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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-127【衛生】論点:油脂の酸化 / 試験法と化学的指標

第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問127

一般問題(薬学理論問題)【衛生】


問108-127
Q. 
次の反応式は、油脂の化学的指標に関する試験法の化学反応の例を示したものである。不飽和脂肪酸を含む油脂において、自動酸化の進行に伴い測定値が減少し続ける試験法の反応式はどれか。1つ選べ。


選択肢|

第108回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問127

こんにちは!薬学生の皆さん。
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matsunoya_note から、薬剤師国家試験の論点解説をお届けします。
苦手意識がある人も、この機会に、薬学理論問題【衛生】を一緒に完全攻略しよう!
今回は、第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問125、論点:油脂の酸化 / 試験法と化学的指標を徹底解説します。

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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-125【衛生】論点:油脂の酸化 / 試験法と化学的指標

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滝沢 幸穂  Yukiho Takizawa, PhD

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設問へのアプローチ|


第108回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問127

第108回薬剤師国家試験の問127(問108-127)では、油脂の酸化 / 試験法と化学的指標に関する知識を問われました。


まず基本的な知識に関して復習しておきましょう。


■■Grok 2 mini (beta)


油脂について

油脂(脂質)は、生物学的に重要な分子群です:


化学構造:

  • エステル結合: 油脂は主に脂肪酸とグリセロール(トリヒドロキシプロパノール)から成るエステルです。脂肪酸がグリセロールのヒドロキシル基に結合して、トリグリセリド(トリアシルグリセロール)を形成します。

  • 脂肪酸の種類: 脂肪酸は飽和脂肪酸(二重結合が無い)と不飽和脂肪酸(一つ以上の二重結合を持つ)に分けられます。脂肪酸の長さや二重結合の位置・数により、油脂の物理的特性(融点など)が決定されます。


物理的特性:

  • 溶解性: 油脂は水に溶けにくく、疎水性を示します。これは油脂の長鎖炭化水素部分が水分子との相互作用を避けるためです。

  • 融点: 飽和脂肪酸は直鎖構造で高融点、不飽和脂肪酸は二重結合による曲がりがあり低融点です。例えば、バター(飽和脂肪酸が多い)は常温で固体、オリーブオイル(不飽和脂肪酸が多い)は液体です。


生物学的役割:

  • エネルギー貯蔵: 油脂は生物のエネルギー貯蔵庫として機能します。1グラムあたりのエネルギー量は炭水化物やたんぱく質の約2倍です。

  • 細胞膜の構成成分: リン脂質やコレステロールなどの油脂は、細胞膜の主要な構成成分であり、膜の流動性と安定性を提供します。

  • 信号伝達: 特定の脂肪酸(例:アラキドン酸)は、プロスタグランジンやロイコトリエンなどの信号分子の前駆体として重要です。


化学的特性:

  • 酸化: 不飽和脂肪酸は二重結合が存在するため、酸化されやすく、ラジカル反応を引き起こします。これは食品の劣化や健康への影響に関連します。

  • 水素化: 油脂は水素化反応により、二重結合が飽和され、固体化することができます。これはマーガリンの製造に利用されます。


分類:

  • 単純脂質: グリセロールと脂肪酸からなるトリグリセリド。

  • 複合脂質: リン脂質、グリコリピド、ステロールなど、他の成分(リン酸、糖など)と結合したもの。

  • 派生脂質: 脂肪酸から派生するもの(プロスタグランジンなど)。


まとめ:

油脂はその化学構造、物理的特性、生物学的役割、化学的特性から、多様な機能を持つ重要な生物分子群です。これらの特性は、油脂が食品、医薬品、化粧品、バイオテクノロジーなど、さまざまな分野で利用される理由を科学的に裏付けています。


油脂の化学構造と反応


化学構造式:


トリグリセリド (トリアシルグリセロール):
トリグリセリドは、グリセロール(1,2,3-プロパントリオール)と3つの脂肪酸から構成されます。
一般的な構造式は以下の通りです:


CH2-O-C-R1
|
CH-O-C-R2
|
CH2-O-C-R3


ここで、R1, R2, R3は脂肪酸のアルキル鎖を表します。脂肪酸は飽和脂肪酸(例:パルミチン酸、ステアリン酸)または不飽和脂肪酸(例:オレイン酸、リノール酸)である可能性があります。


化学反応式:


エステル化反応:
油脂の形成は、グリセロールと脂肪酸のエステル化反応によります。以下はその反応式です:


C3H5(OH)3 + 3 R-COOH → C3H5(OCOR)3 + 3 H2O


ここで、R-COOHは脂肪酸を、C3H5(OH)3はグリセロールを表します。


加水分解(水和):

油脂は水と反応して元の脂肪酸とグリセロールに戻ることができます。この反応は以下のように表されます:


C3H5(OCOR)3 + 3 H2O → C3H5(OH)3 + 3 R-COOH


酸化反応:

不飽和脂肪酸の二重結合は酸化されやすく、過酸化物を生成します。例えば、リノール酸の酸化反応は以下のようになります:


CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7COOH + O2 → 過酸化物生成


具体的な過酸化物生成の反応は複雑で、過酸化脂質やアルデヒド、ケトンなどが生成されます。


水素化反応:

不飽和脂肪酸の二重結合を飽和させる反応。
例: オレイン酸の水素化


CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH + H2 → CH3(CH2)7CH2CH2(CH2)7COOH


ここで、左側はオレイン酸、右側はステアリン酸です。


まとめ:

油脂の化学構造はエステル結合を基盤にしており、その反応性は主に脂肪酸の性質(飽和度、長さ)に依存します。エステル化、加水分解、酸化、水素化などの反応は、油脂の物理的特性や食品科学、工業的利用において重要な役割を果たします。


油脂の性状を表す主要な用語
概要:

  • 化学的性状:

    • ヨウ素価: 不飽和脂肪酸の含量を示し、酸化のしやすさを表す指標。

    • けん化価: 油脂1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムの量を示し、脂肪酸の鎖長や油脂の分子量と関連がある。

    • 酸価: 油脂中の遊離脂肪酸の量を示し、油脂の鮮度や劣化度を評価する。

    • 過酸化物価: 油脂の自動酸化により生成する過酸化物の量を示し、酸化に対する安定性を評価する。

  • 物理的性状:

    • 比重: 油脂の密度を示し、温度によって変化する。

    • 比熱: 油脂が熱を吸収する能力を示し、加熱時の温度変化に影響する。

    • 屈折率: 油脂の屈折の度合いを示し、不飽和度と関連がある。

    • 色度: 油脂の色を示し、加熱や光による変化を反映する。

    • 粘度: 油脂の流動性を示し、使用による品質変化を評価する。


Ref. 太田 昌男, 油脂の用語と法律, オレオサイエンス, 2001, 1 巻, 4 号, p. 413-419
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/1/4/1_413/_article/-char/ja

結論から言ってしまうと、今回の問題は、論点が正論とは違う。


ヨウ素価は「変数」ではないです。
経時的な数値の変動現象を考察するための科学的な指標ではないという意味です。

  • ヨウ素価の定義: 特数
    油脂の性状を示す重要な特数
    油脂を構成する脂肪酸の不飽和度を示す。

  • ヨウ素価の高低と酸化:
    ヨウ素価が高いと不飽和脂肪酸の含量が多く、酸化を受けやすい。
    ヨウ素価が低いと飽和脂肪酸の含量が多く、酸化に対して安定性が高い。

今回の設問は、本来のところ、自動酸化を評価するポジティブデータである変数(酸価、過酸化物価)を正として選択するべき問題設計に対して、特数であるヨウ素価というネガティブデータ🤮🥹😱を問う問題になってしまっている。

  • さらに、問題文に前提条件が不足しすぎています。
    自動酸化の進行に伴い測定値が減少し続ける試験法の反応式はどれか。」

  • 減少し続けるって「いつまで」のことですか?期間を入れましょう。

  • もしも科学的根拠があれば、グラフを入れましょう。

  • あればの話ですけれど。

  • その油脂の特性も入れたほうがいい。
    (ドッグフード🐶🍽のことを言っていますか❓)

  • 不飽和脂肪酸の二重結合の量が永遠に減少し続けるわけですか?
    「サラダ油を室温放置したら、自動酸化によって、1か月後にショートニングが出来上がった」とか?
    本当にあった話かどうか。。

  • などなど…

油脂の品質を論点としたコアカリキュラムにおける知識の有無が、薬剤師国歌資格に相応しいかどうかを検出する問題の検出力を意図的に落としていると推測されても仕方のない問題設計です。

検出力を極限まで落とせば、受験者は、コアカリキュラムにおける知識の有無を問わず国家資格者になることができる。

アナーキーですね。
ヤクの運び屋を増員せしめようと意図していると捉えられても仕方がない。

本来は、酸価(油脂中の遊離脂肪酸の量を示し、油脂の鮮度や劣化度を評価)または、過酸化物価(油脂の自動酸化により生成する過酸化物の量を示し、酸化に対する安定性を評価)を正解の選択肢とするべき問題です。

実際に論文に掲載されているグラフを見てみるのが一番早い。

ゆとりのある人は、グラフに関する考察を論文から直接読み取ってみるのも有益です。
その指標から何が考察できるのか、です。

Ref. 佐野 智恵, 山賀 あゆみ, 松本 力, 櫻井 英敏, 宮原 晃義, 市販ドッグフードの脂質に対するα-トコフェロールの抗酸化効果, ペット栄養学会誌, 2007, 10 巻, 1 号, p. 8-14
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/10/1/10_8/_article/-char/ja

現実を見る姿勢って大事だなーとつくづく思います。


Ref. 宮原 晃義, 深沢 雄志, 井之輪 裕子, 日高 絢子, 植村 寿一, 松本 力, 櫻井 英敏, 市販ドッグフードの酸化防止剤測定と開封後の脂質変化, ペット栄養学会誌, 2004, 7 巻, 3 号, p. 109-114
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/7/3/7_109/_article/-char/ja/

