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『ただそれを、確かめること』 #ポエムのある暮らし



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ようやく覗いた晴れ間に近ごろ過ぎ去った夏の欠片を探してみようと思ったけれど風がそれを遮った気がした、すこし乾いたにおいのする空気を連れて

訪れた
あたらしい季節さえ、すでに
先へ進んでいる、確実に
振りかえるなら確かめること
そこにあった道しるべを、確かめること
懐かしむのではなく
悔いるのではなく
分かれ道へ戻るのでもなく、
ただ
確かめること
わたしはこの道を選んだ
わたしはこの道を選んで、進んできた
ただそれを、確かめること

ようやく覗いた晴れ間に近ごろ過ぎ去った夏の欠片を探してみようと思ったけれど、風が連れてきたすこし乾いた空気のにおいが教えてくれた気がした

探すべきは
過ぎた季節の欠片
ではなくて、


『ただそれを、確かめること』





だいたい、後ろ向きでいる。
次の季節に希望を見出すことよりも、過ぎた季節を懐かしむ。
そこに築いた何かを。
もしくは、そこに置いてきた何かを。

区切り、というものが苦手だ。
できれば何ごとも、ズルズルと何となく地続きでいるのがいい。
あたらしい環境も苦手だ。
苦手だけれど、自分がそこに飛び込むのではなくて、自分のまわりが自ずとグラデーションを成して変わっていくのは構わない。
ため息をつきながらも、自分でも気づかぬうちに、染まっている。
そう。きっと、そこが大事。
気づかぬうちに、染まっている。
だれと一緒であれ場所がどこであれ、まっすぐ前だけを向いたときには、まわりの色など見えない。
見えなくて、染まっている。
それがだれかにとってのグラデーションの一部になるかもしれないけれど、そんな大それたことはひとまず脇に置いておいて、年に幾度か迎える区切りのときに毎度同じことを思っている。わかっているのに覚悟をもたないのだからそれはわかっていないのと同じだ、いったい何度迎えただろう、そしてまた、言い聞かせる、

探すべきは
過ぎた季節の欠片
ではなくて、





このnoteは、定期購読マガジン『ポエムのある暮らし』収録noteです。
ポエムからはじまり、バーテンダー歴15年のぼくがご紹介する「おうちでつくるかんたんカクテル」、ショートエッセイを掲載しています。更新は、月4回。
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10月さいしょの更新です。
いつもありがとうございます。
ここからは、「かんたんおうちカクテル」と、短いエッセイを1編お届けします。

9月の3回目で、「ドライヴェルモット」というお酒のおいしい飲み方をご紹介しました。
ちょっと復習ですが、「ヴェルモット」というのはワインの一種で、カクテルに非常に多く用いられるお酒。とってもマイナーだけど、バーでは必須の一本です。
上に書いたように、やや黄色みがかった透明のもの、文字通りドライなテイストのものを「ドライヴェルモット」と呼び、赤茶色の甘口のものを「スイートヴェルモット」と呼びます。
スイートヴェルモットでいちばん有名な銘柄は「チンザノ(Cinzano)」だと思います。居酒屋さんでも置いてあると思います。

(Amazonリンク、ちょっと高いです。酒屋さんで1,500円台で買えると思います)

「ロッソ(Rosso)」はイタリア語で「赤」の意味です。ロックで飲む人が多いでしょうか、アルコール度数もそんなに高くないので(チンザノロッソは15度)延々飲めてしまう、ちょっとキケンなにおいのするお酒です。

このままでも十分おいしいので、これを書きはじめてから何をご紹介しようか悩んでしまいました...今回は定番のカクテルをご紹介しようと思います。
それでは。


まずは、あまり知られていないのですが、すっきりおいしいロングカクテルをひとつご紹介します。


フォルミュール(Formule)

スイートヴェルモット 30ml
グレープフルーツジュース 30ml
トニックウォーター 60ml
氷を入れたタンブラーにスイートヴェルモットとグレープフルーツジュースを注ぎ、トニックウォーターで伸ばす。

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とってもつくりやすくて飲みやすいカクテル。
じつはスイートヴェルモットでロングカクテルって、とても難しいんですよね。味は濃いのにボディは繊細、だからソーダで割ると、かんたんにテイストがぼやけてしまう。スイートヴェルモットは強いお酒と合わせて魅力が伝わるタイプなんです。

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ポイントは、ソーダは入れすぎないこと。上の写真のように、ソーダの泡がかすかに見えるくらいで全然かまいません。微発砲くらいがおいしいです。


そしてひとつぜひとも覚えていただきたいのですが、この「グレープフルーツジュース+トニックウォーター」という組み合わせ。これがとっても頼りになる組み合わせ。
これにお酒を入れたら、不思議なことにだいたいおいしくできあがります(想像できると思いますが、ミルク系のお酒は厳しいです)。
反則級・裏ワザ級にだいたいうまくまとまるので、バーでは逆にやらないことが多いかもしれません。これに逃げたらプロじゃない!と思われてしまうかもしれないから(あくまで私見です)。
「スプモーニ(Spumoni)」というカクテルがありますが、これはカンパリを「グレープフルーツジュース+トニックウォーター」で割ったもの。意味としては、「泡立つ」みたいな感じです。
スプモーニ以外にも、下記のような定番モノがあります。

ディタモーニ:ライチのお酒「ディタ(DITA)」を使用
ソルクバーノ:ホワイトラムを使用
それぞれ、「グレープフルーツジュース+トニックウォーター」で割る。

ディタモーニは甘くて飲みやすく、ソルクバーノは辛口爽快。「キューバの太陽」という意味です。
ほかは、カシスモーニでもいいし、オレンジリキュール(コアントローやグランマニエ)でモーニにしてもいい。ジンモーニでもウォッカモーニでも、テキーラモーニでもおいしい。とにかく便利。

『困ったときは「○○モーニ」!』

この裏ワザはぜひ、覚えておいてくださいね。

次は、バーで飲める有名なカクテルをふたつご紹介します。


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