「金・金・愛」#2

第6話:実家と自分の変化


 実家に帰ると時の流れを感じた。

 街や電車で歩くのが遅いと感じるご老人の方々よりの家の祖父の方が歩くスピードが遅かった。

壁や何かを掴まらないと歩くことができない。トイレに行く時も誰かと一緒でなければ危険なこと。枯れるように人生の終わりを迎えようとしていた。


 太っていた父親が健康のために痩せていた事。
肥満で中性コレステロール値を健康診断で毎回注意されていた父親が痩せていた。少し安心できたが、父の背中が少しだけ小さく見えた。それが物理的なのか、何なのかは定かではないが、今の自分には小さく見えた。


 大きく変わっていたのは家族とのお金の感覚だった。

社会人を経験して、仕事を辞め、アルバイト生活になった自分は、少しでも時間があればお金を生み出したいと考えていた。

そして、その生み出せるお金の額がその人の才能や努力の正当な評価だと思っていた。

 親孝行もしたいし、自分で暮らすお金も、遊ぶお金も、自分でどうにかしたいし、しなければいけないと思っていた。


 貪欲にお金やこれからのことを考える自分では、実家ののんびりな雰囲気にお金に対して温度差を感じた。

自分を育ててくれた人たちがこんな感じだったのなら、自分が変わってしまったのかと思ったが、これに関しては変わることが、今は生きていく上で必要だった。

お金に関して昔からガツガツしている人が嫌いだった。

もう少し余裕持てよと考えていたが、余裕を持つことよりも生きることの方が大切という気持ちが今ではわかる。

 スーパーなどで半額シールを店員さんが貼ろうとしていると、主婦の方々がそれをこぞって待っている。
そして、「これは半額にならないの?」とすごい勢いで言っていた。

『少し落ち着けよ』と思っていたが、気持ちはわかる。

 比較的お金がない地域の方が犯罪件数は多いし、30代くらいの男性がモテるようになるのも、お金を持つと余裕が出てくるのも関係あるような気がする。



生きていく上でお金は確実に必要だ。
大切な人を守るためにも。


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