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日本にはないベンチャー投資の新形態 レベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)の主要プレイヤー

前回は「新しいベンチャー投資ファンドのカタチ」として米国のレベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)とは何か?を説明しました。

今回は米国における主要なRBFのプレイヤーを紹介します。

1. Lighter Capital

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まずは自身のRBFレポートで72%の米国のRBFマーケットをカバーしていると発表しているLighter Capitalです。

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上記のRFBマーケットシェアは2010年〜2018年のRBFの案件数を基にLighter Capitalが算出したマーケットシェアです。実際に米国のRBF市場ではLighter Capitalは最も有名な存在であり、起業家からRBFのプレイヤーとして真っ先に名前が挙がるんのが同社の名前です。NY TimesやTech Crunchでも取り上げられ、RBFの資金提供の実績が最も豊富な老舗のファンドです。RBFの他にもTerm Loan(借入)やLine of Credit(運転資金向け融資)のプロダクトも提供しているようで、ベンチャー・レンディングのプロ集団といえるでしょう。

資金提供件数: 650件以上  
資金提供総額: $200mm
資金提供キャップ:$3mm
資金提供対象セクター: SaaS、テクノロジー、デジタルメディア等の類似セクター

※USに子会社があるスタートアップへの投資も行なっているということなので、もし米国に支社があれば日本のスタートアップへの資金提供も可能性があるかも知れません。

2. Flywheel Financing (Hustle Fund)

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Flywheel Financingは72時間以内に資金提供を決定する機能を持つRBFです。対象地域は米国に加えて東南アジアのスタートアップにも資金提供を行なっています。Flywheelの1番の特徴はHustle Fund Familyの一部としてRBFを提供しているという点です。Hutle Fundは500 Startups出身のキャピタリストがシード前もしくはシード期のスタートアップに投資することを目的に作られたVCで、創業者が、伝説のエンジェル投資家であるジェイソン・カラカニスのThis Week in Startupsにも登場した、今米国で勢いのあるVCです。

Hustle Fundの(約100の)LPは米国の個人投資家がほとんどで、第1号ファンドを設立する際に約$10mmの資金調達をしていますが、その際に700以上の投資家との対面のミーティングを経て調達をしたそうです。(コロナ後の今では珍しいですね。しかし現在は投資の意思決定は完全にリモートで行なっているようです)特に面白いのはその約100人の投資家は、Hutsle Fundへ投資する前にはスタートアップへの投資を行なったことのない投資家が殆どで、資金力のある友人等から口コミ方式でミーティングを重ねていった結果$10mmの調達に至ったということです。2019年のコロナ前のいわゆる"Good Time"に資金調達を行なったそうですが、ベンチャー投資経験のない投資家から$10mmを資金調達することが出来る環境だったということは、米国のベンチャー投資の裾野の広さを感じさせます。

Hustle Fundのポートフォリオ企業は約100社でその殆どがシード期もしくはプレシード期のスタートアップです。Hustle Fundのファウンダーは元起業家で、そのポートフォリオベンチャーに徹底したハンズオンのサポート行なっています。Flywheel FinancingはこのHustle Fundとリソースをシェアしていて、スタートアップはFlywheelで資金調達をすることで、Hustle Fundやそのポートフォリオ会社のCxOやエキスパート達にもアクセスが可能になるというところが最大の特徴です。

資金提供キャップ: 月額売上の2倍まで
資金提供対象セクター: SaaS、イーコマース等のオンラインビジネス

3. Clearbanc

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前回の投稿にも登場しましたが、ClearbancはSlack、Box、SurveyMonkeyへの投資で有名なシリコンバレーの投資家Chamath Palihapitiyaが資金を投資するRBFです。24時間で$1,000〜$10mmの資金提供を決定することを打ち出しています。

また、2019年4月にThe 20 Min Term Sheet というキャンペーンを打ち出し、VCをディスラプトすると発表して話題になったRBFです。Co-funderのMichele Romanowはカナダ版のマネーの虎であるDragons’ DenというTV番組で活躍する個人投資家として著名ですが、スタートアップの創業者が複数のラウンドを経て到達するIPOの際に、創業者の持分がかなり減っていることに問題意識を持っており、Clearbancの成功を以って創業者がもっと多くの持分を持ちながらイグジット出来ることを証明したいと語っています。

Clearbanc自身VCから総額$70mmを調達しており、ファウンダーからVC投資とRBFの関連をアドバイスすることが出来るかと思います。これまでに$1bnの資金を2,200のスタートアップに提供した実績があります。

資提供キャップ: $10mm
資金提供対象セクター: D2C、サブスクビジネス等の類似セクター

以上、米国の主要RBF3社を紹介しました。今後もRBFの動向については記事にします。

【2021年10月追記】
RBFとは異なりますが将来債権売買のプラットフォームである
Pipeの台頭や日本におけるフィンテックの盛り上がりを受けて、米国におけるレベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)についての問い合わせをよく受けるようになってきました。2019年から米国企業のRBFのオペレーションを担当していて、日米の業界をフォローしていたので、新規事業としてRBFのお考えの際には、何かしらご相談に乗ることが可能かと思います。よければツイッターにDMいただければと思います。


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