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職場のモチベーション向上メソッド~ ①職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)を設定する

こんにちは、松幸です。
3000名の工場を運営し、従業員に「やる気をもって、楽しく仕事をしてもらう」ためにどうすれば良いのか、日々悩み・考えて・実験しながら、自分なりの哲学・考え方・やり方を構築してきました。

職場のリーダーの皆さんは、

「メンバーのモチベーションが低い」
「モチベーションを上げるために何をすればよいかわからない」
「目標設定 や アクションプランはしっかり作っているはずなのに・・」

と悩まれている方が多いと思います。

そんなリーダーに向けての私が実践してきた
 「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を設定する
ことで、その悩みの一部が解決でき、どれだけ有効なのかを解説します。

 かつての私は、工場で「5S」の大切さを説明し、「全員参加でヤルゾー!」と叫んでいましたが、やる気を維持するのが非常に難しかったことを覚えています。
 一方、「職場の目的(Mission) と将来の姿(Vision)を設定」した後は、5Sの必要性がより鮮明に理解してもらえるようになり、モチベーションを維持することができるようになりました。

ここでは、「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)を設定」の
  a) 重要性の理解
  b) 作成時の要点
    をお伝えしたいと思います。

 リーダーの皆さんが、職場のメンバーのモチベーションを向上させ、活気ある職場を作り上げる為の参考になれば、嬉しいかぎりです。

1. ナゼか? 職場のモチベーションが低い

職場リーダーを初めて任された方も、上位者の方針や目標に対して、
 ・キッチリと職場方針を作って、
 ・誰が何をやるのかを細かく計画に落とし込むこと
が、自然と出来ているのではないかと思います。
 そのような、「目標設定」、「アクションプランの作成」、「方針展開」が出来るからこそ、職場のリーダーに任命されていることでしょう。

 ただ、それだけやれば、職場のメンバーが目標に向かって業務を円滑に回してくれるとは限りません。

なぜならメンバーの仕事における価値観は、人それぞれです。

「この業務をやっても自分にとって何のメリットもない」
「どうせ達成できないし、褒められもしない」
「ただ単なる歯車にしか感じない」
「昇給や昇格にもつながらない」
「仕事よりも趣味や副業が大事」
結局、
「与えられた任務だけ最低限こなせばいい」

と職場のメンバーが考えていたとすると、やはりその職場には「何か」が欠けていると思われます。

そんな時には、原点に立ち戻って、

「私たちは、どんなことをやる職場なのか?(Mission)」
「私たちは、3年後にどの様な職場になっていたいのか?(Vision)」

を職場のみんなで話し合い、明確化してもらいたいです

2.「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を示す

 比較的大きな会社の場合は、「経営理念」が既に存在している事でしょう。ただ、経営理念を掲げていても、職場のメンバーには、自分の業務との繋がりを考えた時に、距離が遠すぎてピンと来ない人が多いと思います。

「経営理念と自分の業務」の繋がりを明確化するのが
「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を設定すること です

 誰でも、「目標」や「目標をクリアするための計画」があったとしても、「目的」や「将来の姿」が明確になっていないと、やる気が出ませんよね。

例えば、受験勉強をしていた時のことを思い出してください。

目標 :〇〇大学に合格!
計画 :4-6月 模試△△点 1日6時間(苦手な英語を克服)
    7-9月 模試△△点 1日8時間(特異な数学を強化)
   10-12月 模試△△点 1日8時間(過去問中心に問題を解きまくる)

このように、明確な「目標」と「計画」を作ってきたのではないかと思います。しかし、やる気を持続することは難しかったのではないでしょうか?

これに対して、目的(Mission)と将来の姿(Vision)を追加するとどうでしょう?

目的  :〇〇大学に入学し、✖✖の研究に励み、世の中を良くする!
将来の姿:✖✖研究が成し遂げられた時には、世の中が大きく変わる。
     自分の力で世界を変える変革を成し、稼ぐんだ!

「目的」と「将来の姿」があると、全然違います。俄然やる気が出てきますし、ワクワクしますよね。

職場も同じです。
私の場合、工場で働いていますので、以下のような目標を掲げていました。

目標:5Sの行きとどいた職場を実現
計画:毎日欠かさず整理整頓清掃をやり続ける
  (誰が、いつ、どこを整理整頓清掃するのか、細かく決まりを作成)

この目標には、魅力が感じられませんね。
逆に、会社に行きたくなくなるかもしれませんね。
自分で書いていてもワクワク感が全くありません。

ここに命を吹き込むのが「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」です。例えば、

目的 :モノ作りを強化することにより、会社のブランド力を向上させる!
    ①品質の良いブランドを作り上げる
    ②製品のコストダウンを実現
    ③新規のオーダーを獲得して売上高の向上に寄与する
将来の姿:5Sが行き届いた工場にすることにより、売上が向上し、
  生産も拡大。自分たちの給料も増え、毎日が楽しく仕事ができている!

