さいはての彼女。
私の好きな作家さんのひとり、原田マハさん。
『楽園のカンヴァス』など美術に関する書籍が有名だけど、彼女の小説で私が好きな本の一つ『さいはての彼女』。
再生がテーマの短編集で、未来に漠然とした不安を感じて先が描けなくなったと思ったときにいつも手に取って読み返すと、元気をもらえて、また前を向こうと思える一冊。
(以下、若干ネタバレ含みます)
普段東京でバリバリと働く女社長のスズカは、仕事に没頭しすぎて失恋、さらに信頼を寄せていた有能な秘書にまで辞表を出されてしまう。リフレッシュするために沖縄にバカンスに行くはずが、秘書が最後の仕事として予約したチケットでたどり着いたのは、北海道の女満別...
そこでの予期しなかった非日常、ナギという女の子との出会いによって見失いかけてた自分と向き合い、また前に進んでいくという話。
中でも好きなのは、耳の聞こえない彼女ナギに亡き父が伝えた言葉。
他人との間に感じる「線」なんで、どこにもない。もしあるとしたら、それは耳の聞こえる人たちが引いた「線」じゃない。お前が勝手に引いた「線」なんだ。
そんなもん、超えていけ。どんどん超えていくんだ。
ハーレーで走りぬける北海道はきっと信じられないくらい壮大で、気持ちいいんだろうな。
自分の部屋のソファの上で読んでいるのに、バイクで風を切る音や爽快感が鮮明に伝わってきて、結末は知っているはずなのにクライマックスのシーンでは毎度ホロリと涙が出る。
超えていくんだ。
生きるんだ。
また旅に出たくなった。
コロナが落ち着いたら、次はどこに行こうか。
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