「自動酸化の進行に伴い
 測定値が減少し続ける
 試験法の反応式は
 どれか。」

🤮🤔🥹😎☔🌧️🌀🪼


でも、ここで焦ってはいけません。

まず、論点整理から始めてみよう。


■■GPT4o


総合的な論点


  1. 油脂の自動酸化:
    油脂の自動酸化は、不飽和脂肪酸が酸素と反応して過酸化物やアルデヒド類などの酸化生成物を生じるプロセスである。これにより油脂の品質が低下し、酸化安定性の指標が変化する。

  2. 油脂の化学的指標:
    油脂の酸化や品質劣化を評価するために、過酸化物価、酸価、ヨウ素価、カルボニル価、チオバルビツール酸反応物(TBARS)などの化学的指標が使用される。

  3. 測定値の変化:
    油脂が酸化すると、過酸化物価やカルボニル価、酸価は一般的に増加する。一方、ヨウ素価は酸化が進行するにつれて減少する。これは、二重結合が酸化されることでヨウ素の付加量が減少するためである。

  4. 試験法の目的:
    これらの化学指標を測定することで、油脂の酸化状態や劣化度合いを定量的に評価し、品質管理や保存期間の評価に役立てる。


各選択肢の論点


選択肢1

選択肢1
  • けん化反応:
    油脂が強アルカリと反応してグリセロールと脂肪酸塩(石鹸)を生成する反応である。
    これは油脂の加水分解反応であり、酸価や過酸化物価の測定には直接関与しない。

  • 油脂の品質評価:
    けん化価は、油脂中の全脂肪酸量を示す指標であるが、酸化状態や劣化の評価には直接的には使用されない。

選択肢2

選択肢2
  • 過酸化物価の測定:
    油脂の酸化初期に生成される過酸化物を測定する試験法である。過酸化物価は油脂の酸化の進行を評価するための初期段階の指標として広く使用される。

  • 酸化の進行:
    自動酸化が進行すると過酸化物が増加するが、さらに酸化が進むと分解して減少することがあるため、測定値が減少する可能性もある。

選択肢3

選択肢3
  • ヨウ素価試験:
    ヨウ素価は、不飽和脂肪酸中の二重結合の量を示す指標である。
    酸化により二重結合が減少すると、ヨウ素価も減少するため、酸化の進行度を評価する際に使用される。

  • 酸化の進行: 油脂の酸化が進行するにつれて、二重結合が酸化されて減少するため、ヨウ素価が低下する。このため、酸化の進行に伴い測定値が減少し続ける。

選択肢4

選択肢4
  • アルデヒド検出反応: 選択肢4の反応は、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)とアルデヒドの反応であり、アルデヒドを検出するための反応である。これは油脂試験法の一部として使用されることもあるが、主に酸化生成物の分析に関連する。

  • 酸化生成物の評価: 油脂の酸化によりアルデヒドが生成されるため、DNPH試験を通じて酸化度の評価が可能である。ただし、この試験は酸化生成物の定性的な評価に重点がある。

選択肢5

選択肢5
  • TBARS試験: 選択肢5の反応は、脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒド(MDA)とチオバルビツール酸(TBA)の反応を示している。TBARS試験は、酸化ストレスの評価に広く使用される。

  • 脂質過酸化の評価: この試験法では、MDAの生成量を測定することで酸化の進行度を評価するが、他の酸化生成物の干渉があるため、特異性には注意が必要である。


アプローチ方法

  1. 酸化度の指標: 油脂の酸化進行により、ヨウ素価、過酸化物価、カルボニル価などが変化することを理解し、試験法がどの指標を評価しているのかを確認する。

  2. 測定値の変化: 測定値が減少する要因として、二重結合の減少(ヨウ素価)や過酸化物の分解(過酸化物価)などの反応を考慮する。

  3. 酸化の段階: 初期酸化段階と進行段階での指標の変化を把握し、適切な試験法を選択する。

これらの論点に基づいて、問題に対する最適な選択肢を見極めることが可能です。


はじめましょう。
薬剤師国家試験の薬学理論問題【衛生】から油脂の酸化 / 試験法と化学的指標を論点とした問題です。


なお、以下の解説は、著者(Yukiho Takizawa, PhD)がプロンプトを作成して、その対話に応答する形でGPT4o & Copilot または、Gemini 1.5 Pro が出力した文章であって、著者がすべての出力を校閲しています。

GPT4oの製造元またはGemini 1.5 Proの製造元がはっきりと宣言しているように、生成AIは、その自然言語能力および取得している情報の現在の限界やプラットフォーム上のインターフェースのレイト制限などに起因して、間違った文章を作成してしまう場合があります。
疑問点に関しては、必要に応じて、ご自身でご確認をするようにしてください。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問108-127【衛生】論点:油脂の酸化 / 試験法と化学的指標|matsunoya (note.com)

Here we go.


