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小説:掌編(ショートショート)

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#幻想小説

【掌編】チル

 タンポポ丘と名付けられたその場所は、施設の裏手にある沢を渡り、整備された坂道を上った先にあった。傾斜が終わり、頭上を覆っていた林のトンネルが途切れると、途端に見晴らしのいい景色へと出た。草原といってもいい広場だった。
 夢を見ているような気分で、少年はしばらくその場に立ち尽くした。
「ほら、あそこ」隣の少女が指をさす。「あの辺りだけ、白いでしょう? タンポポがたくさん咲いているの。だから、タンポ

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