マガジン

  • 理想の死について

    “make sure”は、とある老人との出会いを通じ、生きる上での「確かさ」とは一体何なのか、そもそも確かなことなどあるのだろうか、ということに疑問を抱いた著者が始めた活動です。 現実と幻想とのあいだで、最初から存在もせず、ゆえに失われることもないものについて、語りという行為を通じ、「確かさ」を立ち上げることを目的とします。 最初のテーマは「死」について。あらゆる年齢・職業の人たちに「理想の死に方」を問い、ある日、ある時、ある場所での「死」に対する考えについて確かさを築いていきます。

最近の記事

  • 固定された記事

序文

「生きている上での確かさが、少なくなってきたように思う。」 自宅の定位置であるソファーに身を沈めたその老人は、やや緊張感のある声で静かに語った。 その時が近いことを悟っていた。 ・・・ “make sure”は、とある老人との出会いを通じ、生きる上での「確かさ」とは一体何なのか、そもそも確かなことなどあるのだろうか、ということに疑問を抱いた著者が始めた活動です。 現実と幻想とのあいだで、最初から存在もせず、ゆえに失われることもないものについて、語りという行為を通じ、「確

    • 76歳,男性

      死って、あの死?別に...別に。 はっはっは。 別にねぇな。 ばぁちゃんの余命宣告から、1年と9ヶ月経った。 面会は、1日2人まで。 昨日も行って、話しかけたら、ずーっと頷いてるだけだった。 いくらかは、わかっているみたいだな。 随分弱ってはきているけど、大差変わりねぇな。 オレ? やせたな。 髪の毛は、細くなって、うすーくなっちゃったの。 洗うと、べだーっとなくなっちゃうの。 オレ? 76だ。1944年だから。 あと10年...生きるかな? 87だな。俺より10

      • 22歳,女性,フリーター

        整形外科でリハビリ補助の仕事をしていて、おじいちゃんおばあちゃんとずっと喋っているんですけど、仕事中に、おじいちゃんたちに囲まれながら「理想の死に方」について考えてて。 今すぐ死ぬとしたらどうするかな、って思って。まず、外に出る。体が疼いて、「やばい!出なきゃ!いかなきゃ!」みたいな気持ちになりそうだなって。太陽の下で死にたいっていうことなのか、授業中に窓の外を見るみたい「現実逃避」のような感覚で外に出たいということなのかわかんないんですけど。今自分がやってること、生きてい

        • 27歳,女性,IT会社勤務

          死ぬ時は、家族に見守られて....衰弱で死んでいきたいかな。 自分にとって、一番身近な死ってなんだろうって考えると、私のおばあちゃんのこと。小学校3年生の時のことだったんだけど、十年近く経った今でも教会で、「おばあちゃんにお世話になりました」とか、「良くしてもらったのを覚えてますよ」って言われて。そう言われるとすごく誇らしいし、人の記憶に残るのってすごいことだなって思う。人との関係性をすごく大事にしていたんだろうし、そこから学ぶことはたくさんある。 おばあちゃんは大学で英

        • 固定された記事

        マガジン

        • 理想の死について
          28本

        記事

          28歳,男性,証券会社勤務

          多分、妻より僕の方が先に死ぬので、妻に手を握ってもらいながら。「今までありがとう」っていって衰弱死するのが一番ハッピーだなって思います。その時に、願わくば、子どもたちとか、孫とかが、自分の生きた証を背負ってくれていたらいいなと思います。一般的な意見かもしれないけど。 自分が居なくなったあとも、なにか残るものがあれば、魂自体はそこにいるのかなって思います。子どもとか、孫というのが一つの形だし、組織を作ったり、自分の考えを書いて本にしたり、そういうものが残ったらいいなと思います

          28歳,男性,証券会社勤務

          28歳,男性,国際税務アドバイザリー

          理想の死に方って持ってるのが普通なの?...理想の死に方か。 いかに自分がやりたいとか、やらなくちゃいけないと思っていることをやり切る人生を送れるかってことを考えるんですよね。まだ社会人になって2,3年目で、今やっている仕事はすごくやりたかったことっていうわけでもないし。 やりたいことは...うーん、なんとなくはあるけどね。この仕事やっていて、ここは勉強したいな、これを続けたらこういう資格がとれるなとか、ここに転職できるなとか、そういイメージはあるね。でも、サッカー選手が

          28歳,男性,国際税務アドバイザリー

          27歳,女性,妊婦

          子どもができてからも、死生観みたいなものは実はあんまり変わってない。まだ生まれなくて、実感がないからかな? まあ、より健康で長く生きたいという気持ちはあるけど。 それより、これからどうやって教育していかなきゃいけないか、そっちの方に気持ちが向いてるかな。どこの保育園に行かせるか考えだすと、きりがないんだけどね。その先には親の介護が待ち受けているし、これから先どうしようかなとはよく思う。私、一人っ子だし。 なんか、歳を取るごとにだんだん考え方が現実的になるからさ。嫌になっち

          27歳,女性,妊婦

          26歳,女性,大学院生

          もし、すごく大事な人を残して死んでしまうとしたら、その人にめちゃくちゃ明確な場所、ここにいけば見えるよ、じゃないけど、会えるよ、みたいな場所を伝えてから死にたいですね。 アニメとかで、「私が死んでも、星になって見ているよ」とか言うじゃないですか。でも、星っていっぱいあるし、どれかわからなくないですか?どこだよ...みたいな。なので、そういう手がかりを残して死ぬ、みたいなことはしたいですね。あの松の下に座ったら、こっちから見えるよとか言って。 場所は、アクセスするのが大変じ