第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問127

一般問題(薬学理論問題)【衛生】


問108-127
Q. 
次の反応式は、油脂の化学的指標に関する試験法の化学反応の例を示したものである。不飽和脂肪酸を含む油脂において、自動酸化の進行に伴い測定値が減少し続ける試験法の反応式はどれか。1つ選べ。


選択肢|

第108回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問127

■■GPT4o


衛生|問 108-127


■論点|油脂の酸化 / 試験法と化学的指標


この問題の論点は、不飽和脂肪酸を含む油脂において、自動酸化の進行に伴い測定値が減少する試験法を特定することです。


■解説1|
油脂の酸化が進行すると、脂肪酸中の二重結合(不飽和結合)が酸化され、ヨウ素が付加できる二重結合の数が減少します。これに伴い、ヨウ素価は低下します。ヨウ素価は、不飽和脂肪酸の量を測定する試験法であり、酸化が進むと不飽和度が低下するため、測定値が減少することになります。
図の反応式3がこれに該当します。

反応式3

■解説2|
ヨウ素価試験は、油脂中の不飽和脂肪酸の量を示す指標で、油脂にヨウ素を反応させてその付加量を測定します。自動酸化が進行することで二重結合が減少し、これによりヨウ素価が低下します。したがって、酸化の進行度合いに応じて、ヨウ素価の測定値は減少します。


■結論|
図の反応式3が正答です。
不飽和脂肪酸が酸化されることでヨウ素価は低下し、酸化の進行に伴い測定値が減少します。

※実際の測定値のグラフは、こんな感じになりますが…

Ref. 佐野 智恵, 山賀 あゆみ, 松本 力, 櫻井 英敏, 宮原 晃義, 市販ドッグフードの脂質に対するα-トコフェロールの抗酸化効果, ペット栄養学会誌, 2007, 10 巻, 1 号, p. 8-14

Ref. 宮原 晃義, 深沢 雄志, 井之輪 裕子, 日高 絢子, 植村 寿一, 松本 力, 櫻井 英敏, 市販ドッグフードの酸化防止剤測定と開封後の脂質変化, ペット栄養学会誌, 2004, 7 巻, 3 号, p. 109-114

■補足|

反応式2

反応式2(過酸化物価試験)は、過酸化物の生成量を測定します。過酸化物価は酸化初期には増加し、一定期間を経て減少することがありますが、問題文にある「自動酸化の進行に伴い減少し続ける」という条件には適合しません。

反応式1

反応式1(けん化価試験)は、油脂中の全脂肪酸量を示す指標ですが、酸化状態や劣化の評価には直接的には使用されません。
反応式4と5については、後述のLectureで詳細に解説します。


■Lecture


論点解説 1


選択肢1の反応

反応式1

「けん化価試験」に関連するもので、油脂の加水分解反応によって生じる脂肪酸とグリセロールの生成、およびその脂肪酸の中和を示しています。
けん化価試験は、油脂がどれだけ容易にけん化されるか、すなわちアルカリ(通常は水酸化カリウム、KOH)と反応して脂肪酸塩(石鹸)とグリセリンに分解されるかを測定する試験です。

選択肢1の反応概要

この反応では、油脂(トリグリセリド)が水酸化カリウム (KOH) によって加水分解され、脂肪酸塩(石鹸)とグリセロールが生成されます。この反応は「けん化反応」と呼ばれ、石鹸の製造や油脂の性質評価において非常に重要です。

科学的根拠と反応メカニズム

反応式:
C3H5(OOCR)3 + 3KOH → C3H5(OH)3 + 3RCOOK

反応機構:

  1. トリグリセリドの構造: 油脂は一般的にトリグリセリド(グリセロールと脂肪酸のエステル)として存在します。トリグリセリドは、3つの脂肪酸が1つのグリセロールにエステル結合で結びついた構造を持っています。

  2. 加水分解反応: トリグリセリドが水酸化カリウム(KOH)により加水分解されると、エステル結合が切断されます。この反応によって、脂肪酸塩(RCOOK、石鹸の主成分)とグリセロールが生成されます。

  3. 脂肪酸塩の生成: 反応により生成された脂肪酸塩(RCOOK)は、アルカリ性条件下でのけん化反応の生成物であり、石鹸として利用されます。

実際の応用と意義

けん化価試験は、油脂の物理的および化学的特性を評価するために広く使用されています。けん化価(Saponification Value、SV)は、油脂1gをけん化するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数を示す数値であり、油脂の分子量や脂肪酸組成に関する情報を提供します。

  1. 食品: けん化価試験は、食用油の特性評価に利用されます。例えば、けん化価が高い油脂は、短鎖脂肪酸や低分子量脂肪酸を多く含むことを示します。

  2. 化粧品・医薬品: けん化価は、化粧品や医薬品における油脂成分の品質管理においても重要です。例えば、石鹸やクリームなど、油脂成分を含む製品のけん化度を測定することで、製品の安定性や使用感を評価できます。

  3. 石鹸製造: 石鹸製造において、けん化価は油脂のけん化反応を最適化するために使用されます。適切なけん化価を持つ油脂を選ぶことで、石鹸の品質を向上させることが可能です。

補足説明

  • けん化価と油脂の分子量の関係: けん化価が高い油脂は、通常、分子量が小さく、短鎖脂肪酸を多く含むことが示唆されます。一方、けん化価が低い油脂は、長鎖脂肪酸や分子量の大きな脂肪酸を含むことが多いです。

