つむぎ りん花

頑張らなくていいよ。

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最近の記事

静けさの中の激動

知れば知るほど、写真のことが分からなくなった。 知ってはいけない側の人間だったのかもしれない。 知れば知るほど、写真が撮れなくなった。 撮った写真が、誰かの手によって丸め込まれてしまいそうで、 なかったことにされそうで怖かった。 それは違うとか、こうした方がいいとか、 それは辞めた方がいいとか、ああした方がいいとか、 聞いてもないことをわざわざ言われてはその度に丸め込まれた。 最初から聞いてなんていないのに。 写真のことを知らない頃に戻りたくなった。 知ってしまった

    • ファインダー越しはうわのそら

      ファインダーを覗いている時だけ、その瞬間は私のモノだった。 シャッターを切っているときは必死に真剣に撮っているから、案外無感情なのかもしれない。 とにかく必死。 撮り終えてからバックアップを取って現像をして、 そこで初めて冷静な目でみる。 写真って恋だと思う。 シャッターを切った回数だけ好きってことだと思う。 恋愛の恋とはまた少し違うけれど、これは恋だと思う。 定職に就くことを辞めたわたしはハッピーだった。 自分のこと、物事のことを冷静に俯瞰してモノを見れるように

      • よく笑うのは、

        よく笑うのは、自分を守るためだった。 笑っていれば、悪いことは起きなかった。 無愛想な人より、愛嬌のある人の方がそりゃいいだろうから、 人にはよく好かれたし、 仲良くなるのには時間がかからなかった。 笑う癖がついてしまったのかもしれない。 笑って誤魔化す癖が、ついてしまったのかもしれない。 「いつも笑ってるよね。」 「笑ってる顔が好き。」 そう、よく言われた。 私は自分の笑った顔が、あまり好きではない。 愛想笑いが増えてから、 自分の笑顔がわからなくなった。 目の

        • 大人が特別偉いわけじゃない

          大人が特別偉いわけじゃないし、特別すごいわけでもない。 でもなぜか少し斜め上から物事を言ってくるし、 それって本当に私のため? あなたのためじゃないの?って毎回の如く思ってしまう。 どうやら私は勘がいいようで、察しがいいようで、 人より人の変化に気付きやすい。 そのせいで苦労することもしばしば。 大人が偉そうにモノを言うのは、過去に未練があるからだろうか。 わざわざ嫌味を言うのは、何かの腹いせだろうか。 家庭やプライベートが順調ではないから、そのストレス発散だろうか。

        静けさの中の激動

          向いている/向いていない

          人にはそれぞれ、向いているモノ、向いていないモノがあると思う。 苦手なモノは絶対あるし、得意なモノもある。 ただ、ソレに当の本人が気付いているかどうかというのも重要だが、 本人を取り巻く周辺の人が気付いているかどうか、というのも同じくらい需要だと思う。 向いていないモノ(苦手なこと)をいくらやったとしても、 それは変わることはない。 ただ、”経験値”としてアップロードされるのだ。 でも、実践するという行動自体は重要なのである。 苦手なコトを続けさせるより、 得意なコト(

          向いている/向いていない

          バックアップ

          デジタルデータに絶対なんて無いし、記憶や思い出にも絶対ってない。 書き込まれたその瞬間から過去になり、時には無造作に美化されてしまうもの。 そもそもデータって破損する、体(てい)で作られているだろうし、 何かの衝撃で飛んでしまうし、破損してしまったらもう元には戻らないし、取り戻せない。 それくらいに軽率な存在だし、リスクが十分あることは重々承知の上だろうけど、バックアップという手を使って保険をかけるわけ。 ここでデータの話は一回お休みにする。 ここからは、「記憶」について

          ぬくもり

          新しい日常が始まった。 なんとなく書くことも思いつかなくて、 仕事を辞めるに至った経緯とか云々綴りたかったけれど、 その気力がなかったのかもしれない。 それ以上に、わざわざ文章をまとめてまでココに書き起こすほどの価値があるのかが、分からなかったからかもしれない。 あれからぼんやりと日常を過ごしていた。 時間に追われることなく、予定に追われることもなく、 気持ちが楽になって、穏やかになった。 久しぶりに話した人には、なんか穏やかになったねと言われた。 月日が流れたおかげなの

