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1月、書きながら読んだ本たち

年が明けたかと思えば気がつけば2月、と言いたいところだけれど、正直なところ、私の1月は体感が長かった。おそらく正月休みが抜けきらないまま仕事をしていたせいだと思う。月末を迎えたときには、ようやっとか、とため息が漏れるほどだった。

さらに1月は、自分の本の原稿に追われてもいた。一方で読書欲は枯れることがなく、むしろ書き下ろし作業のいい刺激にすることができた。
珍しく(?)記録もまめにつけていたので、せっかくだからnoteにも放流しようと思う。月の後半はさすがに呑気に本を読んでいられなくなってきたので、半月ほどの記録です。


◆『GIFT』文・羽生結弦 絵・CLAMP

今年一発目はまさかの結弦でした。羽生結弦とCLAMPがコラボ製作した絵本。アイスショー「GIFT」を観ていたので内容は知っていたけれど、CLAMPの絵が添えられると心に入ってくる感じがまた違ってくる。あったかくて、優しくて、美しい。
正月に、結弦オタクの母に読ませてもらいました。


◆『星を掬う』町田その子

母と娘の物語。家族って、親子って、血の繋がりってどんなに歪んでも、かけがえのない本物なのかもしれない、なんて希望が持てた。

ただしそんな美談では終わらせられない関係が、この世にはごまんと溢れているのだろう。
だけどこの物語は、親子というものに縛られている誰かの心を、掬い上げることはできるのかもしれない。途中あまりにもしんどくてギブアップしそうになったけど、理想的な結末になんとか救われた。都合がよすぎる、とも言えるけど。それに主人公がちょっと悲劇のヒロインぶりすぎかな、とも思うけど……(薄情)


◆『平成くん、さようなら』古市憲寿

自ら安楽死を選択できるようになった、もしかしたら隣の世界線にある現実。
正直馴染みのない固有名詞が多すぎてとっつきにくい部分はあったけれど(東京が舞台の小説、だから得意じゃない)、これもまた時代を反映した小説の一つではあるのかなと思う。


◆『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子

ぼんやり生きてて、周りには「あなたをみてるといらいらする」と言われる中年女性のささやかで大切な恋。誰にでもあるんだろうけど、でもそんなのじゃなくて、この気持ちは簡単に他人に代弁されるようなものじゃなくて、もっと崇高なはずで。伝われ、でも伝わらない。そういう感情に、苦しいほど共感した。
いや、ほんとに読んでると主人公にいらいらしてくるので書くのがうまいな、と舌を巻きました。


◆『静かな雨』宮下奈都

足が不自由だとか、記憶が長続きしないだとか、そういう悲劇的な境遇って悲劇的ではあるのだけれど、一方で当人たちはそれを当たり前にして生きていくしかない。人間、そういうもんだと受け入れてしまえる部分は、あると思う。

この物語は、主人公二人の自分たちの境遇に対する受容と嘆き、その感情のバランスがリアルで好ましかったです。ずっと悲しんでるのも、ずっと平気で受け入れてるのも不自然だから。


◆『豆の上で眠る』湊かなえ

湊かなえ、昔見た実写ドラマか映画の暗さと不気味さが印象的でずっっっっと避けてきたけれど(おそらく『贖罪』)、読んでみたらただの食わず嫌いだったことがよくわかりました。

本ものの家族、本ものの姉妹、本ものってなんだろう。最後には、自分の人生すら疑いたくなるほどの鬼気迫るラスト。読まされる文章でした。


◆『これが生活なのかしらん』小原晩

お友達に借りたエッセイ集。
酸いも甘いも、ぜんぶ紛うことなき生活だから。私も暮らそう、これからも。


◆『チエちゃんと私』よしもとばなな

私がいなくても大丈夫なチエちゃんでいてもらうこと、それが今の私の愛だった。

好きなところ。

私にとって、世界はあるべき姿にいつか変わるべきものではない。今のままのものだし、今あるものが世界なのだと思う。

マーカーで線を引きたい。

変わること、変わることを受け入れること。変化の船に飛び乗ること。あるがまま、を大切にしたくなる1冊。大事にとっておきたくなる言葉がたくさん散りばめられていました。


というわけで、1月は7冊。個人的にはいいペースで、いい作品を摂取できていたなと感じる。

素敵な文章を読むと、私も何か書きたくてたまらなくなる。今月もたくさん読んで、もっともっといいものを書くぞ。まずはエッセイ集と短編集の脱稿おつかれ私、労うためにまた本を開く。

今さらですが、読書に関する記事をまとめたマガジンを作ってみました。


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