  • けん化価と酸価の関係: けん化価は、油脂の全体的な脂肪酸含量を示す一方で、酸価は油脂中の遊離脂肪酸の含量を示します。これらの試験は、油脂の酸化状態や品質を総合的に評価するために併用されることが多いです。

結論

選択肢1の反応は、けん化価試験に基づくものであり、油脂の加水分解反応を通じて脂肪酸塩(石鹸)とグリセロールを生成する反応です。この試験法は、油脂の分子量や脂肪酸組成、さらには製品の特性評価において重要な役割を果たしています。けん化価試験は、食品、化粧品、医薬品などの油脂を含む製品の品質管理や製造プロセスにおいて、幅広く応用されています。


論点解説 2


選択肢2の反応

反応式2

「過酸化物価試験」に関連するもので、油脂が酸化される際に生成される過酸化物の測定に関するものです。この試験法は、油脂の酸化による劣化度を評価するために使用されます。酸化が進行すると、過酸化物が生成され、これがさらに二次生成物(アルデヒドやケトン)へと変化します。過酸化物価は、酸化の初期段階での指標として利用されます。

選択肢2の反応概要

選択肢2に示されている反応は、油脂中の不飽和脂肪酸が酸化され、過酸化物(ROOH)を生成する反応を表しています。この反応は、油脂の自動酸化過程の初期段階にあたるものであり、酸素と反応することで過酸化物が形成されます。

科学的根拠と反応メカニズム

反応式:
R-CH=CH-CH2-R + O2 → R-CH(OOH)-CH2-R

反応機構:

  1. 自動酸化: 油脂中の不飽和脂肪酸(例えば、リノール酸やオレイン酸など)は、空気中の酸素(O₂)と反応しやすい性質を持っています。この反応が自動酸化と呼ばれる過程で進行します。

  2. ラジカル生成: 自動酸化の初期段階では、脂肪酸の二重結合部分がフリーラジカルとして活性化され、酸素分子と反応します。

  3. 過酸化物の形成: 反応の結果、脂肪酸分子に過酸化物(ROOH)が生成されます。この過酸化物は、酸化の初期段階における主要な生成物であり、酸化の進行度を評価するために重要です。

実際の応用と意義

過酸化物価試験は、油脂の酸化状態を評価するために広く使用されます。過酸化物価(Peroxide Value, PV)は、酸化によって生成された過酸化物の量を示し、油脂の劣化の程度を測定するための指標となります。

  1. 食品: 食用油や脂肪製品の酸化状態を評価するために利用されます。特に、酸化による風味の劣化や栄養価の低下を防ぐために、過酸化物価の測定は重要です。

  2. 化粧品: 化粧品に含まれる油脂成分の酸化劣化を評価するために使用されます。酸化が進むと、製品の安定性や品質に悪影響を及ぼすため、過酸化物価をモニタリングすることが必要です。

  3. 医薬品: 油脂を含む医薬品においても、酸化による劣化が問題となる場合があり、過酸化物価試験が品質管理に利用されます。

補足説明

  • 過酸化物価の限界: 過酸化物価は、酸化の初期段階を評価するために有用ですが、酸化がさらに進行すると過酸化物は二次生成物に変化するため、過酸化物価が低下することがあります。このため、酸価や炭化水素価と併せて評価することが推奨されます。

  • 酸化防止: 過酸化物価を低く抑えるためには、抗酸化剤の添加や適切な保存条件(低温・遮光など)が重要です。これにより、油脂の酸化を遅延させ、品質を維持できます。

結論

選択肢2の反応は、過酸化物価試験に基づくものであり、油脂の酸化によって生成される過酸化物の形成を示しています。この試験法は、油脂の酸化劣化を評価するために重要な指標であり、食品、化粧品、医薬品などの油脂を含む製品の品質管理に広く使用されています。酸化が進行すると過酸化物価は増加しますが、さらに進むと二次生成物に変化するため、他の酸化指標と併用することが望ましいです。


論点解説 3


選択肢3の反応

反応式3

ヨウ素価試験に関連するものです。ヨウ素価試験は、油脂中の不飽和度(主に二重結合の数)を測定するために使用されます。この試験法は、油脂がどの程度不飽和であるか、つまりどの程度多くの二重結合を含んでいるかを示す重要な指標です。

選択肢3の反応概要

選択肢3に示されている反応は、ヨウ素(I₂)が油脂中の不飽和結合(二重結合)に付加する反応を表しています。この反応は、二重結合に対してヨウ素が付加し、最終的に生成物として付加化合物を形成します。

科学的根拠と反応メカニズム

反応式:
R-CH=CH-R + I2 → R-CHI-CHI-R

反応機構:

  1. 不飽和結合: 油脂中の不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸など)は、炭素-炭素二重結合(C=C)を含んでいます。この二重結合は、付加反応を起こしやすい部位です。

  2. ヨウ素付加: 二重結合にヨウ素分子(I₂)が付加します。具体的には、ヨウ素分子が二重結合に反応し、それぞれの炭素に1つずつヨウ素原子が結合します。この付加反応により、ヨウ素価を定量化することができます。

