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「無人島に1つだけ食料を持っていけるとしたら何持ってく?」- 人となりをあぶり出す質問

『キャスト・アウェイ』という映画を知ってますか?
トム・ハンクスが無人島に漂流しちゃう主人公を演じる映画です。

今から20年以上前、私が大学時代に週1回は映画を観よう!というノリになったことがあり、『キャスト・アウェイ』はその時に観た映画の1つ。

今から20年以上も前の映画だし、正直内容をよく憶えていないのですが、要するに無人島に漂流した男性がサバイブする話です。

主人公が無人島に漂流して、

困惑→開き直り→試行錯誤→無人島生活に適応→挫折→サバイブ→下界復帰。

という、ありきたりと言えばありきたりのストーリーで、その過程を描いた映画だったはずです。
(この映画のファンの方、身も蓋もない言い方してごめんなさい!)


この映画で唯一覚えているシーンが、「ウィルソン」という友達が波にさらわれたのを主人公であるトム・ハンクスが危険を犯してまで助けにいくシーン。

「ウィルソン」と呼んでいますが、実際には海岸に流れ着いたバレーボールです。

孤独に苛まれ、精神も追い込まれていた主人公は、流れ着いたバレーボールに顔を描き、「ウィルソン」と名づけ友達に見立てて話しかけ始めます。

話しかけ続けるうちに、主人公はバレーボールのウィルソンを本当の友達だと思い始める。

厳密には「友達だと信じ込んで現実逃避する」と言った方が良いのかもしれない。

極限の精神状態の中で何とか自分を保つための手段だったのでしょう。



さて、今日書きたいのは『キャスト・アウェイ』のあらすじでも感想でもなくて、「人となりをあぶりだす質問ってあるよね」ということ。

この映画の影響で、仲の良い私を含めた3人の中で、

「無人島に1つだけ食料を持っていけるとしたら何を持っていく?」

という話題になったことがあります。

メンバーは、

  • A子(九州出身の剣道女子、教育委員会勤務を経て現在は中学校教員)

  • Y子(生まれも育ちも東京23区、現在は都立高校教員)


A子はたしか「米」と答えました。


当時の私がなんて答えたか記憶は曖昧ですが、たしか「小麦粉」など無難な回答をした気がします。



そんな中、誰もが予想しない回答を放ったのがY子。
Y子の回答はこちら↓↓









「カスタードクリーム」





……


……


……




A子と私はあまりに予想の斜め上をいく回答に困惑。

A子:「いやいやいや、ありえないでしょ!」

私:「カスタードクリームなんで冷蔵しないと腐るじゃん!」

A子:「米でしょ!主食さえそろっていれば生き延びられるし!」

私:「小麦だったら水でコネてパンとか麺とか作れるから応用がきく」

A子&私:「とにかくカスタードクリームではない!」



唯一持っていくことを許された生命線とも言える食料にカスタードて!!


A子と私は、Y子の突飛な意見を笑いながら全否定しました。

その斬新すぎる意見と、そんなこと言っちゃう生まれも育ちも東京23区のY子が面白過ぎて、3人で大爆笑。

あまりに衝撃的な回答だったので、私は自分の家族にも話しました。

私:「ねぇ、無人島に1つだけ食料持っていけるとしたら何をもっていく?」

同じ質問を家族にもしたところ、父も母も弟もやっぱり「米」だとかなんだとか主食になり得る食材と回答してきました。


私:「あのね、Y子いるでしょ?大学の友達の。Y子なんて答えたと思う?ぷぷぷっ。カスタードクリームだよ?ぷぷぷっ。ありえないよね!」


これには私の家族も大爆笑。

Y子を知っている私の家族も、

「Y子ちゃんならそういいそうだな!」と言いつつも「カスタードクリーム持参」には賛同していませんでした。


「無人島に1つだけ食材を持っていけるとしたら何持っていく?」


普段の会話の中で生まれたこの質問、回答者の人となり(その人に備わっている性質や人間性)を炙り出す質問だなぁ、と思いました。

Y子はずっと親元でくらしていたので一人暮らしの経験がありません。だから調理をして食べるより、買って来てすぐに食べられるものを好む傾向があります。

甘いものが好きだし、あごが強くないのでやわらかい食べ物を好むY子。かぼちゃは嫌いだけどスイートポテトは好きだと言っていたこともあります。

生まれも育ちも東京23区。利便性に囲まれて生きてきた野性味ゼロのY子が無人島に流れ着いたら……

サバイブするのは難しいと思いますが、カスタードクリームを持参したら数日間は生き延びられるかもしれません!


あれから20年以上経った現在も私達は相変わらず仲良くしています。


1人は九州に住んでいるので、当時より集まって話す機会はめっきり減ったけれど、いまだにこの話で爆笑し合うことがあります。


先日、Y子にあらためてカスタードクリームを無人島に持っていく利点を聞いてみました。

Y子:

「カスタードって卵と牛乳と砂糖でできていて栄養がある。卵と牛乳はタンパク質。砂糖は糖質。バターも入っていたら脂質も摂れる。ある意味パーフェクトフード。少量たべただけでも数日間は生き延びられるはず」


お、おう……


さらにY子:

「無人島ではまず火を起こすのが一苦労。だから火を使って調理が必要なものなんて向いてない。米なんて真っ先に却下。火を通さずには食べられない。小麦粉も然り。だからこの時点で火使った調理を必要とする食材選んでいる時点で私から言わせたら違うよね」



い、一理ある……。


さらにダメ押しでY子:

「無人島に到着したら最初の数日間が一番、慣れなくて厳しいわけ。慣れて食料を自分で集めたりできるようになるまでの数日間を乗りきれれば、あとは自分で食っていける。

辛い最初の期間に食料として存在してくれてればいいわけよ。だからカスタードクリームが日持ちしなくてもそこは問題じゃないの」



20年の時を経て、無人島にカスタードクリームを持参するメリットは熟成され、一理どころではなく結構な説得力を備えるまでになっていました。


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