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課長2.0

ソフトバンクアカデミア同志 前田さんの新作が出たので気になって買ってみました。課長だけでなくリーダーシップに関するとても参考になる書籍です。

パーソル総合研究所のアンケートによると「新型コロナウイルスの流行が収束した後もテレワークを続けたい」と答えた人は78.6%、約8割に達する。リモートワークの導入に成功した会社は、ライバル会社に対して競争優位に立つ

リモートワークでは、目の前からメンバーが消え去り、「目隠し」をされた状態でマネジメントをしなければならない。

職場に縛り付けられている従来型の「課長1.0」のままでいたら、自由を手に入れられない。「課長2.0」によって自由を手に入れ、社外のリソースと広く深くつながっていく。

管理職は「自分の力」ではなく、「メンバーの力」を借りて結果を出すのが仕事。主役はあくまでもメンバーですから、管理職が全面に出て頑張るのは筋違い。イメージすべきは「合気道」管理職自身は「力」を抜いて、メンバーに上手に「技」をかけて、彼らがうちに秘めている「力」を最大限に引き出す。

管理とは「良い状態に保つように処置すること」処置は「状況に応じて適切な手立てを講じる」管理職の職務とは「組織目標を達成するために、担当するチームが良い状態に保つように、状況に応じて適切な手立てを講じる」こと。

管理職はメンバーを信頼する。メンバーが信頼を裏切るようなことをする可能性も織り込んだうえで「信頼する」と決断する。

「この管理職は自分を見捨てたりしない」と理解してもらうこと。その信頼感があるからこそ、管理職の指導に耳を傾けてくれるようになり、いずれ成長の糸口をつかむタイミングが訪れる。

日々の自分の行動を「念い」で律することができれば、メンバーたちは、「この管理職は一本スジが通っている」と信頼を寄せてくれるようになる。

ことあるごとに「念い」を繰り返し伝えることで、メンバーは「自分は、企業理念に、どんな『念い』を重ねられるのだろう?」と考え始めるようになる。これが重要。

一期一会
毎日顔を合わせるような相手であったとしても、「一回一回の出会いを大切にしなさい」と論す言葉

悩んでいても何も生まれない。もう終わったこと。グズグズと悩んでいたって、元気と信頼を失うばかり、反省を刻んだら、新たな気持ちに切り替える。

メンバーを「人間」として尊重する第一歩は、メンバーを「知る」ことに他ならない。

リモート環境下において、管理職が強く意識すべきなのは、メンバー同士が「人間」として距離を縮めることができる「場所」をつくること。

ステージゼロ」とは、具体的な仕事に入る前段階の、日常的な立ち振る舞いやコミュニケーションのこと。「話しかけやすい存在」になることこそが、優れたマネジメントを実現する第一歩

失敗があったとき、上司だけでなく他のメンバーの表情、声音、雰囲気、言葉から、身体全体で「大丈夫だよ」というメッセージを受け取ることが大切

定例会議の30分前に、管理職がWeb会議アプリを立ち上げていることをアナウンスして、自由参加による「雑談タイム」を設けるのもいい。5分前に集まるようにして「雑談」してウォーミングアップするのもよい。

相手を変えようとするのではなく、自分の相手に対する認識を深めて、自分のアクションを変えることによって、状況を変えること。「内観」をする究極の目的は、あくまでも自分に向き合うことで、自分を変えることにある。

メンバーに「伝える」のではなく「伝わる」ようにする。否定的な感情を持ってしまうことは誰にでもある。しかし、そのときに「変わらなければならないのは自分だ」と思えるかどうか。

管理職は往々にして、自分とメンバー(特に若いメンバー)の「経験」と「意識」の差に鈍感。自分とメンバーとの間に「ギャップ」があることを認識せず、自分の感覚であやふやなコミュニケーションを取るのが悪い。

