見出し画像

【議事録】2023年度第7回真山ゼミ 「何故日本は戦争を起こしてしまったのか」

今回のゼミのテーマ

今回のゼミでは戦前史を下敷きに、どのような要因から日本は戦争に突き進んでしまったのか議論をしました。

事前課題

発表者(ゼミ生)が作成した資料を読んでくること。

議論の進め方

7、9、10月の各回とも、最初に担当のゼミ生数名が調べた内容をもとに発表を行い、それを踏まえて議論する形式にする予定です。

ゼミ生それぞれが考える「日本が戦争を起こしてしまった理由」

Fさん
情報が中央集権的で、下から上に上がらない、諜報されていたこと。
ラジオの誕生によって情報が速くなった、情報が吟味される前に出てくるようになった。

Cさん
負けているところでも勝っているととらえられ、最後の方では理知的に冷静に考えられていない。知識人が重視されないのは国が感情的になっていたから。昭和恐慌によって日本の経済力が弱くなり、政治家はいい生活してるくせに働かない、という不満がでる。軍部がその不満を引き受けることになった。
松岡外相、非難されるかと思いきや国内で賞賛された。
アメリカに石油を依存しているのにアメリカに喧嘩を売ってしまった。
科学技術で先行するアメリカに原爆を落とされてしまった。

Bさん
物質的なところ、現実的なところを無視してしまったこと。
普通に考えたら領土、資源などでアメリカに勝てるはずがないが、戦争を吹っかけてしまった。
①情報が無くて馬鹿げた戦争だと気づかず戦争に突入してしまった
②本当に気合いだけで勝てると思っていた
江戸時代などからの流れで物質的なものにあまり重きが置かれていなかった。

Aさん
日本は半植民地から坂を順調に上り過ぎた。
増長がアメリカやイギリスに喧嘩を吹っかけるという事態に発展した。
日露戦争で戦勝したことも大きい。

Jさん
①政治システム:憲法上は天皇がトップだったが、陸軍のクーデターなど誰が為政者で国民の意見を反映するものなのか、天皇がトップなのかがはっきりしないまま体制がコロコロ変わっていた
②情報:軍部が国際情勢を理解していなかった+陸軍によるマスコミ対策→国民に色よい情報だけを流した

Iさん
これという理由はまだ思いつかない。
政党政治に失望した人が軍部に傾いたのでは。メディアがどうなっていたかきになる。

Hさん
・政治システム、大枠で言うと、憲法で書いていることをそのまま読み取ると、天皇が陸海空軍を動かす。それぞれ別個に動いているが、天皇が統合的な判断を下す
・しかし天皇は軍事の専門家ではない
・軍部と内閣が独立している、軍部の中でも陸軍と海軍が分かれており統合的な動き、判断ができない
・日中戦争の過程でメディアがスクープを出すために軍を取材するような仕組みができ、太平洋戦争の時は検閲によって軍に都合良い情報を流すしかなくなった

Eさん
当時のアメリカのルーズベルトは日本と戦争をしたくて、日本が
呑めないような条件を入れたという本を読んだ。
資源の問題は今でも問題になる。

Dさん
中央政府が分かれていて、日本から満州に支援があれば良かった。
台湾は何十年も植民地にされたが、
良いイメージ、台湾を開発をしてくれた。海軍と陸軍の理念の違いもあるのではないか。

Kさん
相手側の覚悟を見誤った。中国は一撃で撃沈するだろうと考えてしまった。
一度始めたアクションの終わらせ方が分からないまま行動を開始していた?
そもそも日中戦争の目標がよく分からないまま進んだ。

先生からのコメント、議論

Gさん
難しい問題。
聞いていて面白かったのは1941年12月8日から太平洋戦争が始まったという意識が強いこと。
「日中戦争頃から道を誤った」という感覚を持っている人が多いが、
自分はあまりそう思っていない。
明治維新のクーデター自体が、数人、いくつかの藩で起きている。日清戦争も本当は勝っていない。拡張政策を取った明治維新から間違っていると思う。