この反応によって、二重結合が飽和され、ヨウ素が消費される量を測定することで、油脂中の不飽和度を評価できます。ヨウ素価は、「100gの試料がどれだけのグラムのヨウ素を吸収するか」を示す数値であり、値が高いほど不飽和度が高いことを意味します。

実際の応用と意義

ヨウ素価試験は、食品、化粧品、医薬品などの油脂の特性評価において非常に重要です。具体的な応用例を以下に示します。

  1. 食品産業: 食用油や脂肪の不飽和度の評価に使用されます。不飽和度が高い油脂は、健康に良いとされる一方で、酸化しやすく、保存期間が短くなる傾向があります。

  2. 化粧品: 化粧品中の油脂成分の安定性や特性評価に使用されます。高いヨウ素価を持つ油脂は、柔軟性や浸透性に優れる一方で、酸化による劣化が懸念されます。

  3. 医薬品: 医薬品に含まれる油脂成分の品質管理においても、ヨウ素価は重要な指標です。特に、医薬品中の油脂が酸化しにくいかどうかを確認するために利用されます。

補足説明

  • ヨウ素価と酸化安定性の関係: ヨウ素価が高いほど不飽和度が高いことを示しますが、不飽和度が高い油脂は酸化しやすくなります。これは、酸素と反応する余地が多いためであり、保存性や品質に影響を及ぼします。

  • 他の不飽和度試験: ヨウ素価試験以外にも、ヨウ素モノクロリドを用いるウィジット・テストなどの方法がありますが、ヨウ素価試験は最も広く用いられています。

結論

選択肢3の反応は、ヨウ素価試験に基づくものであり、油脂中の不飽和度を測定するための基本的な試験法です。この試験法は、油脂の特性評価や品質管理において非常に重要であり、食品、化粧品、医薬品など幅広い分野で利用されています。不飽和度が高い油脂は酸化しやすいため、ヨウ素価を測定することで、保存性や安定性に関する情報を得ることができます。


論点解説 4


選択肢4の反応

反応式4

一般的に油脂試験法とは異なるタイプの反応を示しており、特に脂質過酸化の分析や油脂の酸化安定性の測定に関連するものではなく、アルデヒドの検出や測定に関連するものです。この反応について、科学的根拠に基づいて詳細に論述します。

選択肢4の反応概要

選択肢4の反応は、主にアルデヒドとヒドラジン誘導体(2,4-ジニトロフェニルヒドラジン, DNPH)との反応を示しています。この反応は、アルデヒドやケトンと2,4-ジニトロフェニルヒドラジンが反応してヒドラゾン(黄色または橙色の沈殿)を形成するものです。これは、DNPH試験としても知られており、アルデヒドやケトンを検出するための古典的な分析手法です。

科学的根拠と反応メカニズム

反応式:
RCHO + DNPH → RCH=N-NH-C6H3(NO2)2

反応機構:

  1. アルデヒド(RCHO)は、カルボニル基(C=O)を持つ化合物です。このカルボニル基は、電子欠乏性を持ち、求核剤と容易に反応します。

  2. DNPHは、求核剤として働き、カルボニル基に攻撃します。具体的には、DNPHのヒドラジン部分(-NH-NH2)がカルボニル基に付加し、中間体を形成します。

  3. その後、脱水反応が進行し、ヒドラゾン(RCH=N-NH-C6H3(NO2)2)が生成されます。

この反応は、アルデヒドやケトンが存在することを示すための定性反応として広く利用されています。ヒドラゾンの生成は、アルデヒドやケトンの存在を示す指標であり、生成される化合物の色に基づいて確認されます。

実際の応用と意義

DNPH試験は、特に酸化ストレスによる脂質の分解生成物であるアルデヒドの検出に使用されます。油脂が酸化すると、脂肪酸の酸化分解によりアルデヒドが生成されます。これにより、DNPH試験を用いて酸化度の評価や品質管理を行うことが可能です。

また、DNPH試験は、脂質過酸化物の分解生成物(マロンジアルデヒドなど)の検出にも用いられ、酸化ストレスや酸化安定性の指標としても利用されます。食品分析や環境分析において、アルデヒド類の定量的な検出に役立つ試験法です。

補足説明

  • アルデヒドとDNPHの反応性: DNPH試験は特にアルデヒド類に対して選択的に反応しますが、ケトンも同様に反応します。したがって、この試験法は、酸化によって生成されるカルボニル化合物全般の検出に利用できます。

  • 試験の限界: DNPH試験は定性的な試験として広く使用されますが、定量的な測定には別の分析手法が必要です。例えば、液体クロマトグラフィー(HPLC)を組み合わせることで、アルデヒドの定量分析が可能となります。


結論

選択肢4の反応は、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を使用したアルデヒドの検出反応を示しており、油脂の酸化により生成されるアルデヒド類の検出に科学的に有効な手法です。この反応は、酸化度の指標として油脂試験法に応用されることもありますが、一般的な油脂試験法としてではなく、酸化生成物の分析に焦点を当てた試験法と言えます。