すべての業務の中で「1 on 1」の時間を最優先で確保するぐらいのつもりでいるべき。「1 on 1」は相手のための時間

話題にするのは、日常の話が7割重たい話が3割くらいのバランスが良い。軽い話の方が相手も話に乗りやすい。身近な事柄に対してどう思うかを伝えることで、自分の価値観などを理解してもらうきっかけにする。聞き出そうとするからメンバーは心を閉ざす。

「楽しい?」という質問はなかなか有効
「うまくいっている?」「順調」という聞き方をすると「進捗確認」されているように受け取られ、メンバーの口が重くなることがあるが、「楽しい?」と聞かれたら、警戒心を抱かれない可能性が高い。

管理職が「ああせえ、こうせえ」と「答え」を押し付けるのはよくない。大事なのは、メンバーが自分の力で「答え」に辿りつくこと。だからこそ、「答え」が自分のものになる。

管理職は質問する。「どうすればいいと思う?」と尋ねてみる。

管理職はヒントを与えることによって、メンバーを「気づき」の近くまで連れて行ってあげる工夫をするといい。最後の最後は、本人の力で「気づき」をつかみ取れるようにサポートする。

プッシュ型からプル型のアプローチへ
教える」というプッシュ型のアプローチから、「聞く」というプル型のアプローチに切り替えた。そこに「育成」のヒントがある。

「教える」ことだけが「指導」ではない。むしろ、そう考えることの弊害のほうが大きい。メンバーに耳を傾けることで、その「志向性」「適性」を探り当て、それを活かす方向でメンバーの背中を押す。

「指導」とはメンバー1人ひとりの「志向性」「適性」を把握して、それを最大限に発揮する機会を提供すること。彼らの自発性を尊重しながら、成功体験を得られるように全力でサポートすること。

リアルな職場は、周囲の同僚・先輩・上司などの仕事ぶりを、横目に見ることで得られる「学び」これは、メンバー全員が同じ空間で働いていることによってしか得ることができない、きわめて重要な「教育機能」だった。

戦略とは、「あれもこれもやろう」とするのではなく、「あれかこれか」を選択して、その1点に集中すること。意思決定とは「断つ」覚悟を決めること。

意思決定の精度にこだわりすぎると、かえって「よい意思決定」から遠ざかるというパラドックスがある。勝率7割で勝負する。

「自分とは異なる意見であっても、それを尊重する」「自分の意見が正しいと盲信しない」「みんなで力を合わせることでこそ、最適解が見つかる」といった認識を根底に持つ

オンライン会議 10のルール
1.マイクはミュート(話すときにON)
2.カメラはONにする
3.カメラレンズを見て、普段より2割増しの音量でゆっくり話す(Webカメラ、イヤホンマイク、照明を用意)
4.ゴールを明確にする
5.発言者はファシリテーターが指名する
6.発言が終わったら「以上です」と言う
7.発言時間に制限を設ける
8.質問はチャットに記入する
9.マルチタスクはしない
10.落ちたときの対処を決める

管理職は、「会議のファシリテーション」はメンバーに任せて、自分は「育成のファシリテーション」というポジションに立つことを意識する
ファシリテーションで大事なのは、メンバーの本音の意見を引き出すこと。

「課長2.0」のワークスタイル
人的ネットワークを広げ、新たな「知見」「経験」を積み上げることができれば、確実に「人材価値」を高めることにつながる。

セレンディピティ
偶然の出来事から思いがけない発見をする能力
当初の想定や目的とは異なる価値を発見する能力のことで、これによりイノベーションの多くは生み出されている。

念い」でつながることができれば、そこから共鳴する「念い」をもつ人々へ、どんどん人的ネットワークは広がっていく

アカデミアのエピソードも書かれていて懐かしく感じられました。確かにあったなぁと思い出して「念い」が蘇ります。

課長だけでなく、リーダーや部長、経営者でも参考になるリーダーシップや「念い」について書かれた、とても参考になる1冊です。リモートワークになったため、工夫しなければならないトピックスなども書かれていて、実務の参考になるおすすめの1冊です。



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