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お疲れさま、ありがとう。

こんにちは、まゆきちです。 
闘病していた父が先日亡くなりました。
享年74歳。

桃を食べた父と短い会話をしたのは亡くなる4週間前。7月3日でした。

東京に戻ってからも毎日母に電話し、2人の様子を聞く。

果物も食べなくなった…ジュースにしたら少し口にするからあげてるよ。
ストローで飲むのも難しくなってきた…。

お正月にはストローでビール飲んでいたのにな…。

飲んだものを嘔吐するようになった…。
胃が受け付けなくなったのかな…。
お父さんの最近のお気に入りはアイスの実。
おいしいって食べるからまた買ってくるわ。

どんどん近づいてくるのが嫌なほどわかっているけれど、それでも最後まで母は父に『おいしい』を運びたかったんだろうな。

もう、お父さんダメかもしれない…

そんな連絡を母からもらった夜。わかってはいたけれど…ざわざわする気持ちのまま眠りについて、深夜1時半過ぎに固定電話が鳴った。

取らなくてもわかる。
今や滅多に鳴らない固定電話。しかもこんな深夜に鳴るなんて、いい知らせでないのはわかる。

父は在宅医療と介護でさいごの時を過ごしていたので、母ができる範囲で身体の様子を調べたところ、血中酸素濃度が70。血圧が低下してきている…そんなに長い時間持たないと思う…という。
わたしはすぐには帰れないので、大阪にいる長男にLINEしてみた。

名前だけ入れてみたら…すぐに返事があった。
大学の課題をしていたそうだ。

父の様子を伝えると、今すぐにおじいちゃんところに行く!と言ってくれるので、ほんの少しだけ救われた気がした。

父のそばに母1人で不安だっただろうから。
21歳の孫が駆けつけたことは、父にも母にも何よりの孝行だったかなと思う。

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お借りしている酸素吸入の機械に精製水が必要で、最後の数日はよく使ったため精製水が残り少なくなってしまい、長男が買いに走ってくれたそうです。ドン・キホーテさん3時まで開いててくれてありがとうございました。

朝5時過ぎに訪問看護師さんが一旦きてくださったそうで、その時の血中酸素濃度はさらに下がっていたようだった。

わたしは代わりに仕事に出てくれる人を探してからの帰省となるが、土曜日の朝だったこともあって、なかなか連絡がつかない…。次男の学生服などを用意しながら、返信を待っていると…。

何やってんの!代わりの人の連絡なんて待ってる場合じゃないじゃん!早く新幹線乗って!

と、一緒に勤務予定だった友達から一喝されてて、大慌てで動き出す。部活が…という次男に

危篤ってわかる?病院じゃないからはっきりとした数値でそう言えるわけではないけど、きっと危ない状態なんだよ…早く帰ろう。

新幹線もいつものように正確で速かったけれど、乗り換えで大阪・梅田を歩いている時に、長男からのメッセージが届いた。

あと30分もあれば実家に着いていたのになぁ。
歩きながら泣いていた。わたしも次男も。流れる涙を拭いながら、人混みの地下街を歩いた。

ごめんね、間に合わなくて。

父にかけた最初の言葉は、やっぱりごめんねだった。まだ柔らかい父の手や腕、顔に触れながら、お疲れさまとこれまでの父の闘病、がんばりを労った。

お別れも束の間、葬儀屋さんが来る。
わたしはこの時に間に合っていてよかったと心底思った。

わたしがいなければ、母は1人で葬儀のあれこれを決めることになったのだから…。

大切な人が亡くなって、まだ数時間のうちに、昨夜からろくに眠れていないぼんやりした感覚の中、悲しみで心ここに在らず状態から一気に現実に引き戻されて、話を進めていかないといけないのは、なかなか酷な話…。

母と2人で父の葬儀のことを決めていく。

コロナ禍で県をまたぐ移動は控えたほうがいいから親戚一同はご遠慮いただこう。みなさん高齢だし…家族だけで見送ろう。

去年9月に退院して一度だけ自宅で入浴サービスを利用したけれど、感染症の懸念からその後は入浴はやめて清拭と洗髪のみとなったから、さいごは納棺師の方に湯灌をお願いしよう。

着せる服、入れる持ち物、遺影の写真、棺の種類、花、戒名のランク(?)…お通夜の後の食事、精進落としの食事、泣いてぼーっとした頭でたくさんのことを限られた時間で選ぶのは、本当に大変だった。

母に父の寝ているベッドの横に置くお花を買ってきてと頼まれたので、1人で外に出た。
新しくできたおしゃれなお花屋さんに行ってみる。

御霊前用のアレンジをお願いしたいのですが…

お店に陳列されているお花を見る限り、カサブランカのような白いユリはない‥もしかしてここでは無理?かと思ったら奥から持ってこられました。

カサブランカが入るアレンジは最低でも5000円からになりますと…母から聞いていたとおりだったから、では5000円くらいでとお願いした。

白と緑のお花をたくさん集めてきて、白い紫陽花なんかとても素敵で、このお店にして良かったなぁと思った。

1つだけ、そのアレンジの中に濃い紫系のお花をアクセントに入れたいとお願いしてみた。

わたしにとって、父のイメージカラーは紺色だったから。

よそ様に差し上げる御霊前のお花なら、無難に白と緑に仕上げたほうがいいですが、お父様なら大丈夫ですよと控えめな紫色の花を入れてくれた。

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花はそこにあるだけで美しくて、場を華やかにしてくれる。今までは、華やかさを花に求めていたけれど。

動かず、何も言わずに、ただそこに美しい姿で佇んで寂しくないようにしてくれる。
ただ存在して寄り添ってくれるその力を初めて知った気がします。

このお花はわたしから父へのはじめての贈り物にさせてもらった。いつもビールやお酒、おつまみばかり贈っていたから、お花の贈り物なんて初めてだなと思いながら、これから父のために白い花を飾ろうと決めた。

その夜に弟が到着し、亡くなった日は父も家にいて、家族だけで実家で一夜過ごした。
疲れ果てて、びっくりするくらいよく眠れたわ。というのはわたしだけではなく、母もだったようだ。

もうなにも怖くない。
もう痛くも、苦しくもない。
解放されて、好きな海に山に、自由に。

東京に戻って、父の写真を探し、早速白いトルコキキョウを買って飾っている。今日は桃もお供えして🍑いただきます。

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行ってきます。ただいま。

今のほうが近くにいる気がする。
どこにでも来てくれて、守ってくれる気がするから、わたしはこれまで以上に無敵だなと思いながらも、なんだかちょっとぼんやりしている時間が多い。仕方ない、仕方ない…。

最後まで読んでくださって、心からありがとうございます。

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