論点解説 5


選択肢5の反応

反応式5

選択肢5の反応概要

選択肢5に示されている反応は、主にマロンジアルデヒド(MDA)とチオバルビツール酸(TBA)との反応を示しています。この反応は、「チオバルビツール酸反応物(TBARS)」試験として知られており、脂質の過酸化に伴い生成されるアルデヒド類、特にマロンジアルデヒド(MDA)の測定に利用される古典的な方法です。

科学的根拠と反応メカニズム

反応式:
MDA + 2 × TBA → 赤色の複合体

反応機構:

  1. マロンジアルデヒド (MDA): 脂質過酸化の結果として生成されるアルデヒドであり、二重結合に挟まれたカルボニル基を持つ化合物です。

  2. チオバルビツール酸 (TBA): アルデヒドに対して反応性を持つ化合物で、特にMDAと反応して赤色の発色団を形成します。

この反応において、MDAとTBAが1:2のモル比で反応し、共役系の二重結合とカルボニル基を持つ赤色の複合体が生成されます。
この赤色の発色団は、532nm付近で強い吸収を示すため、分光光度計を用いて定量分析が可能です。

実際の応用と意義

TBARS試験として知られるこの試験は、脂質過酸化の指標として広く使用されています。特に、食品、化粧品、医薬品、そして生物試料において、脂質の酸化状態を評価するための重要な手法です。

  • 食品: 脂質含有量の多い食品(例えば、肉製品や油脂製品)の保存期間中における酸化状態を評価するために使用されます。酸化が進むと、MDAなどの酸化生成物が増加し、これをTBARS試験で定量化することができます。

  • 医薬品・化粧品: 脂質を含む医薬品や化粧品においても、酸化による品質劣化を検出するために使用されます。

  • 生物試料: 生体内での酸化ストレスの指標として、血清や尿中のMDA濃度を測定することで、酸化ストレスの評価が行われます。

補足説明

  • 試験の特異性と感度: TBARS試験は、脂質過酸化の指標として広く使用されていますが、特にMDAに対する感度が高いです。

  • ただし、他のアルデヒド類や酸化生成物もTBAと反応する可能性があり、試験の特異性に限界があります。そのため、MDAの定量には補助的な手法を併用することが推奨されます。

  • 限界: この試験は、酸化ストレスを評価するための手段としては有用ですが、他の酸化生成物や干渉物質によって結果が影響される可能性があります。そのため、他の定量法(例えば、HPLCやGC-MS)と併用して、より正確なMDA測定を行うことが推奨されます。

結論

選択肢5の反応は、TBARS試験に基づくものであり、脂質過酸化に伴い生成されるマロンジアルデヒド(MDA)の定量に用いられる反応です。この試験法は、食品や生物試料における酸化ストレスの評価に広く用いられていますが、他の酸化生成物が干渉する可能性があるため、補助的な分析手法と併用することが重要です。

この反応は、油脂の酸化度を評価する上で非常に有用なツールの一つですが、あくまでMDAの測定に特化した方法であることに留意する必要があります。


まとめ


選択肢4の論点

反応式4

  • アルデヒド検出反応: 選択肢4の反応は、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いたアルデヒドやケトンの検出反応を示している。これは油脂試験法の中でも、特に酸化生成物であるアルデヒド類の検出に関連する。

  • DNPH試験: DNPHとアルデヒドが反応し、ヒドラゾンという黄色または橙色の沈殿を形成する。これにより、油脂の酸化によって生成されたカルボニル化合物の存在を確認できる。

  • 酸化ストレス指標: 油脂の酸化に伴いアルデヒドが生成され、DNPH試験によってこれを検出することで酸化度の評価が可能。ただし、これは一般的な油脂試験法とは異なり、酸化生成物の分析に焦点を当てている。

  • 応用範囲: DNPH試験は脂質の酸化生成物の検出に有用で、食品や生物試料の酸化状態の評価に使用される。定性的にアルデヒドを検出することができるが、定量的な測定には別の手法が必要となる。


選択肢5の論点

反応式5
  • TBARS試験: 選択肢5の反応は、脂質過酸化物の分解生成物であるマロンジアルデヒド(MDA)とチオバルビツール酸(TBA)の反応を示している。この反応によって赤色の発色団が生成され、これを測定することで脂質の酸化度を評価する。

  • MDAとTBAの反応: MDAがTBAと1:2のモル比で反応し、赤色の発色団を形成。この発色団は532nm付近で吸光度を持ち、分光光度計で定量化が可能。

  • 脂質過酸化の指標: TBARS試験は脂質過酸化の進行度を評価するために使用され、特に食品や生物試料での酸化ストレス評価に広く利用される。

  • 試験の限界: 他のアルデヒドや酸化生成物もTBAと反応するため、特異性には限界がある。より正確なMDAの定量には補助的な分析手法(HPLCなど)が推奨される。

