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GOOD WAR TOUR 5. nanijin

稽古場に行くと、まをさんとスタンドマイクが出迎えてくれた。
マイクスタンドにハマらない、ちょっとズレると通じなくなるマイクが登場。
手ぬぐいで無理やり縛りつけられている。

はじめ、クリスマスシーズンで渋谷のホテル高騰問題について語り合い、東京滞在中の部屋を(仮)決定。
お泊まりたのしそう! と言ったら、たのしかったらいいね……と朗くんに言われる。不穏。

諸江さん、病院に行ったところ、(お尻)全体的な打撲とのこと。
「ここは大丈夫なんやとか、意外とここの筋肉使ってんねやとか、色々わかることがあった。全部プラスに……って思わなやってられん」
ご愁傷様です。

朗くんはまをさんが来てくれてうれしそう。
「人増えるといいなあ! ていうかマイクがあるといいな! 憧れあるよな、スタッフ側に人たくさんおって、ケータリングとかあって、柄本明とかおる」
まをさんはそんな朗くんを冷たい目で見ていました。

マイクを通すと、なぜかいい感じに聞こえる。これはなぜ?
「マイクやからちゃう?」「マイクやからか……」

マイクって主張する道具だし音もそういう風に拾うようになっているだろうし、そもそも音量もでかいからやっぱり耳を傾けちゃうのかな。セレモニー感が出る。
「ご出棺です」の声を思い出した。

まをさん「見てて色々な動きがある。つい言葉を辿ろうとしてしまう。意味を辿ろうとすると、何を言ってるのかわからない。」
「わかりたいよね」と綾子さん。わかりたいよね。

諸江さんの体(お尻)を気遣って、ときどき朗くんが声をかける。
「諸江さん、その体勢、お尻冷えませんか?」
「ケツは冷えてるほうがいい。ケツは冷えてて圧迫されてるほうがいいから、この体制はいい」
そうなんだ、ケツは冷えてて圧迫されてるほうがいいんだ。

「現実感てのはお客様にお任せよ」
この台詞が久しぶりに意味を伴って聞こえてきた。
では舞台上で私たちは何をするのか。

私は「庭」というものの持つイメージ、「自らの手で作り上げる幸せ」それが好きなんだな。
子供の頃、母と父が手を入れて、庭がきちんとされているのが好きだった。
今はもう、だいぶ放置されている。
植木屋さんも来ないし、木も枯れかけだし、芝生でもないし、雑草生えっぱだし、家庭菜園もないし、多分花もない。
こんどは自分の庭を自分で作ってゆく。そのイメージに光を見る。

テキストから受ける印象、「いい感じ」なのだが、その「いい感じ」の内容がどういうものなのか考えてみると、「受容」「赦し」「肯定感」の気がする。
好みだし、なんとなく響のいい感じだが、何を受容しているのか? はたして赦していいものなのか?
忘却を受容肯定、前進を肯定、まず今ここを受容して、そしてそのまま今からつづく未来を肯定する、どことなくそんなような、そこはかとなくそのような、気配、雰囲気、印象、感じ。
いつも「感じ」でしゃべってるから明確なことがなんにも言えないな。

朗くんはときどき、諸江さんを「もろり」、綾子さんを「あやこり」と呼ぶが、伊奈さんのことを「いなり」とは言わないね。


稽古7回目
日時:2021年12月15日(水)
出席:河井、伊奈、諸江、渡辺、蒼乃、田中
場所:京都芸術センター 制作室8


本作は2021年2月に京都で上演された『GOOD WAR』のリクリエイションを行い、大阪と東京で公演を実施します。

『GOOD WAR』は、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常で構成されています。
私たちは生きている限り、これからも誰かと戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいつか争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではいずれ来る「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく、だれかの「あの日」で集積された記憶のモニュメントとして演劇作品を立ち上げます。

GOOD WAR

原案 『よい戦争』(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)
構成・演出 河井朗
ドラマトゥルク 蒼乃まを、田中愛美
出演 伊奈昌宏、諸江翔大朗、渡辺綾子
美術 辻梨絵子
音響 おにぎり海人、河合宣彦
照明 松田桂一
制作 金井美希
制作協力 (同)尾崎商店、黒澤健
衣装協力 MILOU
記録 田中愛美

日時・会場
2021年12月25日(土)〜12月26日(日)|こまばアゴラ劇場
2022年1月26日(水)〜1月30日(日)|クリエイティブセンター大阪 Drafting room(名村造船所跡地)
2022年2月10日(木)〜2月15日(火)|北千住BUoY

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