めいこ

フィクションとノンフィクション。散文とか詩っぽく日常と思考をつづる。心のゴミ箱、というか本棚 「出会った人と暮らした街が、しんしんと積もって私を作っていく。そんなお話、そのマガジン」-私

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    らぶれたー:ソウルへ

    ソウル。  あなたをどうやって説明すれば良いのでしょう:淡々としたカフェのリズム、夜のバス席、午後5時に見つめる私の影、なんだかプラスチックな渋滞。ラジオ局に向かう道、午後一時、昼の街。 バスに揺られながらコンピューターサイエンスの課題をやっては酔いました。寮の坂下、バブリーな日本居酒屋ですきやきを頬張りながらビールを欲しがる肝臓をたしなめました。私たちはいつも、切迫した時間割と、膨大な課題と、夢の中で私たちを追いかけてくる将来とかいう怪物の合間を縫ってあなたを知ろうとして

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      • 生になるということ

        最近知った魔法の言葉がある。「美しいものを美しいと感じていいんだ」。塩谷舞さんのエッセイ本で見かけた言葉だ。この言葉はいわゆる魔法の言葉のように、力強い雷鳴のようなインスピレーションを伴わない。代わりに固く閉じた心の蕾をあっためてくれる。閉じた花弁をほぐし、蕊たちに風を通す。湯煎されたチョコレートみたいに、白く固まっていた脂が溶けて、周りのカカオと愛し合って、甘い柔らかな空間を作る。この言葉は度々セレンディピティのように心に浮かんでは、部屋の風景を温めてくれる。 パソコンか

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        • 境界線

          英語でboundaryという、この言葉は心理的な意味も含む。自己と他人の境界線の話だ。 人間関係の矛盾 人は依存と自由を同時に求心している。これは最近読んだ本の受け売りだが、すごく納得のいく提案だった。依存とは、人を縛りたい欲求と縛られたい欲求の二本柱らしい。これだけでも大きく矛盾している。私たちは電話一本で駆けつけてくれる人も欲しいし、「自分が力にならなければならない」人も同時に欲しい。相手の行動も制御したいし、自分の行動も制御されたいのだ。一方で、そんな縛られた関係か

          • harbor・港

            ものは来て去る。他人もまた来て去る。私たちもまた、行っては去る。高速回転している世界では、人が、ものが、私たちが交錯するスピードはあまりに速すぎて、少しスピードダウンしてくれればいいのにと思ってしまう。 ベルリンでの学期が終わった4月末、ロシアに帰国する友人を空港まで見送った。これだけ国を行き来しているというのに、親以外の人に空港まで見送ってもらったことがない。人を空港まで見送ったのも初めてのことだった。移動とは、同時進行するいくつもの泡の一つから別の泡に途中参加することだ

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            • 経由地:イスタンブール

              真っ白なキャンパスが空っぽなのと同じように、真っ黒なキャンパスも同じくらい空っぽなのです。イスタンブールのバスは、フェリーは、街中は、雑音で溢れ、混ざった絵の具が脳のキャンパスに色を散らします。色が混ざり過ぎて黒になった筆で何本か線を書いてみても、絵の具の散ったパレットは混沌としていますから何を書いているのか全く読み取れないのです。何も読み取れないのは、何も書いてないのと同じ。空っぽです。 雑音に後ろから髪を引っ張られながら乗り込んだ空港行きのバス。日本に戻った自分を思い浮

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              • 言伝:ベルリンへ

                ソウルに書いたラブレターを今でもたまに読み返しては、ソウルに思いを馳せています。ソウルでの瞬間は、真心で色がついていたけれど、ベルリンではどうやら捻くれてしまうようです。家出少女が母になんと口をきけばいいのかわからないように、ベルリンになんと話しかければいいのかわかりません。ベルリンに真っ向から何かを伝える気概もないし、顔をみるだけで気まずい思いをするでしょう。そんなことをグダグダ書きましたが、ベルリンで過ごした記録くらい残そうと思います。家出少女に実家があるように、私もベル

                • 東京

                  東京は当たり前の雑踏だった。スクランブル交差点も、蒸し暑い夏も、明るい夜も、ちぐはぐな服装たちが行き交う街並みも、小学生が夜分遅くまで一人で歩ける安全も、私の都市の初期設定だった。夜に外に出るのに躊躇するサンフランシスコのテンダーロインや、小学生が一人で電車に乗るのを憚る都市が新鮮だった。 網の目のような東京公共交通機関。駅に停車してからドアを開くまでに紳士的な間があることに初めて気づいた。ベルリンの列車は駅に滑り込み、停車した瞬間にドアが開く。開かないのならドアの開閉ボタ

                  • ワルツ

                    1, 2, 3。ホップ、ステップ、ジャンプ。自分の体にいるのをこれだけ受容したのは久しぶりな気がする。私の体と心が以前よりは友達になって、自分のことを懐疑的に見ることも少なくなったように感じる。自分の中のパーツくらい仲良くなくてどうするのだ、と言いたくなるが、実際われわれの体と心は案外と仲が悪かったりするようである。このワルツは大きなRPGに私を放り込んだ。そんな中で心と体が仲違いしている余裕などなかったのだ。心と体がどう思っているかは今ひとつ存じ上げないが、まだお二人には仲