選択肢4と5の反応は油脂の酸化度や酸化生成物の評価に使用される手法であり、それぞれの特徴を理解した上で正しい選択肢を判断することが求められます。


お疲れ様でした。
🍰☕🍊


では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。


第108回薬剤師国家試験|薬学理論問題 /
問127

一般問題(薬学理論問題)【衛生】


問108-127
Q. 
次の反応式は、油脂の化学的指標に関する試験法の化学反応の例を示したものである。不飽和脂肪酸を含む油脂において、自動酸化の進行に伴い測定値が減少し続ける試験法の反応式はどれか。1つ選べ。


選択肢|

第108回薬剤師国家試験 一般問題|薬学理論問題【衛生】 問127

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お疲れ様でした。

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類題

過去問に類題があります。解説しています。
こちらにも挑戦して実力アップを目指しましょう。


第103回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123

Q. 油脂の変敗に関する記述のうち、正しいのはどれか。

選択肢|

1. オレイン酸のみを含む油脂より、リノール酸のみを含む油脂の方が酸化されやすい。
2. 同じ条件で酸化したとき、γ-リノレン酸のみを含む油脂より、α-リノレン酸のみを含む油脂の方が、カルボニル価は著しく速く上昇する。
3. 不飽和脂肪酸を含む油脂のヨウ素価は、酸化により上昇する。
4. 酸化により油脂中の脂質ヒドロペルオキシドが増加すると、過酸化物価の測定において、滴定に要するチオ硫酸ナトリウムの量は減少する。
5. 食品添加物として添加したビタミンEは、不飽和脂肪酸を含む油脂の過酸化物価の上昇を抑制する。
(論点:油脂 / 変質試験法)


第103回薬剤師国家試験の問123(問103-123)は、食品の安全の中でも油脂の変質(変敗)が設問のテーマでした。

設問へのアプローチ|

第103回薬剤師国家試験問123(問103-123)は、選択肢の記述に、様々な不飽和脂肪酸の化合物名や油脂の品質指標がちりばめられています。

でも、ここで焦ってはいけません。

設問は以下の通りです。

Q. 油脂変敗に関する記述のうち、正しいのはどれか。

この設問へのアプローチとしては、食品の安全の中から「油脂」、さらに「品質試験法」について知っている?と聞かれていると考えます。

油脂の変質(変敗)とその変質試験法に関する記述の正誤を問う問題です。

この問題へのアプローチ方法を一緒に考えてみましょう。

油脂の劣化の指標として一部の食品における規格基準が定められている酸価と過酸化物価に関する理解に加えて、不飽和脂肪酸自動酸化のしくみやビタミンEによる抗酸化作用、さらに、油脂の品質指標として、他の指標であるカルボニル価およびヨウ素価の理解が問われました。

問103-123を解説します。

松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-123【衛生】論点:油脂 / 変質試験法|matsunoya (note.com)

https://note.com/matsunoya_note/n/n144f9e072da7


第99回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問124

Q. 油脂の変質試験法に関する記述のうち、正しいのはどれか。

試験操作|試料油脂約 1g を共栓つき三角フラスコに精密に量りとり、酢酸・クロロホルム(3:2)混液 25mLに溶かす。フラスコ内の空気を窒素ガスで置換し、飽和ヨウ化カリウム溶液 1mLを加えてよく振り混ぜる。暗所で 10分間放置後、水 30mLを加えてよく振り混ぜ、デンプン試液を指示薬として、0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。

選択肢|

1. 滴定の終点では溶液が淡黄色から青紫色に変化する。
2. 主に油脂中のアルデヒド類が反応する。
3. 指標の値は、油脂 1kg あたりで表す。
4. 指標の値は、変質の進行に伴い減少する。
5. 指標の値は、変質の進行に伴い初めは増加するが、その後減少する。
(論点:油脂の変質試験法 / 過酸化物価)


設問へのアプローチ|

第99回薬剤師国家試験問124(問99-124)は、冒頭に試験法が詳細に記載されているのに、何の試験か書かれていませんね。

でも、ここで焦ってはいけません。

具体的な描写付きの設問の場合、「結語から読む」アプローチが原則です。落ち着いて結語を読みましょう。

結語は以下の通りです。

Q. 油脂の変質試験法に関する記述のうち、正しいのはどれか。

この設問へのアプローチとしては、食品の安全の中から「油脂」、さらに「品質試験法」について知っている?と聞かれていると考えます。

油脂の試験法に関する記述の正誤を問う問題です。

この問題へのアプローチ方法を一緒に考えてみましょう。

油脂の劣化の指標として一部の食品に規格基準が定められている酸価・過酸化物価に関する理解が問われました。

問99-124を解説します。

※画像はタップすると拡大できます。
矢印を押すと ←□→ 画像のみのスライドショーになります。

選択肢の記述の特徴から前半(選択肢1 - 3)と後半(選択肢4 - 5)の2つのテーマに分けて解説します。

苦手意識がある人も、この機会に、食品の安全の中の油脂の変質試験法 / 過酸化物価を一緒に完全攻略しよう!

はじめましょう。

目次|

テーマ1.
酸価および過酸化物価の定義と試験法の概要|

テーマ2.
油脂の保存過程での過酸化物価の経日推移|

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