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【編集後記】COVID-19の副産物

今回の動画コンテンツ “Can a virtual ICU improve the care experience ?” を要約すると、「臨床医と集中治療専門医のコミュニケーションのために計画されていたe-ICU(Tele-ICU等とも)が、コロナ禍で患者と家族のオンライン面会を果たした」という内容でした。

舞台となったテキサス州は、今年の1月には連日1万人近くの人がコロナに感染。動画の中でも「すでに150名以上の救命救急スタッフをコロナ専門ICUへ配置」とありました。(最近はワクチン接種の義務化をめぐって共和党のグレッグ知事と民主党の対立が物議を醸しているとか)

急激な感染拡大の中、患者家族が病院へお見舞いに来ることはできません。最期を看取ることが叶わないケースはいくつもあったはず。パンデミックの悲劇はそこにあったと、私は思います。

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テキストリンク機能で実現したヒューストン病院のオンライン面会ですが、日本の病院はどんな仕組みをとっているのか?気になったので調べてみました。


厚生労働省は今年の4月、「令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金」を交付。オンライン面会のための通信環境整備などが、補助金の対象に含まれていました。

インターネットで「オンライン面会 病院」と調べると、津々浦々の病院でLINEやZOOM、Google duoを利用したサービスが実施されていました!

ほとんどの医療機関は、1日あたりの組数と時間を限定した完全予約制の運用をとっています。来院してオンライン面会を行う場合は1~2人までと制限がありますが、デイルームなど指定の場所で病院から貸し出された端末を使うようです。面会の申し込みは、窓口への電話(総務課もあれば看護部も)、もしくはオンラインフォームによるものでした。

共通して多い運用は、
 - 平日(月~金)限定
 - 午後のみ(14:00~16:00など)
 - 原則、週に1回
 - 1回あたり10分まで

10分間、それも週に1回。これを「十分」と捉えるか「少ない」と捉えるか。正直に言うと私個人は「少ない」と感じます。でも確かに、たった1分でもスクリーン越しに顔を見て励ますことができるなら…。

さて、皆さんはどうですか⁇


コロナは決して楽観視できない。けれども中央センターや離れた場所にいる医療チームが被支援医療チーム(現場側)へ指示を出したり、コミュニケーションをとる手段だったe-ICUが、オンライン面会という形で発展したこと。すなわちこれがCOVID-19の副産物なのかもしれません。

 1.「精神衛生」  2.「利便性の向上」 3.「感染防止」

オンライン面会には、これらの3つのメリットがあるそうです。あくまで今回の補助金は1と3のためですが、2の「利便性」については、これまでも患者家族が抱えていた潜在的なニーズだと思います。(アフターコロナのお見舞いもオンライン面会の運用体制が定着する、と私は確信します。)



COVID-19が環境がアタリマエを変えてしまった。だからこそ、発想を転換するチャンスです。
私たちはこれから、病院の中に転がったイノベーションのヒントを見つけていけるのではないでしょうか。

引き続き、CHD Journalをチェックしてみてください!