真山先生
細かい話をする前に、重要な考えを持ち帰ってほしい。
「歴史観」を持ってほしい。どこに立っているのか、日本・中国・アメリカ
例えば日本がしたことはすべて正しかったという人もいるが、
歴史観がないと、議論するときに自分がふらふらしてしまって迷子になる。
当時の世界、日本の相場観が無い、政治なんてシステムは無い。
日本が日清戦争を吹っかけたり中国に乗り出したりしたのは、ヨーロッパの真似をしているだけ。
空いているところで一番大きくみんなの関心が無かったのは満州:石油が出ない、石炭は出る(但し品質が悪い)。

日本は遅れてきた帝国主義。
WW1でドイツの権益を引き継いで勘違いした。
日本が世界の覇権争いに入ってきたことによって不和が生じた:後進国が何を出しゃばっているんだ、という欧米の感覚

本当はヨーロッパの戦線と太平洋戦争は別。
欧米は共産主義(赤、ソ連)が嫌だったため、ヒトラーを当初うまく利用しようとした。
東アジアでの戦争は、資源がない日本が誰も手をつけていない満州に手を出そうとした。
ノモンハン事件:ソ連と戦争をやろうとしたが、完膚なきまでに負けてしまった。
日本の官邸情報をソ連に出していたスパイがおり、ソ連はヨーロッパに戦力を割いた。

今日、多くの人がメディアの話をしたが、メディアが民主主義の中で役割を果たすのは、ヨーロッパのように国民が民主主義を獲得した国においてであって、日本は何となく民主主義を手に入れてしまった国のため、宣伝の役にしか立たなかった。
メディアは「政府に可愛がられたら得する」という考えでしか動いていなかった。
韓国は80年代までずっと検閲されていた。いわばそんな状況。

今の現状で戦争を見ると中央集権的、メディアといった問題が出てくるが、そのような状況じゃなかった。
単に、薩長的幕府ができた、幕府ができるときには最初は天皇を担ぐ。
征夷大将軍=国防のトップ、それまでは徳川、鎌倉など。それが個ではなく藩が持つことになっただけ。
なんとなく先進国の形を取りたかった。

誰が求めて憲法ができたのか、制度ができたのか。
形にこだわる人たちが、形を求めて憲法や制度を作った。
ルーズベルトが日本と戦争をしたかった、というのは有力ではない。
東海岸の人はビジネスを通して中国の利権を手に入れたいと考えていた。
太平洋と大西洋の両方で戦争をしたらダメでは、そもそも、ヨーロッパでも戦争をしたくなかった。
アメリカで力を持っていたユダヤ人がドイツを叩いてほしいとの圧力をかけていた。
しかし、アメリカには日本と戦争をする大義名分が無かった。

天皇が軍をコントロールできなかった。
アメリカの大統領は軍の統帥権を持っており、核兵器のボタンも押せた。
天皇と軍の関係:統帥権は無かったが、昭和天皇はよく頑張っている。

近衛内閣が手を離した時に天皇が東條を指名:
東條英機なら戦争を止めてくれる、と天皇が考えていた。
内閣は閣僚の全会一致で決められる。陸軍大臣、海軍大臣は軍人にしかなれなかったため、彼らがやめてしまうと内閣が崩壊してしまう。
陸軍や海軍を後押ししたのは世論でもある。
海軍は半年で戦争をやめたかった、と言われているが必ずしもそうではなく、インテリジェンスの話で言えば陸軍の情報部の方がはるかによくできた情報網を持っていた。
杉原氏@リトアニア、なぜユダヤ人にビザを出したか→情報の代わり
良い話も全て後ろに背景がある。

陸軍にも情報は入っていたはず。
関東軍が本部の命令によらず勝手に行動していたことがある。関東軍は左遷先であった。
当時の内閣はそれで潰れた。
そこで、ちゃんと処分すべきだったが中国を手に入れればうまくいけると思ってしまった。

日清戦争以降に清という国がダメになった。
孫文(民主化)vs周恩来(共産党)vs蒋介石(国民党)
内戦している時に横取りするのは一番楽(定石)。
→日本は中国に目を付けた。
日本の最大の誤算は中国が粘ったこと。
日本は最初は弱小国で好き勝手にやらせていたのが大きくなってきた。
セルフイメージはバブルのようにすごく膨張した状態になっていた。

