつくる特許技術を、久慈市の琥珀専門企業久慈琥珀株式会社が取得しています。それでも使いきれないような微小なかけらは、入浴剤やお香、石鹸へとさらに形を変えていきます。

結果、琥珀が初めて使用されたと思われる旧石器時代から2〜3万年が経つ現在でも、こうして人は琥珀の美しさに触れられており、今埋蔵されている琥珀を全て使ってもあと数千年分あると言われています。

文中に出てくる時間の単位が大きすぎるがために、数千年分の埋蔵量があるということがすごいことなのかどうか、分からなくなってますよね。あと数十年で枯渇する可能性を指摘されている金やダイヤモンドと比較すると、その差は明らかです。

・・・とここまでちょっと熱めに語ってしまいましたが、「琥珀すごい」がわかってもらえたら、もうここで読むのを辞めて大丈夫なくらいです。
そう、琥珀ってすごいんです。
じゃあその琥珀を使ってどうするのっていう話を今からしていきます。(本題までが長い。)

目指すのは人と有限資源のより良い関係価値

9000万年という代え難い時間がつくりあげた植物由来の有限資源、琥珀。
琥珀の価値を高めながら、経済を優先した消費ではなく持続可能な共存を選んできた久慈市の人々。

両者の間に、わたしは人と有限資源の目指すべき関係性を見出しています。

「無くなってしまうから」と保護するのではなく。
「高く売れるから」と利益に走るのでもなく。

人の手を入れることで琥珀の価値を高め、琥珀によって人も豊かさを得られる。関わることでお互いに良い影響を及ぼし合える関係を、人と有限資源の間につくることが私たちや、私たちの子孫が生きる環境を変えていくと信じています。

そのためにまず、より多くの人に琥珀を身近に感じてもらえる機会をつくりたいと思っています。琥珀という点の存在を知ることで、地球の長い時間軸の上に生きている自分を感じられる。物事の見え方が変わり、行動が変わっていく。
そんな未来を願って、会社名をten-senとしました。

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ten-senを登記した2021年は、久慈市も被災した東日本大震災から10年目の年でもありました。何か地元のために貢献したいと思っても、コロナ禍で帰省はもちろん観光誘致も出来ない状況。だからこそ、「地域に根ざした起業」という形で、新たな地域貢献の形をつくれたらと思い、岩手県の久慈市で登記しました。

この春には、久慈市で久慈琥珀の可能性を広げ続けてきた久慈琥珀株式会社と協業して、琥珀ジュエリーのブランドの立ち上げに向けて準備中です。

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結婚式から、ジュエリーへ。
つくるものは変わっても、目指しているものは「関係の更新」に変わりありません。この記事を読んで、結婚式の菅野舞雪から琥珀の菅野舞雪へ、皆さんとの関係も更新できたら幸いです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


これからnoteでは、今後リリースするジュエリーブランドの情報や、植物由来のプロダクトについても発信を予定していますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

ご相談は以下の連絡先にいただけますと幸いです。

・ten-sen Webサイト
 https://10-1k.jp/
・メールアドレス
 info@10-1k.jp

▼Special Thanks to 最強パートナー陣

Writing:Yuki Hoshi & Mayuki Kanno
Jewelry Design:Ken Sugihara
Logo & Web page:CIVILTOKYO
PR Design:Kiruta Wataru
URAKATA:Kazunori Fujisawa
Photo:久慈琥珀株式会社
     photographer MONA

自己紹介

菅野舞雪 株式会社ten-sen 代表取締役
東京女子大学在学卒業後、新卒で株式会社CRAZYに入社。営業、ディレクター、プロデューサーを経験。自身が地方出身者であったことから、地域に根差したオーダーメイドのウエディングプロデュースをメインに担当。その地では平凡で当たり前のことが、外から見れば魅力的な価値であること、地場製品の製造過程や地域文化の成立の裏側には"環境の持続可能性"が当然考慮されていること、に気づく。地元久慈市を拠点に「人と有限資源のより良い関係価値」をミッションに掲げ、2021年に株式会社ten-senを創業。現在は2022年春のリリースに向けて琥珀ジュエリーブランドの準備中。本業の傍ら、インフルエンサーのブランド設立時のコピーライティングや、各地方の商品開発も手がけている。人やモノの唯一無二のユニークさを発掘することが好き。保護猫兄妹と生活中。







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