私はまだアーティストにはなりきれない
私には、いつも、メロディーは浮かばない。
思い浮かぶのは、言葉と文章と感情だけ。
記憶を呼び起こしては、浮かんでくる感情や言葉を紡いで
そして文章化した。
まだ、それだけのこと。
まだ、それしかできなかった。
「私はまだ、アーティストにはなれない。」
イヤホンから聴こえてくるメロディーに釣られて
リズムに乗った。
誰にも気付かれないように口ずさんでは
テンポよく歩き続けた。
指でピアノを奏でるように操作して
立ち止まった時には足でリズムを刻んでいた。
音量を少し上げて、
私の耳には音楽しか届かなくなった。
そして私は余計に興奮した。
もう、落ち着けなかった。
音楽は私を奮い立たせるから、
興奮させるから。
いつしかそんな存在になっていた。
自分の中で、こんなにも音楽の存在が大きくなっているとは、
思いもしなかった。
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