憲法の問題には国会、天皇の権利が何も明示されていないことがある。
内閣より偉そうな枢密院などがいてアドバイスをしていた。
伊藤博文、山県有朋が昭和に入る前に亡くなっていたため止められなかった、という説もある。
台湾の問題は、軍ではなく政府が統治し始めた。
台湾と朝鮮で同じ仕組みだったのだが、なぜか違った。
台湾は当時システムがなく、教育も行き届いておらず、記録する言語が無かった。
→伝染病の蔓延防止などで日本は効果を出した。
当時日本の防疫は世界最高、それにも影響があったかも。
日本の後に入ってきた国民党が最悪だった、という評価を受けていることも影響しているのかもしれない。

国民、メディアが反対して戦争を止めることができたかというと、それは無理。
国際政治がどのように動いて戦争に向かっていったかを知ることが大切。

陸軍内部でも軍でも分かれていた。世論に流されてしまったことが原因。
戦争をして何のメリットがあるのか。
以前のゼミの際の戦争をする理由が何もないのになぜ戦争をするという話になるのか、という指摘はもっとも。

アメリカの言う通りにしていたら自衛隊が最初に突っ込めと言われかねない
日本は強い国に対して従順になってしまう。

原爆を落としてきたことに対して激しい憎悪を抱いていない人が多い、広島と長崎の一部の人だけ?
普通は許さない;日本はいわばソ連にアメリカの力を見せるためのモルモットだった。
日本人をそのような考えに持っていかせなかったアメリカのしたたかさはすごい。

日中戦争が泥沼化したこと、太平洋をまたいで世界最強の国に勝てると思ってしまった国民。
社会が冷静さを欠いて感情的になってしまうと戦争になってしまう。
情報は入ってきていたが、都合の悪い情報は上に上げない。本当の情報をどの様に取っていくかが大切。
ウクライナ問題にしても、すべての問題が入ってきているわけではないし、すべての情報を出しているわけでもないはず。
ほとんどの戦争は「やりたくてやったもの」はないはず。誰かがトリガーを作って、その流れに乗って戦争に突入してしまう。
止められるタイミングは沢山あったのに、感情的になって止められなくなってしまう事が怖い。
本当はインテリが止めるべきだった。

Gさん
触れていなかった点、戦争は盛り上がる。
報道は西南戦争の報道で最初に儲かった。
速報性との相性がよい。
儲かる=部数が増える、視聴率が上がる。

真山先生
最初朝日新聞は非戦の立場になろうとしたが非売運動が始まった。
『信濃毎日新聞』は潰れそうなほど非買運動をされた。
戦争に関する討論を日比谷公会堂などでやればラジオの契約台数がものすごい勢いで増えた。

戦争は本来他の国でやるべきで、自国で戦争をすると後で自分たちが苦しくなる。
日本人にとっては戦争は「他人事」であり続けている。
一方でドイツでは、教育のせいもあるが、「自分たちが悪かった」と考える人が多い。ナチスのマークは使用禁止で、ヒトラーの映画も最近まで作ることができなかった。
日本は「あれって軍部と天皇でしょ」と本気で思っているが、軍部と天皇だけで戦争はできない。
止めるべき人が止めなかったのが問題。

なぜこんなに歴史を学べと言っているかと言うと、今起こっている
ことの答えになるかもしれないから。

アヘンで外貨を獲得していた、満州は日本が資源を獲得し経済発展させるために必要だった。
フィクサーの存在も確かに重要。
例えば国民のため、と言いつつ残虐の限りを尽くした人たち(満州浪人)もいた。

何でこんなことが罷り通ったのか、を考えることが大切。
当時、精神論だけではなく「勝てない」と軍部も思っていたが、
石油を止められて、中国から撤退しろとずっと言われていたが、生活している人が100万人単位でいるのにそんなの無理となる。
cf.現在ガザでおこなわれていることと同じ。

勝つためではなく「日本を怒らせるな」というアピールの意味での戦争だったのかもしれないが外に出ていく戦争は辛い、しんどい。

同じようなことを起こさないためには、なぜ戦争になったのかを考えることが大切。
大日本帝国憲法をやめて日本国憲法にしたのは日本を骨抜きにして戦争をさせないため。
誰か賢い日本人がいて、アメリカの言う通りに核兵器を持たないようにして、我々は経済大国になればよい、と思っているとしたらそれは非常に賢い選択。

一番の疑問は「物質的に勝てないのになぜ戦争したのか」ということ?