          26歳,女性,大学院生

          32歳,男性,ベンチャー企業CTO

          何歳まで生きたいとか、具体なことは考えたことがないですね。死ぬ時は、死ぬと思っている節はあるかな。奥さんは、年に1回くらい「私より先に死ぬな」的なことを言ってくるので、そこは守りたい。あとは、自分の親より先に死にたくないなとか、そのくらいかな。...まあでも、明日死んでもいいように生きるみたいな、頑張るみたいな、そういう気持ちではいますね。 あとは、結構ひっそり死にたいっていうのはあるかも。周りに迷惑をかけたくない。自分は根っから結構ネガティブで、とにかく迷惑かけたくないと

          32歳,男性,ベンチャー企業CTO

          27歳,女性,新婚

          基本ずっと生きていたいから、死に方は考えたことなかったんだけど。 もし死ぬなら2パターンあって、老衰で死ぬか、自分が大切にしている人が死んだら後を追いたい。自殺はみんなに迷惑かけるから、安楽死を認めている国にいって、死にたいかな。そのためのお金なら今からでも準備したいなと思う。本当は100歳までだって生きたいけど、もし大切にしている人がいなかったら悲しいじゃん...話せないの。 例えば、子どもが3歳とか5歳とか面倒見なきゃいけない年齢だったら、その子が22くらいになるまで

          27歳,女性,新婚

          人生18年目,女性

          授業で、お腹の中にいる子どもが障害を持っているかどうかわかるようになったっていう話を聴いて、ちょっと近い話題だなって思った。 「死」って現実味がわかないけど、死ぬときは自分の大好きな人が周りにいてくれたらいいなと思う。海とか景色のいいところで亡くなれたらいいなとも思ったけど、日常的な場所の方が落ち着くのかなと思う。病院は嫌。痛みもなく自然に死ねるならたくさんの人に、見守って欲しい。いつもみたいに眠る感覚で、自然とチーンて感じがいい。 今コロナだから余計にいろんな人がそう思っ

          人生18年目,女性

          25歳,男性,俗世修行中の僧侶

          ちゃんと考えようと思って、本を1冊読んできちゃったんです。樹木希林の「一切なりゆき」...これ名著です。全ページ折ってんじゃないかってくらい。 樹木希林さんの名言集で、半年前くらい前に一度読んでいたのですが、改めて読み直しました。僕も樹木希林さんみたいな感じになりたいなと思って。すごいんですよ本当に、人生観も、死生観も。自分の理想としていた姿が言語化されているというか。 読んで一番はっとしたのは、「終了するまでに美しくなりたい、という理想はあるのですよ。ある種の執着を一切

          25歳,男性,俗世修行中の僧侶

          23歳,女性,会社員3か月目

          自分の周りにある世界の感覚をつかめなくなる前に死んでいたいなって思ってます。頭を使って考えて、五感を使って感知できている状況で終わらせたいなって。何でそう思ったのかよくわかんないですけど、延命治療したいとか、とにかく長生きしたいという思いはないですね。 命を無駄にしているのかって言われてしまうかもしれないですけれど、今問われて、率直にそう思いました。 高校と大学の時に留学したんですけれど、全く違う環境に行くと、当たり前なんですけど、いろんなことにびっくりして。嬉しいことも、

          23歳,女性,会社員3か月目

          人生の折り返し地点で,女性,編集者

          私シングルだからさ、家族に看取られるっていうのは無いわけ。父と兄がいるんだけれど、自分のほうが後だろうと思うと、死ぬときそばにいるのは誰かな?とか考えるよね。病院にいたら医療関係者だけど、家の中で一人だったら孤独死って言われちゃうよね。それもやだなーと思う。家で一人で終わってもしょうがないと思うけど、何ヶ月後に発見っていうのはすごく嫌じゃない?孤独死っていうネーミングどうよ。 まあでも、いかに早く発見されるか。要するに日々のコミュニケーションとか、セーフティネットワークを

          人生の折り返し地点で,女性,編集者

          初老,男性,編集者・ライター・会社役員

          理想の死に方は...ないですね。死に方ってあんまり考えたことなくて。 しかし、コロナに関しては意外と恐怖心がありますね。重篤化する危険因子をたくさん持っているし、歳も歳だし、神経質に過ごしている訳でもないんですけど、嫌な感じがする。罹患したら大変だという気持ちはあるけれど、積極的に死の形をイメージすることってないですね。生に執着しているのかな、まだ。 昔に比べると、死ってかなり身近な感じありますけどね。同年代の人が死んでいくということもあるし。自分のそばにあるのかなと。

          初老,男性,編集者・ライター・会社役員

          59歳,男性,大学教授

          定年が70歳だから、それまでは今の大学で働きます。 4年前に大学で研究室を持つことにして、他の大学だと定年が早いからこの大学を選んだしね。 それから先はまだ考えてない。みんな周りはもう、60歳で定年しているし、55歳で役定っていう人も多いけどね。 自分は、そこから延長。あと10年は研究と教育を続けようと思ってる。教育もしなきゃいけないかなって、年だからね。5年後、10年後に芽が出ることもあるかもしれない。 やったことが残る死に方がしたい。自分がやった、ということが世の

          59歳,男性,大学教授