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【編集後記】ファミリハつくば取材

辻 麻友 (HCD-HUB編集部)

 「理想の病院(づくり)とは何か?」を問うHCD-HUB。医療/ヘルスケア分野とデザインをつなぎ、両者の掛け合わせによる可能性を訴求しています。

この編集後記では、ファミリハつくばの取材を振り返り、感じたままを少しだけ書きます。
 
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“遊園地のようなクリニック”が実現する、「病院」に閉じ込められない医療のかたち。ファミリハつくば・中川将吾さんインタビュー


イノベーティブな開業医


「医療施設を人間中心(HCD)に設計するには?ー」
このテーマについて編集会議を重ねていたところ、日本医療Design Center代表理事の桑畑さんより、ファミリハつくばの中川院長をご紹介頂きました。

院長(医師)を「イノベーター」だと言うので、なんだか不思議でした。
エビデンスを重視する医療は、イノベーションと対極的な領域だと考えていたから。

「イノベーターがつくる施設ってどんな状態なの?」
疑問が生まれ、確かめてみたくなったのが始まりでした。


病院中心思考から離れてみる


今回の中川先生のお話から想起される「理想の病院(づくり)」は、施設内の仕掛けには留まりません。

患者さんが本当に求めているものはなにか。そう考えると、病院に通うのを求めているのではなく、病院に通わなくても良くなることがいいはずだとわかりますよね。だから結局は、病院中心の考えから離れることが大事になってくるんじゃないかなと思います。(後半記事から抜粋)

中川先生はインタビュー中にこのように語っています。ハッとしました。「理想の病院(づくり)」を紐解くと、病院が存在しない世界になってしまうかも…と。

それは冗談で、医療技術もテクノロジーも高度化した世界で、病院はこの先もずっと存在するでしょう。存在こそするけれども、「治療と病院」の関係性は、もっと選択肢が増えるのかもしれません。

安全性や業務効率性を向上させる。その通り、これも「理想の病院(づくり)」の答えです。でもそれは、既に疾患にかかってしまった/外傷をつくってしまった患者さんに対して、病院が果たす「治療」という役割にフォーカスした時の答えです。

病院を建て替える時は、対象となる患者さんの生活や人生を俯瞰した上で、求めるケア支援から、患者さんと病院の関係性をもう一度ブラッシュアップして再定義すると、中川先生のようにアイディアが膨らみそうです。

(従来の建築計画の構想フェーズには、やはりこのように「逆算する思考」が働いていないのではないか、と私個人は思います。)

編集者さんとライターさんが患者さんの位置に座り、診察中スタイルでインタビュー。


持ち帰った視点


今回のインタビュー訪問には、HCD-HUBの運営元である㈱セントラルユニから、小堀さんと斉藤さんに同席して頂きました。建築設備の専門的な知識をもつ彼らですが、中川先生のお話に触れ、新しい気づきがあったようです。
 

【感想をひと言】

“特に印象深かったことは「医療は過去のエビデンスだが、イノベーションは未来からの逆算」です”(小堀)
 
“中川先生と桑畑さんのお話から、医療やデザインについて概念に囚われることなく、もっと広い視野で柔軟に考える必要があることを実感しました。”(斉藤)
 

施工主の想いを、引き出す、広げる存在に ー

ご自身の関わり方を「便乗商法」と例える桑畑さんでしたが、リスクや寄り道脱線を避けやすい医療福祉建築の従来のスタイルには、このように施工主とフラットな関係性を築ける人の存在は大きいはず。

中川先生からは「理想の病院(づくり)」のヒントを、桑畑さんからは作り手としてのマインドのヒントを得た取材でした。


日本列島の津々浦々には、私たちが知らないだけで、魅力的な病院がまだまだあるのかもしれません。
HCDーHUBでは引き続き、「理想の病院(づくり)とは何か?」の答え合わせをすべく、インタビュー取材を企画してい参ります。お楽しみに!

最後に集合写真。中川先生・桑畑さん、ありがとうございました!