Cさん
・一番の要は石原莞爾、東條?
・日米開戦をするかしないか、ということでいうと、石原莞爾は「負けるだろう」と思っていたので踏みとどまったが、東條は「行けるだろう」と思っていた?
・部下の二人が東條英機を暗殺しようとする事件もあった(with牛島さん:プロレスラー)
・三笠宮孝仁親王?が警察を動かして暗殺を阻止
明治維新は政治ごっこの始まり、裏にはイギリス
生麦事件、薩英戦争、意外と互角にやれて、イギリスはこいつらを利用しようと思った?
薩摩藩は当初「攘夷」を考える人が多かったが、さすがに日本勝てない、と開国派が強まった。
・坂本龍馬とグラバーが仲が良かった、イギリスが仕組んだ薩長同盟
・長州は英国公使館焼き討ち事件を起こす:井上薫、伊藤博文が参画していたが、同年にイギリスに留学(非常に無礼なことをしたにもかかわらず)←ジャーディンによる策略

真山先生
もともとジャーディンは松本、高杉らを西洋に連れていき、本当に西洋と戦争をする気があるのか、とある種「洗脳」:優秀な若者を連れて行って洗脳して自分たちのために働かせる。
フランスやイギリスと戦争をするよりは仲良くやって行く方が良い、という決断が+に働いた。

イギリスが世界を隅々まで支配するためには香港だけでは弱いと考えたイギリスは日本を抱き込むことにした:日本人が考えるように島国で王様を戴いているから、という共通点から同盟を持ちかけてきたわけではない。
日本が開国した時は世界は群雄割拠、誰が世界の覇権を取るかで争っていた。
CIAよりもはるかにMI6の方が優秀。

勢力争いに負けると思った幕府側を支援したフランス。
戊辰戦争は非常に危険な状況だった:長引いたらイギリスとフランスが本気で介入してきて日本が二つに割れていた。
→賢い人たちがとっとと戦争はやめてしまって、早く政府をつくろうと動いた。

西郷は追い詰められていた:薩摩にいながら政府と違うことをされると困る。

吉田以下、戦後の首相が取ってきた方針はアメリカに媚びているだけではない。小泉以降はどんどん媚びている。

誰かを祭り上げることは往々にしてあるが、アジア太平洋戦争に対して、陸軍・軍部が悪かった、と主張して8月15日以降に国民・天皇・メディアを免責する方向に進んできたことと同じことをしてしまうことになる。
アメリカが国民を免責したおかげで「アメリカが良い国」と考える人が増えた。
ドイツにしてもヒトラーがひとりで戦争を起こしたわけではなく、そういう人が出てきても国民が止めなくてはいけない。
戦争なんて誰かのせいにしたいことの筆頭。
天皇を殺せという声が出てきたが、国民が怒ると言ってアメリカが天皇を殺させなかったが、仮に天皇が殺されていれば東條と天皇が悪かった、という論理で完結した。

話を戻すと、常に国民がいた。官僚もいた。
新聞を読んだりラジオを聞いたりして「鬼畜米兵をやっつけろ」と言った国民がいたから戦争に突入した。
メディアは誰かを叩くことができたら視聴率が取れるので、同じことをしている。
「誰かが悪い」という流れを作るのではなくどこかでブレーキをかけなくてはいけない=民度。
(言い方は悪いが)民度が下がっているのでは。

Gさん
あまり出てこなかったのは、アジアへの蔑視が通底していたこと。
フィリピンや朝鮮は日本の格下である、解放してやる、という考え
技能実習生では同じ。

先生
太平洋戦争をきっかけとして独立したのは事実だが、
それを俺たちのおかげと言うのは烏滸がましい。

Cさん
cf. 中野学校

真山先生
中野学校のような機関は先進国ではどこにでもある。
戦前の日本のインテリジェンスは世界的にはそれなりの水準だったが、それが今に受け継がれているというのは的外れ。

