自分を大切にするということ

願望実現やメンタルヘルスを語るときに、よく「自分を大切にする」という表現が使われます。自分を大切にすることで、心や気力が回復して、自然とエネルギーが湧いてきます。そのため、願望実現や心を元気にするためには、自分を大切にすることがとても重要です。

しかし、「自分を大切にする」とは、抽象度の高い言葉なので、具体的にどうしたら良いかというのは分かりにくい気がします。そこで、「自分を大切にする」とは、具体的にどんなものなのかを考えていきたいと思います。

「自分を大切にする」ということがどんなことを指すかについて記す前に、まずは「エゴの声」と「自分の心の声」について説明しなければなりませんね。

「エゴの声」とは、経験や常識などから導かれた自分の思考の声です。エゴの声は、自分が傷つかないように自分に警告を出すという保守的役割を担っています。具体的には「早くしないと時間に間に合わない」「具合が悪くても頑張って仕事に行かないとクビになってしまう」「節約しないとお金がなくなる」など、不安を煽ってくるような声がエゴの声に当てはまります。エゴの声は、社会生活の中で周りの人々に刷り込まれて生まれた声であり、自分の声ではありません。つまり、「エゴの声＝他人の声」と言えます。

一方で、「自分の心の声」とは、欲求や感情を表す声です。「体がだるいから休みたい」「今日はお寿司が食べたい」「このゲームはすごく楽しい」など、損得は関係なしに心の底から湧いてくる声がこれに当てはまります。エゴの声とは反対に、「自分の心の声＝自分の声」と言えます。

自分を大切にするということは、他人よりも自分を優先してあげるということです。つまり、エゴの声よりも自分の心の声を大切にしてあげることが、自分を大切にするということです。自分を大切にするために、まずは自分の心の声を聞いてあげましょう。それはどんな些細なことでも大丈夫です。今のあなたはどんなことを感じていますか？

「体がだるいから仕事を休みたい」
「今日はお寿司が食べたい」
「このゲームはすごく楽しいからずっとやっていたい」

こんなふうに、自分から湧き出る欲求や感情は、人それぞれ無数にあるはずです。それと同時にエゴの声も湧き出てくるかもしれませんね。例えば、「仕事を休んだら評価が下がるよ」「お寿司なんて贅沢なものを買ったらお金なくなっちゃうよ」「ゲームよりもやらなきゃいけないことがたくさんあるでしょ」などと、自分を責め立ててくるでしょう。さらに、エゴの声は自分の心の声よりも大音量です。そのため、多くの人は恐れをなして、それらのエゴの声に屈してしまいます。

しかし、エゴの声はただ音量が大きいだけで、実際にエゴの声の言う通りの現実になることはほとんどありません。エゴの声はよく嘘をつきます。私たちは、ありもしないエゴの嘘に踊らされているだけなのです。そのため、エゴの声は聴かずに、自分の心の声だけを聞いてみましょう。自分の心の声を大切にし続けることで、自分に信頼感や安心感を感じられるようになり、やがてエゴの声は小さくなっていきます。そうなれば、自分を大切にできている証拠です。

そうは言っても、最初から自分の心の声だけを聞くのは怖いかもしれませんね。初めから自分の心の声だけを聴けなくても大丈夫です。少しずつ自分の心の声を聞く練習をしてみてください。最初はエゴの声と自分の心の声との折衷案を取り入れてみても良いですね。

例えば、「眠くてもっと寝ていたいけど、仕事があるから起きなければならない」と思った時に、「眠くてもっと寝ていたい」という自分の心の声を少しだけ採用して、10分遅く起きてみるという行動を取ってみても良いかもしれません。そして、だんだんと自分の声を聞けるようになったら、その日は仕事を休んでしまっても良いのです。

また、「自分の心の声が何なのかよく分からない」「自分の心の声は分かるけど、どうしても怖くて行動できない」という人もいるかもしれませんね。それでも大丈夫です。そのような人はまず、深く呼吸をすることを意識してみてください。10秒かけて息を吐き、5秒かけて深く息を吸うイメージで、呼吸に集中してみましょう。秒数は目安ですので、正確に数えなくても大丈夫です。心が落ち着くまで、ひたすら深く呼吸しましょう。

自分の心の声が分からなかったり、怖くて自分の心の声の通りに動けないという人は、心がとてもざわざわしているのだと思います。呼吸をすることで、心のざわざわが薄れていき、やがて少しずつ自分の心の声を聞き入れることができるはずです。深い呼吸を意識し、その後で自分の心の声を聞いてみてください。