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                    • 物語の中に生きたい

                      物語の中に生きたい。好きなシーンをリピートして何度も飽きるまで体験したい。 例えば、穏やかな淡々とした物語。主人公は猫と住んでいて、お気に入りのカフェがある。ひょんとしたことからカフェのマスターと仲良くなって、休日はよくそのカフェで本を読みに行く。家に帰ると黒い猫がいて、餌をあげる。懐いている野良でも、拾ってきた気まぐれな猫でも、引き取った猫でもいい。そんな淹れたてのコーヒーの湯気みたいな、たまのハプニングでわたわたするような、物語。 例えば、レールの上を安全運転で進む物

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                      • いい女が、なんだ。

                        追うより追われたい。とか。飲み会の場でよく友達と話す話題。結局最後は「いい女になりたいよね〜」で終わるけど、なんだよ。いい女って。 友達とLINEで恋愛話をしていたときによく出す言葉、「いい女」。いい女になるってことは、いい人間になることに直結する。そんな話を2時間くらい話し込んだりする。 午後9時、ベルリン。タピオカ帰りにロシア人の友達にそのLINEの恋愛話をしてみた。「いい女」、直訳すると'good woman'。そのワードを出した瞬間彼女は「おいちょっと待て」と私を

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                        • 夜のジェットコースター

                          最近よく眠れない。ベッドに潜りこむと自分の頭がまるで別の人間みたいに喋り始める。友達の呟いた一言、ソウルで出会った人たちのこと、あの人が呟いた一言、夏を色付けてくれたあの人のこと、希望じみた空想、、、:他人で頭が埋め尽くされて、子供の相手をしているSiriみたいに私の脳みそは止まってくれない。ニューロンからポンポン化学物質が放出されて、さながら私の脳内はスーパーコンピューターだ。寝れない私はいろんなことを考える。大体は、考えるだけ仕方のないこと。昼間、パソコンに文字を打ち込ん

                          • 仮想現実

                            パソコンを直視できない。暗い、真っ黒な画面。まっくろすぎるキーボード。怪しいダークグレイのボディ。冷たい。 F列のキーボードをぼんやりと眺めながら視界の丈夫にある真っ黒な13インチ画面を確認する。浮かんでくるのは渦のような思考ばかり。竜巻みたいに私を襲ってくる。それに呑まれて、その姿を見ようと今日もnoteの画面に文字を打ち込む。 浮かんでくるのは真っ暗な井戸。底のない、深い井戸。蛙をぽちゃんと落としてみる。ひゅっと空気を切る音がして水面と蛙が接触する音がする。「ぽちゃん

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                            • ベルリン(少しソウル)

                              おはよう、ベルリン。今日も曇っているね。朝から雨を降らしていたらしいけれど、なにか悲しいことでもありましたか。私は、、、そうですね。悲しみや寂しさに暮れるよりも、あなたの曇り空とあなたの人々を知りたいと思っています。少し努力もしているんですよ?自分をいつもより少しだけ忙しくして、やることを詰め込んで、ソウルのことやそれにひっついてくる全ての慢性的感情を考えすぎないように努力しています。自分は本当にこの感情たちを忘れたいのでしょうか?いまいちわからないけれど。 この感情の波が

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                              • 静寂

                                こんこんこん、と頭の中のドアを叩く音がして、洞窟の中に隠れていた意識が差し込む光で目を開ける。ぼんやりとする意識の中で、携帯を手繰り寄せる。朝っぱらから情報の波に襲われて、意識が困惑する。「あれ?地震かな」 外的静寂は内的混乱を明らかにする。 私の中で未処理の感情たちが蠢いて、叫んで、今日も頭の中でプロテストが行われている:「私たちの声を聞いて」。私は言う。「心の底から聞いてあげたいと思っている。ただ、時間と順序と優先順位がある。」本心だ。政治家がいいそうなフレーズでもあ

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                                • 関係。記憶。対話

                                  人間関係をよく考える。私の人間関係は少し奇なるもので、自論を要する気がする。一つの都市に四ヶ月しかいないというのは、新しい関係に常に賞味期限があるということだ。賞味期限は四ヶ月、もうきっと戻ってこない。これは対人関係にも、自分との関係にも言えることだ。人との関係にも賞味期限がある。都市との化学反応にも賞味期限がある。その都市にいる自分との関係にも同じく賞味期限がある。賞味期限が切れた関係たちは、どうすればいいんだろう。缶詰にして真空パックで保管すればいいんでしょうか。 A)

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                                  • 曇り朝

                                    ベルリンの朝は曇っている。昼も曇っているし夕方も曇っている。日は四時に暮れる。北欧(ドイツはそれほど北ではないけれど)の冬が暗々しいのは聞いていたが、こんなに暗いとは聞いていない。いや、どちらかといえば暗いのは日照時間に呼応して浮き沈みする私の心の方なのだけれど。 人を失って初めてその人の価値を見出すように、太陽を失った私は今太陽の価値を考えている。太陽が乱反射した青空は心の雲をふぅっと吹き飛ばしてくれる。もやもやした感情やミルクとワインを混ぜた後みたいな生々しい臭い感情た

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