Jさん
①日本は列強に遅れている、少しでも追いつきたい。攻撃を加えられるのであれば加えたい。
②勝てる勝てないではなく「勝ちたい」
③国民の意識:メディアが絡んでいる
④なぜ感情が暴走したのか、そもそも資源状況が悪かった
⑤到底応じられないと思われるような条件を突き付けられたときに妥協することができなかった
⑥外交というのが重要な役割を果たしていたが、そこへの重きが置かれていなかった(不十分だった):ソ連を軽視

これまで出てきた多くのところが、現代に立ち返って使えるのではないか。
日本の資源がそんなに無い、貿易がうまくいっていないのは同じでは、台湾有事と直接かかわらないかもしれないが。
外交:台湾有事は外交がへたくそだったら巻き込まれていく可能性がある
そのまま転嫁できるところがありそう。

原因がいくつか出てきたから、それに基づいて過去の行動を振り返り、戦争に巻き込まれないように(日本自体が戦争を起こすことはないだろうから)
起きたらどんな影響があるかは、専門家が考えるべき。
起こさないためにどうするかを議論すべき。

こんなキーパーソンがいた、という話は面白いが、国民レベル・日本としてどう動いていくか、ということを議論する上では誰か一人にフォーカスするのではなく全体として考えていった方がよいのではないか。

Gさん
日本は今でも遅れているのか?

Jさん
日本が遅れているかどうかは分からないが、意識があるのは確実ではないか
アメリカ、中国に対して:「中国の方が大きくて強い国」特に若い世代。上の世代ではむしろ中国を馬鹿にするような風潮が強い。

真山先生
遅れているというより国力や経済規模として負けているというイメージ?

Jさん
社会として成熟していないという意味ではなく、成熟した社会ではあるものの、強くない、もっと成長するべきだ、日本の成長は止まってしまった、という意識が根強いのでは。
このままだと、アメリカに巻き込まれていくだけ。

真山先生
安全保障に関しては核をアメリカに預けているため、頭が上がらないところがある。
アメリカと中国が直接対決する気はないため、巻き込まれる可能性は高い。
アメリカが守ってくれる訳はない、太平洋の向こうにいるので。

Cさん
国家に対するアイデンティティをどう考えているか皆さんに聞いてみたい。
自分の命よりも日本が大事なのか、それとも自分の命が危うくなったら国外に逃れて活躍するのか。
国家はフィクションに近いものと思っている。
自分が能動的に国家(日本)を選択したわけではない。
一方で四季があり、文化があり、美しい国。
一方でdeep tecとか分かっていれば食いっぱぐれない。

真山先生
世界的に見れば人種はすごく大事。
海外生活を高校以上で過ごしていれば、日本が無くなってもよい、と言えるのかもしれないが。
日本にしかいたことがないのに、日本なんか、という意見をいうのは根無し草的:日本人としてのアイデンティティ自体を自覚できていない状態。

Cさん
助け合いの大切さ:日本人であっても外国人であっても気が合う人、気が合わない人はいる。
人種・国籍を超えた信頼関係の醸成は大切だし可能なことである。

Jさん
この面では遅れている、と個別のことは言えても、全体として日本がどうなのか。
個人単位で考えてしまって国への帰属意識がない:危機になったら私は逃げればよい、と考える人が多いと議論が進まない。
外に出ないので日本のことを知らない、だからこそアイデンティティを持てない。

Fさん
この場にいる人は恐らく自分自身の能力で生きていける人が多いと思われるので国はいらない、と考えている人が多いのかもしれないが、国がいらない・なくなったときに誰がセーフティーネットを用意するのかという問題が生じる。

Gさん
それは日本でなくてもよいのか?
国名が無しで「国A」「国B」というセーフティーネットだけを備えた組織体?があればよいのか?