          人生、辻褄が合わないことだらけ。

          「人生、辻褄が合わないことだらけだよ。」 何かがおかしいと違和感を覚えては、そして感じ取った。 でも、それを伝えることが許されなかったり、 伝えたところで嫌悪感を抱かせてしまうこともあった。 その場面では、「真実かどうか」という問題は、さほど重要ではなく、 そもそも白黒付けよう、というところに着目していない。 意思疎通は難しいな、とつくづく思った。 自分が考えていることや思っていることが、 そのまま相手に伝わらずに、また別のモノとして捉えられ、 そして、すれ違っていく。

          人生、辻褄が合わないことだらけ。

          共存.1

          ついさっきまで喫茶店で一緒にお茶をしていた友達が吸っていたタバコの匂いが染み付いている。 タバコの匂いは嫌いだった。 タバコを吸う人もまた、嫌いだった。 なんとなく、嫌悪があった。 でも、今日のタバコの香りは案外嫌いじゃなかった。 例外だった。 店内の風に乗って泳ぐ煙も、 風向きが変わって自分に向かってくる煙も、 今日は、嫌いになれなかった。 むしろ、少しだけ心地いい気がした。 私には、 許せるタバコと許せないタバコの 二つが存在しているんだと思った。 過去を振り返

          いきたくない

          「行きたくない。」という感情は、 「生きたくない。」という感情に近しい。 行きたくないは、生きたくない。 目を閉じて仕舞えば、朝が来てしまう。 目を開けて仕舞えば、夜が訪れてしまう。 夜は日中に比べるとおとなしい。 少しだけ静かになった夜が、とてつもなく恐ろしかった。 「明日が来なければいいのに。」 そう願った夜が、今までに何度あったことだろう。 「明日」という存在に怯えては、その度に眠れない夜がやってくる。 そして、2ヶ月に一度くらいの頻度で、狂いそうな夜が訪れる

          調律が狂ったピアノの音色

          調律が狂ったピアノの音色が、 正常のピアノの音色とは異なり、また別の良さを感じるように、 わざと逸れた道を歩くことも悪くないのかもしれない。 人は、何かの選択を迫られたときその選択肢は、 基本的には二択であることがほとんどである。 しかし、選択肢は二択以外の可能性もあるかもしれない。 そもそも道が真っ直ぐであるという確固たる証拠(確信)などないはずなのに、 何故、道は真っ直ぐであるという認識をしてしまうのだろう。 だからむしろ、わざと道を踏み外してみるのもアリかもし

          調律が狂ったピアノの音色

          人の視界に写りたくない

          人の視界に映りたくないから下を向く。 ひたすら下を向いた。 そうして自分の視界を遮った。 少し足早で、急ぐ 別に急ぎの予定なんてないのに。 人混みがより一層辛い時が、私にはあった。 そういう時はいつもより下を向いた。 人の視界に写りたくなかった。 帽子があるなら深く被りたかった。 メガネがあるならメガネをつけたかった。 サングラスでも良かった。 マスクがあるならマスクをつけたかった。 できるだけ、素性を知られたくなかった。 人の視界に、写りたくなかった。 上を向くと人と

          人の視界に写りたくない

          嘘も本当。

          たとえそれが偽りの嘘だったとしても、信じ続ければいつかは本当になるだろうか。 多くの笑顔の裏には、多くの涙が隠れていた。 泣いていることを、弱虫なことを、相手に悟れぬよう、自己防衛として。 そして笑った。 笑っていれば基本的に悪いことは起きないし、得することが多い気がする。 それに気付いてからというもの、笑う"クセ"というものが少なからず染み付いてしまっているのは確かかもしれない。 人の心を読み解くことが得意な方だった。 その能力は基本的には吉と出るが、それは時に、胸が