この「目的」を実現するための「目標」であれば、希望が持てて、
ワクワク感が出てきますね。
この例から分かるように、
「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を示す重要性
理解していただけたと思います。

3. 効果的な「職場の 目的(Mission)と将来の姿(Vision)」の創り方

a) 多くの人を巻き込む

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 まずは、自分の中で「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)を作る」決心が必要です。なぜなら、多くの人を巻き込んで作ることにより、大きな効果が得られると考えているからです。

多くのメンバーとは、具体的に以下の通りです。

【多くのメンバーに参加してもらう!】
① 職場のメンバー全員
② 1階層上の上司(できれば2階層上の上司も巻込めるとBest)
③ 可能なら自職場だけでなく、上司が受け持つ職場も一緒に活動する

巻き込む人が多ければ多いほど、効果が上がります。
私の場合は、自分が管轄する工場全体で展開しましたが、インボルブする人が多いと、一つ一つの活動の理解が進み、結果も出やすい環境になります。
本部長/部長/課長/係長で職場がある場合、「部」のレベルで展開が出来れば、だいたい4人の係長の下でこの展開が出来ると、理想だと考えます

b) お互いの意見を出し合う

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 人が集まったら、次にやることが意見だしです。当然色々な意見が出ると思いますが、それをどのように出し合うのかは、人それぞれだと思います。 
 ・ホワイトボードに書いて行ったり、
 ・ポストイットで意見を出して、似た意見をまとめたり

ここでの注意点やポイントは、以下の通りです。

【意見出しのポイント】
・全員に意見を出してもらう
・「自分のこと」と思ってもらえるように言葉を選ぶ

c) 経営理念と職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)の繋がりを示す
 そして最も大切なことは、我々の職場が存在する目的(Mission)と数年後の将来にはどの様な姿になっていたいのか(Vision)を、経営理念とのつながりをもってまとめて行くことです。
 冒頭でも話をしましたが、「経営理念」と「自分の業務」の繋がりを見つけ出すことが遠すぎで出来ないのではないかと思います。
 それはそのはずです。なぜなら、示していることが広いからです。

「経営理念」は、普遍的な経営の目的や経営の基本としている

これに対して、

【職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)を示すポイント】
「経営理念」を自分の職場において実現するために
どのように実践していくのかを定義・規定していくもの

と考えます。
よって、「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を職場単位で考えてみないと、自分たちの業務が経営理念とどのように繋がり、関係性を持っているのかが、見えづらいのです。なので、何のために自分たちが仕事をし、どのように会社や世の中に役に立っているのか、その繋がりを見えるようにすることが重要です。

d) 職場における優先順位を明確化する
 現在、働き方が大きく変化し、雇用形態だけを見ても、正社員・契約社員・派遣社員・再雇用社員などと多様化しています。
 また、各個人における従事している仕事の位置づけも様々であると思います。具体的に言うと、今の仕事で功績を上げたいと考えている人、生活のための給料をもらうことを目的に仕事をしている人、本業の他に副業をやっている人など様々です。

 仕事に対する基本的な考え方の違う人が集まっている職場ですから、「職場として何を重視するのか?」「どうしたいのか」を言葉に表してハッキリさせ、職場という空間における「基準」を作ることが本当に重要な時代になってきていると考えています。

4. 「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を創る5つのメリット

 上記のような方法で「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を創るには、それなりの時間がかかるものです。
 しかし、時間はかかるけれども、時間をかけただけのメリットは確実にあります。例えば、以下のようなメリットが挙げられます。

メリット① 自分の業務の大切さが理解でき、経営の繋がりが分かる
メリット② 方針・目標・活動の理解が進み、成果が出しやすくなる
メリット③ 職場への帰属意識や一体感が生まれる
メリット④ 結果、メンバーのモチベーションの維持・向上が図られる

 このメリットは、私の実体験からも言えますが、心理学的な観点からも説明ができるので、その観点から説明したいと思います。

 多くの皆さんは、「影響力の武器(ロバート・B・チャルディーニ (著), 社会行動研究会 (翻訳)」を読まれている方が多いと思いますが、そこで解説されている「一貫性の心理」が、この活動を行うことにより働きます。

「コミットメントと一貫性」の心理=自分で決めたことは変えたくない
  自分の心と行動の一貫性を保とうとする心理であり、
  自分の選択が正しいと思う心理を一貫性と呼び、
  自分が宣誓(口に出したこと)を貫こうと思う心理。
  これらは、自分の「心」と「行動」の一貫性を持とうとする

これに関しては、皆さんも納得していただけるのではないかと思います。 

更なるメリットとしては、皆さんは既に職場のリーダーになられていると思いますが、今後もっと大きな組織を任された時には、職場Visionの作成方法と経営Visionの作成方法は、ほぼ同じプロセスを経ます。つまり

メリット⑤ 大きな組織のリーダーや経営者になった時にも役立つ

 小さな組織を持っている時に、是非とも「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を作成し、VisionとMission が在る時と無い時の差を体感してみて欲しいと思います。

5. まとめ

 今回は、皆さんの職場が、何故だかわからないけどモチベーションが上がらない状態になっているとしらた、「目標」や「計画」ばかりに気がとられて、「目的」や「将来の姿」が示されていないのではないか?という事を解説してきました。

「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を明確に示すことにより、
「目標」や「実行計画」の意味がはっきりするために、
やる気や活気が職場に出てきます。

 「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を作るためのポイントも話してきました。
 この作業を一人で進めることは、非常に大変です。
よって、一階層 or 二階層上の上司と共同で、Mission/Visionを作成されることをお勧めします。

【職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)を作るポイント】
 a) 多くの人を巻き込む
 b) お互いの意見を出し合う
 c) 経営理念と職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)の繋がりを示す
 d) 職場における優先順位を明確化する

「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を作るメリットも5つ挙げました

メリット① 自分の業務の大切さが理解でき、経営の繋がりが分かる
メリット② 方針・目標・活動の理解が進み、成果が出しやすくなる
メリット③ 職場への帰属意識や一体感が生まれる
メリット④ 結果、メンバーのモチベーションの維持・向上が図られる
メリット⑤ 大きな組織のリーダーや経営者になった時にも役立つ

「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」を作成し、明確化する事により、「何のために仕事をするのか?」「自分にとってどれだけ有益なのか?」の理解が進むことにより、職場全員が幸せになります。
不幸になる人は誰もいません。
これほど素晴らしい施策はありませんので、是非とも職場を上げて、
「職場の目的(Mission)と将来の姿(Vision)」作りに挑戦して下さい。
応援しています!

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