Fさん
これを持って私は日本人である、というものがない。

Dさん
日本人ではないが、応えられると思う。
自分のアイデンティティは他人の上で構築される。
日本はどこかと戦争しているわけではないため、「日本が無くてもよい」と思うかもしれないが、仮に戦争が起こったとしたらうちの意識が強まる、メディアの影響であったとしても。

二つ目の質問:
決定を下すポイント…自国がまけたら他の国で生活することになる:自国が無くなったときに他の国で生活することが可能か?

例えば中国が戦争をして家族や国が無くなったとしたときに、自分は生き延びたとしても、果たしてその後に生き永らえることはできるのだろうか。

平和な時には、よりよい生活ができる場所を選んで移住するというのは人間の選択としてよく選ばれるものではあるが…

資源がない、国が無い、しかし成功しているという意味でユダヤ人は非常に稀有な民族。

Hさん
国を個人的に意識したのはウクライナの戦争が起こった時。
ウクライナとロシアは人的にも行き来があったのに別国だからと戦争になってしまった。
フィクションだから、と言いたがる嫌いはあるが、国というフィクションは非常に強いフィクション。
英語で論文も読んでいるし、日本がなくなっても生きていけるのではないか、ということを言いそうになるが、人的ネットワークや言語という意味で自分が最も負っているのは日本。
日本という国がなくなって、近しい人もなくなって、自分1人で生きていけるかというのは難しい。

A
国家=創造の共同体
味方意識が強い→日本が侵攻されたとしたら志願兵として参加する可能性が高い。

Iさん
日本の外交問題を解決したい、日本を良くしたい。
兵士になるか、色んな手を使って避けるだろう。

Kさん
自分たちの頼れる国がある、ということが大切なことだと思う。
自分の命を投げ出してまで戦うか、ということはすぐに答えられる事ではないが、
国を守るために最大限協力するとは思う。

国が自分の居場所である必要はないのか否か。

Bさん
言語の壁がハードルになっている部分はあるのかもしれない。
留学生が多い学科にいるが、自分がよりどころとしているのは日本人コミュニティかもしれない。コストを感じないコミュニティは日本にあるかもしれない。

Eさん
高校の時に留学したが、留学なので自分は日本人で、日本に帰るという意識はあった。

真山先生
この手の話は体験しないと分からない
自分の一番大事な人が戦争に巻き込まれたら相手を許せないと思うのかもしれない
大事なのは国家なのか、コミュニティなのか?言葉の障壁もある。
戦前に起きたことをどうやって考えるか、という問題に取り組むときに、戦前の方が「日本ってどんな国なんだろう」と考える機会が多かったのではないか。

Gさん
このゼミに参加している人はマジョリティーでパワーエリート
トランプ支持の白人、国しか頼れないという人達も多い。
自分たちのコミュニティを守るために国と対立するということもあり得る(在日コリアン)

Cさん
ほとんどの人は国をアイデンティティとしてそれなりに持っているはず。
①戦争は基本的にリソースの取り合い:自分が生きるか死ぬかの生命線を維持するため
②ゲノム解析、平面にプロットすると、ヨーロッパ、アジア、アフリカに分かれる。が、今はハーフが増えてその差が少なくなっている。垣根が低くなっている。
混血により民族の違いが緩和されていくと、アイデンティティが薄まっていって国というものが意識されない社会になっていく可能性がある
国を意識せずとも幸せに生きていける

現状は3つくらいの民族に分かれている→お互いに敵視せざるを得ない
個人として生きたり、間に生きたりするのが難しい。

真山先生
とはいえ、個人主義を選んだ時に、寂しい、というときにそれを自分が選んだんでしょ、という事になる。
人間は感情にこだわってしまうというところが面白いところ。

自由選択で「戦争に行くか」と聞かれたら「はい」という人間はほとんどいないだろう。
行かないならあなたの家族は殺される、と言われたら行くという選択肢が選ばれるかもしれない。
想像力として備えてほしい。何かあったときに自分たちはどうするのか
逃げる人を非難するのだけはやめよう。
自分の価値観があれば良いのだが、日本では「裏切りだ」と言われがち。
パワーエリートが動いて戦争を止めるにはどうするかを考えるべきで、それが真山ゼミの目的。この議論はフィクション。万が一にも現実になった時にどうするか、を考えながら議論してほしい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?